• 株主手帳編集部

イオレ【2334・マザ】「pinpoint」の強みは「らくらく連絡網」のデータベースDMP使ってSNSを閲覧するターゲット層に広告をリーチ

大学生・大学院生の4人に1人が利用するという日本最大級の連絡網サービス「らくらく連絡網」を運営するイオレが、2014年にリリースした運用型広告「pinpoint」を軸に業績を伸ばしている。2019年3月期の売上高は前期比26・1%増の19億5500万円。今年、小川誠社長が新たに就任し、「pinpoint」をはじめとする運用型広告事業を強化している。



小川 誠社長

PROFILE(おがわ・まこと)

1975年5月30日生まれ、19 98年5月エーブランチ(アルファー・ブランチ)設立、2005年9月ラフデッサン設立。2010年1月、イオレ顧問に就任。2010年、同社らくらく連絡網事業部営業部長、2010年同社取締役、2018年同社代表取締役副社長 などを経て、2019年6月に代表取締役社長に就任(現任)


 

 運用型広告とは、インターネット広告において、希望単価に応じて案件の上げ下げ、広告価格の入札調整、クリエイティブ変更を調整する広告だ。複数の広告の中からRTB(リアルタイム入札)で0・1秒以内に競り勝った広告が掲出される。期間とスペースが決められた従来の予約型広告では掲載終了前に運用効果を計ることができないが、運用型広告では

一定の費用対効果が期待できるという特性を持つ。


 イオレが運用型広告事業に参入したのは、「らくらく連絡網」が抱える課題がきっかけだった。2005年にスタートした同サービスは大学生のゼミ・サークル、部活、PTA、スポーツ団体など全国38万団体、669万人が利用するまでに成長したが、マネタイズに苦労していた。練習日の連絡など団体の活動時に使うという性質上、LINEやフェイスブックなど頻繁に閲覧するSNSのようにページビューが伸びないからだ。同社は2011年、アメリカで始まったインターネット広告で使われるアドテクノロジーに注目。「らくらく連絡網」をデータという側面で活かした「pinpoint」をリリースした。


連絡網サービスの課題きっかけに運用型広告事業に参入


「弊社の強みになったのは『らくらく連絡網』の会員プロフィール情報です。学校名、学年、性別、所属学部、クラブ名など非常に詳細な情報を含み、約27%の精度といわれるc

ookieなど推測のみなし属性に比べると、はるかに精度が高いからです」(小川誠社長)

 そのデータをDMP(データ・マネージメント・プラットフォーム)を使って匿名加工し、LINE、インスタグラムなどのID情報とリンクさせた。すると、例えば『〇×大

学〇×学部〇年生』だけを対象に、LINEのタイムラインなど普段使いのSNSを閲覧時に、広告を掲出できるようになったという。

 2017年の個人情報保護法の改正にも後押しされ、同社は凸版印刷「Shufoo!」など10数社と業務連携。現在、2000万人超のユーザー情報を保有している。

「国内のインターネット広告市場は1兆7000億円で、うち79・5%はすでに運用型広告です。現在はより即時性の高い広告が求められており、精度の高い属性データを多く保持している会社ほど強みを発揮できます」(同氏)


求人広告で2000億円規模の市場つくる

将来は旅行、不動産、TVなども


同社が今、もっとも可能性を感じている分野が求人広告だ。日本では人材不足や流動化の波をうけ、求人広告は1兆1000億円市場といわれ活況だが、予約型広告はそのうち8500億円ほどを占めており、まだ主流。アメリカでは運用型広告は2016年からスタートし、2年間で求人広告全体の25%にまで普及している。 

「日本の求人広告における運用型広告はまだ始まったばかりですが、予想以上に速い速度で変化しています。将来はアメリカ並みに全体の25%ほど、2000億円規模の市場をトップランナーとして作っていきたい」(同氏)

 

現在、同社の運用型広告事業の売上構成比率は前期比で46・5%から63・1%と大幅にシフトした。「pinpoint」を他社のオリジナル名称で販売する「OEM供給」も行っており、この事業が同期比3倍の売上になったことも事業全体の伸長に大きく貢献した。

「pinpoint」事業偏重にシフトする転換期となった2019年3月期は、営業利益率は前期比10%から4%に下がったが、数年後には売上伸長率20%以上、営業利益率15%を目指している。

「中長期的には、新しいデータを拡張しつつ、求人市場だけでなく新たなマーケットを開拓していきたい。旅行、不動産、飲食、またインターネットを介したTVやラジオの広告

でも可能性があると思っています」(同氏)