• 株主手帳編集部

いつも【7694・マザ】企業のEC導入を1万件以上サポート メーカー直販ショップ代行で事業拡大


 株式会社いつもは、「日本の未来をECでつくる」をミッションに、企業ECの戦略立案、ECプラットフォームなどへの出店や運営、一般消費者への配送までをトータルにサポートしている企業だ。ブランドの公式ECショップを運営するマーケットプレイス事業が好調。今期の売上高は前期比約30%増の114億4800万円を見込む。


坂本 守社長

Profile◉さかもと・まもる

1970年10月生まれ、滋賀県出身。。1993年コムソン入社。96年フジプレアム入社。99年船井総合研究所(現船井総研ホールディングス)入社。2007年株式会社いつも設立、代表取締役社長(現任)。







企業EC事業支援で急成長

メーカーの販売事業を代行


 2020年12月にマザーズに上場した同社は、「ECマーケティングサービス」と「ECマーケットプレイスサービス」の2つのサービスを展開している。これまで企業のEC展開を1万件以上手がけてきた。21年3月期の業績は売上高が67.2%増(前期比)の87億9700万円、営業利益は209・7%増(同)の5億2600万円と大きく伸びている。

 07年の創業とともにスタートしたECマーケティングサービスでは、企業のECコンサルティングや事業支援を担当。EC事業を展開するには、サイト構築・運営、マーケティング、顧客サービス、倉庫保管などさまざまなノウハウが必要となる。同社はこれまで1万件以上の豊富な支援実績を持っており、その知識やデータを基に、月額料金プランでECの行程の一部または複数を支援。ECマーケティングサービスの売上高は17億9200万円(21年3月期)で、全売上高の約2割だ。

 一方、売上高の約8割を占めるのは、16年から事業を開始したECマーケットプレイスサービスだ。こちらはメーカーのブランドのEC事業全体を代行している。企業がECを始める時には、個人情報の管理や自社システムとECサイトのデータ連携などに大きな時間とコストを割かれる。同社はメーカーやブランドの公式ECショップとなり、メーカーから仕入れた商品をインターネット経由で一般消費者に販売、配送するまでを一貫で行うので、企業側は負担を軽減できる。21年3月期のセグメント売上高は70億400万円となっている。

「EC市場の約7割を占め成長ドライバーになっているのは、Amazon、楽天などのモール市場ですが、当社の強みはさまざまなECチャネルの出店を支援できることです。例えばAmazonと楽天は顧客が重なりにくいので両方への出店が効果的です。しかし同じ商品でも、ECチャネルが違えばマーケティングや販売方法が大きく変わってきます。当社なら、どんなジャンルの商品であっても、多数のECチャネルにわたって的確なサポートができます」(坂本守社長)


海外企業モデルに新事業挑戦

国内200ブランドを買収計画

 

 同社の売上高は、5年前は10億5500万円だったが、その後3年で一気に52億6100万円と大きく伸びた。この成長を牽引しているのがECマーケットプレイスサービスだ。サービス開始以降、EC事業を代行したすべてのブランドにおいて増収を達成。同社が担当したブランドの平均成長率は、導入2年目で約300%、3年目、4年目においても150%を超えるなど大きな実績を上げており、21年3月期のセグメント売上は70億400万円と約80%増(前期比)になっている。

 ECマーケットプレイスの好調な展開を受け、「D2C・ECブランドM&A・成長支援サービス」を新たに開始した。これはEC売上が5000万円~3億円程度の国内D2C・ECブランドに対してM&Aや出資を行い、その商品を複数のECチャネルを通し一般消費者に販売するもの。近年中に200ブランドのM&Aを計画している。今期は25ブランドの獲得を目指す。

 企業のEC展開を支援するいわば“黒子”だった同社が、一般消費者への販売事業を拡大する背景には、欧米のEC事業者の急成長がある。たとえば米セラシオ社はAmazonに出店する中小ブランドをM&Aしてその販売を支援、ブランド価値をアップさせ、さらに販売を広げるビジネスモデルによって急成長中だ。その企業価値は3000億円といわれる。

「このセラシオと同類のビジネスモデルを展開していきます。当社が支援する中小企業には、年商1億円の会社が3億円になった事例もあります。投資効果が非常に高いビジネスモデルですが、私たちがM&Aしているような規模のブランドを支援する会社はありません。その点で競合はいないと思っています」(同氏)


売上連動報酬サービスを拡大

海外ECと提携でさらに成長を


 同社は22年3月期に売上高30.1%増(前期比)の114億4800万円、営業利益は8.1%増(同)の5億6900万円を計画。ストック収入であるECマーケティングサービスを安定成長させるとともに、新規事業への投資を優先し、中長期的な成長を目指すとしている。

「現状は月額料金での販売支援が大きな利益になっていますが、基本的に当社はECで売上を上げる力が強い企業です。ですから、今後は売上連動報酬サービスを拡充することで、さらなる収益拡大を目指します」(同氏)

 海外に販売を広げる「越境EC」も視野に入れる。既にコロナ禍の前から欧米のECプラットフォームとの提携を進めてきた。

「世界の越境ECの年平均成長率は約27%成長です(※)が、国内ECの成長は鈍いです。コロナで今は止まっていますが、越境ECは伸び始めると早いので、将来的には国内より大きく伸ばしていきたいです」(同氏)


※経済産業省「電子商取引に関する市場調査」

2020年8月https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003-1.pdf(103p)



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