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アズ企画設計[3490・JQ]収益不動産再販で伸長、カギは人脈形成法 売上は直近5年で5倍の 53 億円に

比較的小規模かつ築年数が経っている物件をメインに扱い、中古不動産の再生販売で売上を伸ばしてきたのが、アズ企画設計(3490)だ。2019年2月期の売上は約53億円。1都3県を商圏に、ここ5年程で一気に5倍近くにまで引き上げた。


松本俊人社長

Profile●まつもと・としひと

1960年4月、東京都渋谷区生まれ。中央大学卒業。複数の不動産会社に勤務した後、1993年アズ企画設計設立。「空室のない元気な街を創る」を経営理念として、賃貸、売買、ビジネスホテルなどの不動産ビジネスを幅広く手がける。不動産関係の著書多数。




不動産販売が8割強

築20年超の物件に強み


同社のセグメントは、不動産販売、不動産賃貸、不動産管理の3つ。メインは不動産販売で、2019年2月期においては売上高の84%を占める。商圏は、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県だ。

 不動産販売では築年数の古い中古不動産の再生販売を得意としてきた。駅から徒歩15~20

分程のところにある、空室率が高く割安な築20年以上の物件を狙い、リノベーションやリーシング(賃貸募集活動)を実施、資産価値を高めて不動産投資家へ販売する。建物単価は平均1~3億円。年間25件程を取り扱い、前期は同事業でおよそ45億円を売り上げている。

「埼玉や千葉などの郊外では、想定利回り11%程度で回っている物件を買い、リフォームをして、1~1・5%引いたくらいの率で販売します。大家さんはセミプロのような方が多いので、販売差益は12~13%を目標としています」(松本俊人社長)


中途人材を積極採用

辞めた社員の再雇用も


 同社の2019年2月期の売上は約53億円。2014年に11億円だった売上を、5年で5倍近くにまで伸ばした。営業拠点は、本社のある埼玉と、東京のほか、2020年初春に神奈川が加わり、今後は3拠点体制となる。

 現在の社員数は、パート・バイト含めて70名弱。以前は新卒採用がメインだったが、最近は中途採用や再雇用が増えている。

「一般的に言っても、新卒の方は3年経つと6割が辞めてしまいます。そこで、辞めた社員に戻ってもらうということを考えました。今そうしたいわゆる『出戻り』社員は、10名程います」(同氏)

 また、中途採用の場合には玉石混交の部分があるが、上場によって信用力と知名度が上がり、良い人材が集まるようになった。2018年3月の上場から2年弱で、既に11名の中途社員が入社しているという。


毎回100名が参加する

不動産情報交換会を開催


同社の売上を支えているのが、不動産情報交換会「アズサロン」の開催だ。元々は松本社長が独立前、不動産会社に勤めていた頃に始めたもの。会社の会議室を利用し、お茶やコーヒー、お菓子を囲みながら、情報を交換する。時間は決まって15時~16時半の間の90分。社内が中弛みしがちな時間帯でもあり、また一方で、参加者のサラリーマンはその後帰社することから、開催コストも抑えられる。

「サロンを始める際に心掛けたのは、こちらもいい人をご紹介するので、必ずいい方を連れてきてくださいとお願いすることです。そうすれば新しい人に出会えますから。サラリーマン時代にも2つ程、アズサロンをきっかけに大きな取引が成立しました。現在行う際も、半数は新しい方に来ていただいています」(同氏)

 独立してからもアズサロンの開催は休まず、本社近くの公民館を借りるなどして活動を継続してきた。現在は社長個人で最低月2回、会社で月1回の、合計3回程をコンスタントに開催、その他、クリスマスイベント等も行う。本社近辺で行う際は毎回40名が来場、東京支社を開設してからは一気に人数が増え、毎回100名以上が参加する。出向いて営業を行うのではなく、物件の売買等に興味を持つ人を会社に集めることで、いわば「ホームで戦うことができる」(同氏)のもメリットだ。新たな人との出会いが、新たな情報の呼び水となり、ひいては売り上げ拡大へと繋がっている。


今後は3億円超の大型

事業系物件へシフト


 だが最近では市場環境の変化が著しい。同社では、投資用不動産向け融資のピークは2017年3月で、以降は減少傾向とみる。そこで今後は、従来の賃貸レジデンス以外に、既存の顧客層と重ならない価格帯3億円以上の物件、たとえば10~20億円クラスのオフィスビルなどの取り扱いなども増やす方向で考えているという。

「今、物件は居住系から事業系にシフトしています。買い先も法人メインになっていくと思いますし、立地は以前より駅寄りを考えています。今期既に、5億円クラスの比較的大きな物件も予定しています」(同氏)

 今年からは、賃貸事業部で、オーナーが空室に悩む物件を初期費用ゼロでリノベーションし空室保証を行う「家リース」事業を開始。また、19年11月から民泊にも参入した。第一号は上野にある総戸数20戸の賃貸マンションだ。「当社の企業理念は『空室のない元気な街を創る』です。今後も『価値を付けていく』ということにこだわって、既存の不動産を再生していきたいですね。10年後目指している方向としては、扱うアセットをビル・店舗にしたり、今、川口の方で新築ラッシュの物流施設や倉庫を再生したりしていきたいと考えています」

(同氏)