• 株主手帳編集部

アルデプロ【8925・東2】築古ビル等を取得し権利調整して売却する「不動産再活ビジネス」に注力

 アルデプロは、収益ビルやマンションなどの仕入れ販売を手掛ける不動産会社だ。権利関係が複雑な物件の調整を強みとし、築古のビルやマンションを取得したのち権利調整し、開発用地として売却する「不動産再活事業」に注力している。原点回帰を図り在庫回転率を高めるべく中小規模不動産に集中した結果、2020年7月期は利益が黒字化する見込みだ。



椎塚裕一社長

Profile◉

しいつか・ゆういち

1968年11月21日生まれ。

19 91年水落司法書士事務所入所。2008年アルデプロ監査役、14年取締役、15年代表取締役副社長、16年代表取締役社長に就任。18年取締役COO、19年3月代表取締役社長に就任(現任)。





大手不動産会社の

強力なパートナー


 アルデプロは、1988年に創業。2004年に東証マザーズに上場して事業を成長させたが、08年のリーマン・ショックにより業績が悪化。事業再生ADR手続きを利用するなどして会社再生を図った。

 現在、注力するのは、「再活×2 不動産を再活し、日本を再活する」をビジョンとする「不動産再活事業」だ。東京都心の老朽化したビルやマンションを取得し、バリューアップしてデベロッパーに売却するビジネスであり、特に同社は権利調整を強みとする。売却先の大手不動産会社は建物の開発が主であり権利調整までは手掛けないため、同社は大手不動産会社にとって強力なパートナーといえる。

「権利調整で多いのは、法定自動更新で30~40年近くテナントが入居しているケースです。築40年以上の建物がほとんどで、建物の管理状態も非常に悪い。当社の弁護士らを交えて法的な解決を図りながら、転居先の居住用マンションやご商売の代替え用地を探して提供します。相続人の間でもめる場合は、最終的には現金に換えて相続人の間で分配するというところに落ち着くことが多く、私共の方で金額を提示して物件を購入させていただきます」(椎塚裕一社長)


中小規模案件に集中し

在庫回転率アップ


 同社が扱う不動産は、東京都心の千代田、中央、新宿、港、渋谷の5区をメインとしている。今期の期中仕入れ・期中売却は6~7件であり、このうち半分ほどが居住用マンション、残り半分ほどが商業ビルまたはオフィスビルに開発される予定だ。売却価格は1件当たり小さいもので1億円、大型物件で30~40億円であり、土地の広さは50坪程度が多く、大きいもので100~200坪程度になる。

 2020年7月期の売上高は212億7000万円、営業利益は34億4000万円の見込み。対前期比で利益が黒字化し、今年6月には通期業績計画を上方修正した。要因は原点回帰による在庫回転率アップだ。

「元々当社は在庫回転率が非常に高いことが売りであり、年間3~4回転ぐらいして売上、利益ともに上げていました。しかし、会社再生により社員が少人数になったため、ここ数年は効率を重視して大型案件を指向し、1案件が100億円以上のものをいくつか保有して権利関係をきれいにしてデベロッパーに卸していました。ただ、それだと1案件でも予定通りに売却できずに期ずれを起こすと、その数字がごそっと抜けてしまいます。また大型案件を年間、何回転もさせるのは現実的に不可能。そこで今期は中小規模の案件に注力し、その結果、在庫回転率がかなり改善しました」(同氏)


事前に数社に打診する

「出口戦略」を展開


 不動産市況は変動が大きいため、マーケット変動に耐えうる企業体質をつくる対策が必要だ。同社は物件選別のリスクを最小化する対策として、事前にデベロッパー数社に打診して需要をつかむ「出口戦略」を行っている。

「コロナ禍以降、当社では開発用地が活用される前提として、商業ビル、オフィスビル、

マンションの3つを想定しています。デベロッパーが提示する購入想定価格は基本的に商

業ビル用地が最も高く、マンション用地が最も低くなります。当社は複数のデベロッパー

に打診し、一番価格の低いマンション用地としての価格を出していただき、その価格を出口として見た場合に事業として成り立つかを検討して仕入れをします。打診は何社にもして、そのうちの数社から回答を頂きます。回答が1社だけの場合は需要がないということなので手掛けません。デベロッパーの皆さんが興味を持っていただく物件はだいたい同じであり、事前に打診して角度の高い回答を得てスタートするのが一番重要だと考えています」(同氏)


利益重視し安定成長

安全な都市づくりに貢献


 不動産業の売上は物件の規模によってトップラインが変動するため、同社は利益を重視

し15%を目処に上場企業としての安定成長を目指していく。

 現在、東京都心部には老朽化が進むものの権利関係が複雑に絡むため手つかずの建物が多数残っている。国によると、東京都内のマンションストック総数は165万戸、このうち旧耐震基準マンションがなお36万戸あると見られる。同社が推進する不動産再活ビジネスは、結果として建物の耐震化につながり安全な都市づくりに貢献している。





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