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アルファ【3434・東1】自動車ドアや住宅の「錠」専門メーカー 新用途ロッカーでストック収入も狙う

 1923年創業のアルファは、早くから自動車用キーセットの製造販売を開始。自動車

の鍵やドアハンドル、住宅の玄関鍵、コインロッカーなど社会に欠かせない様々な製品の

製造・販売を展開し、現在では世界12カ国に事業所を持つグローバル企業となっている。

2023年の創業100周年を前に、売上高700億円、営業利益率6%以上を目指す。

川名祥之社長

◎プロフィール 

1978年入社。2005年ALPHA HI-LEX S.A.DE C.V.取締役社長。08年常務執行役員。12年 ALPHA HI-LEX S.A.DE C.V.(現ALPHA INDUSTRY QUERETARO, S.A. DEC.V.)取締役会長兼社長、Alpha Industry Jalisco,S.A. DE C.V.取締役会長、ALPHA TECHNOLOGY CORPORATION取締役会長兼社長。12年同社取締役。15年同社代表取締役社長(現任)


「リージョン経営」で収益拡大

念願のヨーロッパ進出果たす


 同社の事業セグメントは「自動車部品事業」と「セキュリティ機器事業」の2つ。うち売上高の約84%を占めるのが自動車部品事業だ。同社は1933年に自動車キーセットの製造を開始。現在では国産と海外の自動車メーカー9社を取引先に持ち、インテリジェントキーやドアハンドルなどの自動車部品を世界各地で生産している。

 同社は1987年の米国工場を皮切りに海外各地に進出してきたが、業績が伸び悩んでいた。2015年に就任した現社長の川名祥之氏は、世界の主要マーケットを5つの地域に分け、地域ごとにほぼ独立した事業運営を行う「リージョン経営」を進めている。これによって収益基盤が安定し、2018年3月期には過去最高売上高を更新した。 

「中国やタイで安く部品を作って北米で組み立てていたが、部品の輸出入時に為替や関税、また港湾スト等のリスクも発生していた。できるだけ海をまたがずに製品を製造・販売するために考えたのがリージョン経営。地域の中で一番大きな会社に本社機能を持たせ、ヒト・モノ・お金の移動は地域内で完結する。この方法でロスを大幅に減らすことができた」(川名社長)

 2016年にはスウェーデンに本社があるASSA ABLOY AB社のカーアクセス・セキュリティ事業を買収し、ヨーロッパへも進出。18年にはやはり欧州の自動車部品会社を子会社化して拠点を増やしている。欧州の自動車メーカーとの取引実績を基礎に、アジアなど成長市場での事業拡大につなげる構えだ。


50年間の設置データを有効活用

新製品開発で利益体質を強化


セキュリティ機器事業では住宅・産業用ロックとロッカーを展開。電気錠、南京錠、自動販売機用ロックなど幅広い製品を製造、販売している。カードやリモコンで操作できる電気錠は、建材住宅メーカーのドアに標準装備されるなど販路を広げている。また同社は1964年の東京オリンピック開催時に日本で初めてコインロッカーを開発した企業で、現在も国内シェアは約4割と高い。特にゴルフ場の貴重品用ロッカーでは全国シェアの約7割を占める。

 ロッカーは納入後約10年で入れ替え需要が発生し、それに対してオペレーション(設置者と設置場所の双方で売上金を分配する契約)をすることでサービスが生まれ、安定した収入に繋がる。同社は50年にわたるロッカーの納入履歴データを整備し、ストック収入の基盤として利用しはじめている。

 番号やICカード、スマホで解錠する新製品の開発も進んでいる。たとえば玄関ドア用電気錠と同じ暗証番号やカードキーで操作ができる宅配ボックスや、ホテル宿泊者用のQRコード認証ロッカーなど様々な商品を生み出している。

「人手不足による省人省力化の流れで、ロッカーの新し

い用途が生まれている。さらに用途を開発して納入先を増やすことで入れ替え需要やサービスを作り、ビジネスの柱にしていきたい」(同氏)


CASEの流れにあえて乗らない

基幹部品に特化して生き残る


主力とする自動車部品の業界では、100年に一度の改革が進む。莫大な研究開発費を必要とする次世代技術「CASE」に対応するため、これまでのメーカー系列を解体し統合する動きもある。独立系を貫いてきた同社はどんな戦略で立ち向かうのか。

「大きな会社はCASEのアイテムに行こうとしているが、当社はこれまで投資してきた設備を有効に使って、CASEの時代になっても変わらない部分に特化した製品作りで成長していく。CASEが普及しても何割かは非常用にアナログの鍵が必要なはず。その時に世界で鍵メーカーが何社残っているかはわからないが、その中で一番強い会社でありたい」(同氏)