• 株主手帳編集部

アマノ 【6436・東1】5つの事業で国内トップシェアをキープ創立100年に向け海外比率40%を目指す


タイムレコーダーなど企業の労務管理情報システムや、駐車場・駐輪場システムの製造販売を展開するアマノ。工場で使用する集塵機を扱う環境システム、清掃機器のクリーンシステムを含め、5つの事業で国内シェア1位を獲得している。国内だけでなく海外事業も好調で、2011年3月期から10年連続で増収増益を続けている。好調の理由と今後の見通しを津田博之社長に聞いた。

津田博之社長

Profile つだ・ひろゆき

19 8 2年アマノ入社。2007年関東営業本部長。11年中部営業部長。14年アマノマネジメントサービス代表取締役社長。16年執行役員、事業総括。17年代表取締役社長就任(現任)。





企業で働く人の「時間」と「環境」を管理


同社は「人と時間」「人と環境」をテーマにしてグローバルに展開している企業だ。タイムレコーダーなど時間を管理する機器を取り扱う「時間管理機器」、勤怠や人事給与、入退室等を管理するシステムを扱う「情報システム」、駐車場・駐輪場システムを展開する「パーキングシステム」、床面清掃機器などを扱う「クリーンシステム」、集塵機などを扱う「環境システム」の5つの事業領域がある。


─タイムレコーダーと就業管理システムで、全国の約4割と高いシェアを持っていますね。タイムレコーダーは日本の企業に欠かせないものですが、出退勤の時刻を記録するだけでなく、記録を元にした就業管理システムなどソフトウェアも手掛けています。


 人を雇うにはタイムレコーダーが必要と考える企業は多く、需要は根強いものがあります。タイムレコーダーは紙カードタイプだけでなく、最近はネットワークに接続して利用できる社員証兼用のICカードタイプのものや、カメラ付きの機器、指静脈の生体認証で記録できる機器もある。当社では企業それぞれに合わせ、機械とソフトを組み合わせたシステムを提供しています。導入時には低価格な紙カード式の機械を使う企業も、成長して従業員が増えるとICカードなどを使うようになり、やがて就業管理ソフトが必要になるもの。現在は給与、人事などを管理するソフトや、入退室管理、食堂の会計ができるシステム、グル

ープ会社ではクラウドサービスも手掛けています。


─パーキングシステムでは、全国の約6割のシェアを持っています。

 

 当社が強いのはゲート式の駐車場システムです。大きなショッピングモールなど、車が8000台以上入る駐車場も手掛けています。機器製造だけではなく施工まで請け負うことが可能です。小スペースの駐車場で使われるフラップ式システムも提供しており、大手駐車場管理会社へも継続販売している。またパーキングシステムでは、システム機器を販売すると同時に、グループ会社では駐車場の運営委託も手掛けています。駐車場オーナーに代わって管理業務をお手伝いし、料金をいただくもので、国内だけでなく韓国でも伸びています。


─床面の掃除をする業務用のフロアポリッシャーなどの清掃機器シェアは30%、切削工場などの粉塵を処理する集塵機は35%と、こちらもシェアが高いですね。


 床面清掃機器は、日本で作っているのはほぼ当社のみ。売上の半分はビルメンテナンス向けです。他社製品を使う企業は欧米から輸入することが多いですが、そちらはサポートに不満を持つユーザーも多い。ビルメンテナンス業界は人手不足で人件費が上昇する中、請負金額の値上げは難しく、機械を修理して使う会社も多いのです。集塵機は、小型の汎用機から大型システム機まで揃えており、シェアが一番大きい。そしてダクト工事からメンテナンスも積極的に請け負っています。


─2020年3月期の売上では、「時間情報システム事業」が1000億1600万円、「環境関連システム事業」が330億6800万円となっていますね。内訳はどうなっていますか。

 

 売上の49.2%を占めるのが、時間情報システム事業の中のパーキングシステム部門。ついで情報システム部門が23,4%、タイムレコーダーなどの時間管理機器は2.6%です。環境関連システムでは、集塵機などを扱う環境システム部門が16.8%、清掃機器を扱うクリーンシステム部門は8.0%という構成比です。




製造から保守の一貫体制で50万社の顧客獲得


同社の特徴は、商品の企画、開発・設計から製造、販売、施工、サポート・メンテナンスのすべてを自社で行う一貫体制を構築していること。製造部門では、製品の企画から部品製造、塗装、組立までを自社工場で行っている。販売では営業担当者が顧客に直接会うことでニーズを汲み取り、最適な製品やサービスを提案している。


─これだけ多様な製品を作っていながら、販売に代理店をほとんど使わないそうですね。企画から製造、販売、そしてメンテナンスなどのアフターフォローまでを自社で一貫して担当しています。

 

 創業からずっとものづくりを続けてきたので、工場部門の社員は品質へのこだわりが高く、製品が丈夫で壊れにくい。そして、製品と同じように大切なのは点検、整備、保守、

修理といったアフターサービスの対応力と質です。創業以来ずっと、基本方針はダイレク

トセールス、ダイレクトサポート。全国の拠点からお客様の元に伺い、相談・提案からアフ

ターサービスまで、すべて対応しています。そうすることで、お客様の声がしっかり聞こえ

る。使い勝手が良い、悪いという判断を直接聞いて、次の商品に活かせることが大きな強みだと思います。当社はアフターサービスの質にこだわってきたことで、持続的に成長できたと自負しています。


─現在、日本全体の顧客数はどれくらいですか。

 

 約50万社です。


─日本の企業を400万社と考えると、8社に1社くらいはなんらかの製品を使っている計算になる。それを自社で担当するとなると、営業体制はどうなっていますか。

 

 国内の拠点は北海道から沖縄まで約80カ所あり、社員数は全体で約2000人ほどです。第一線の営業担当社員は全部で500人ほどですが、現場にはりついているエンジニアがさらに500人ほどおります。ですから、1000人近くはお客様の目の前で常に動いているということになります。


多様な事業展開でクロスセルを推進


 同社のルーツは戦前に作られた国産初のタイムレコーダーにあるが、その後日本の経済発展に伴い、清掃機、パーキングシステムなど、企業や社会が必要とする製品をタイムリーに提供し続けて現在に至っている。幅広い製品を持つため、同一の顧客に複数のサービスを提案することができ、大きな強みとなっている。


─タイムレコーダーと駐車場、集塵機や掃除機は、それぞれあまり関連がないように思いますが、なぜこれらの事業を始めたのですか。


 1931年、創業者の天野修一が、当時は海外から輸入されていたタイムレコーダーを国内で初めて作りました。50年には国鉄から大口の受注を獲得しましたが、天野は海外にもタイムレコーダーを拡販しようと考え、アメリカの工場を見学に行ったところ、とても清潔なことに驚いたそうです。日本も今後はこうなると思い工業用クリーナーを輸入したのですが、しょっちゅう壊れるので、53年には自社で開発・製造販売をはじめました。ここで、当社は企業の従業員さんの作業環境を守る企業になる、そのために時間管理も、清潔な環境を守ることも両方手がけようと考えたのです。そしてごみを拾うだけでなく、発生源から取ろ

うと考え、55年には空気中に舞うホコリを集める集塵機も作り始めたというわけです。


─1950年代には既に、パーキング用の機械も作り始めていました。


 タイムレコーダーの技術を応用し、駐車場の係員が使う入場時刻を伝票に刻印する機

械です。67年には運転手がプレートを押すと駐車券が発券される「パーキングマスタ

ー」を発売、73年には日本で最初の全自動料金精算システムを発売しました。


─さまざまな製品を持つことで、1つの顧客に複数の製品を販売するクロスセルが可能ですね。

 

 そうですね。タイムレコーダーや勤怠管理システムを使いつつ、製造現場では集塵機や清掃機も使っていただく、セキュリティのためにゲート付きの駐車場も……と複合セールスができる。そして、選んでいただけるラインナップの幅が大きい。たとえば時間管理システムなら、10人程度の事務所から使えるタイムカード方式の小さな機器もあれば、大規模企業用にICカードや生体認証による就労管理システムの機器もあるといったように、とても幅広い製品を作っています。さらに、その機器を納入したあとは、引き続きメンテナンスやサプライも担当し続けています。この強みの相乗効果を図り、競争優位性をさらに向上させて

いきます。


大規模な海外進出が増収増益を支える


 同社はこの10年間で大きな成長を遂げている。2010年3月期に約785億円だった売上高は、20年3月期に1330億円まで拡大した。経常利益は10年3月期に約24億円だったところ、20年3月期には約168億円と7倍以上に増加。働き方改革の浸透や堅調な海外事業が収益を押し上げてきた。


─10期にわたって増収増益を続けています。好調のポイントは。


 3つあります。ひとつは情報システム事業が働き方改革の追い風を受け、中堅・大企業を中心としたその影響が業績に反映されたこと。また、今まで出勤簿を使っていた学校や官公庁が、勤怠管理のためにタイムレコーダーを使い出すようにもなってきている。グループ会社のクラウド勤怠管理システムも伸びています。海外で申し上げると、フランスの子会社であるホロクオルツ社が大手企業にしっかりと入り込み、業績も順調でした。2つ目はパーキングの運営受託事業が成長したことです。国内もそうですが、韓国、マレーシア、香港でぐっと伸びてきました。3つ目は、アメリカでパーキング事業を展開している子会社の赤字幅が縮小したこと。このような理由で、10期連続増収益が達成できました。


─海外はこの10年で海外売上比率が大きく伸び、約3割になりましたね。


 実は、1964年には既にアメリカでタイムレコーダーを売る事務所を作っていました。しかし売上の中の海外比率は10%程度で、国内中心の時期が長く続きました。約10年前、当時の経営陣が大規模な投資をして海外企業のM&Aを展開し、この時買った会社が連結売上に貢献しています。2010年3月期に海外売上高比率は26%で約207億円でしたが、20年3月期は約34%で約457億円に拡大しました。海外売上比率はいずれ40%近くまで持って行きたいと考えています。


─欧州での戦略は。


 フランスの子会社は、国内ナンバーワンの就労管理の企業で売上も伸びています。しかし就労管理は国によってやり方が違うので、次はドイツや他の国の企業のM&Aを考えたいですね。また、パーキング事業はまだまだ伸びる余地がある。現在ベルギーにパーキング事業の子会社があるのですが、まだドイツに拠点はないので、これから進出していきたい。


─アジアとアメリカはどのように拡大させますか。


 アメリカの子会社を早期に回復させることと、環境事業をもう少し伸ばしたい。アジアは今、韓国で駐車場事業が好調ですが、マレーシアと香港、そして他の国にも運営受託事業を広げていく。アジアは、環境系の日系企業のカバー率がまだまだ低いので上げていきたい。今年はベトナムに拠点を作りましたので、東南アジアはもちろん、近いうちにインドも狙っていきたい。




コロナ下でも中期経営計画の目標は「死守」


今年4月、同社は20年3月期の決算とともに、今年度から始まる3カ年の第8次中期経営計画を発表した。「100年企業への3rd Stage」と銘打ったこの計画では、2031年の創業100周年を前に、23年3月期までに売上高1400億円以上、営業利益185億円以上という目標を掲げている。そのため、新製品を続々と投入すべく、開発を進めている。


─最近の新製品についてお伺いしたい。駐車場を出る前に精算を済ませられ、スムーズに出庫できるシステムができましたね。


 運転手が駐車券を取る時にカメラでナンバープレートを撮影し、駐車券とナンバープレートをシステムで紐付けます。事前に精算をすれば、出口に行った時自動でゲートが開きます。グループ会社で駐車場の運営受託もしているので、データを利用して車を管理するノウハウを持っている。またキャッシュレス、チケットレスの流れに乗るためには、やはりカメラが大きな要素になりますので、こういったシステムは今後も進化していくでしょう。また、ETCのカードを駐車場で活用する実証実験にも参加しているところです。


─床面清掃ロボットは、大きな駅や空港、ショッピングモールなどで活用されています。


 このロボットは障害物を回避して自動で清掃するもの。ある駅では特急列車のラッピングを施した清掃ロボットが働いています。ただ、実際にはまだ人のいる時間には動かさず、もっぱら夜間清掃だけ。最近はリピート注文をいただけるようになってきました。


─集塵機も新しいタイプのものを開発中と聞きました。


 電気集塵機の技術を使ってウイルスを不活性化させる研究を進めています。集塵機はこれまで景気に左右される業種だったので、今後は不景気でも売れるものを作りたいですね。そして、もっと業種を増やしたい。それをお客様にまた買っていただければ伸びるチャンスが増える。まだまだ攻めていきたいと思っています。


─21年3月期は、コロナの影響により、20年3月期実績からは売上高の目標を230億円落とす計画。しかし23年3月期の目標は高いままで変えない、と。アグレッシブですね。


 売上高1400億円以上という目標ですが、必ず達成したいと思っています。もちろんチャンスがあれば今期もどんどん上げていくつもりです。




アマノの事業セグメントと製品


時間情報システム事業セグメント

■情報システム

勤怠、人事、給与などの

労務管理システムアプリ

ケーションを提供。









■時間管理機器

クラウド接続可能なも

のなど、企業の勤務形

態に合わせ多様な製品

を製造。






■パーキングシステム

ゲート式、フラップ式、機

械式、有人式などさまざ

まな駐車場システムを手

掛ける。







環境関連システム事業セグメント

■環境システム

工場設置用の集塵機、

産業用掃除機( 粉体

用)、粉粒体空気輸送シ

ステムを製造。






■クリーンシステム

床面洗浄機、カーペット

用洗浄機など多様な清

掃ニーズに合わせて機

器を提案。












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