• 株主手帳編集部

イーグランド 【3294・東1】中古住宅メーカーの草分け好況味方に販売戸数1000戸へ

中古物件を買取り、リフォーム後に再販する「中古再生事業」に特化するイーグランド(3294)。2019年6月に創業30周年を迎えた同社は、景気変動に強い低価格帯物件を中心に、前期(19年3月期)には857戸を販売。今期第3四半期は販売件数の増加と高利益率の大型収益物件の売却などにより、前年同期比で増収増益となった。今後は好調な中古物件市場を追い風に、エリアの拡大などに注力。1000戸販売体制の早期確立を進める。


江口 久社長

Profileえぐち・ひさし 1957年生まれ、慶應義塾大学経済学部卒。1980年に鹿島建設入社。1989年に同社前身の恵久ホームを設立し、代表取締役社長に就任(現任)。






不況に強い低価格帯に強み


 同社は中古住宅を購入し、リフォーム後にエンドユーザーへと販売する、いわゆる「中古住宅メーカー」の草分け的存在だ。物件は、一般の中古住宅流通市場での買取の他、競売で仕入れる。施工は、提携リフォーム業者が担当。改修が完了すると、各物件の近隣不動産仲介会社が販売する。イーグランドは、仕入からリフォーム企画、工事管理などの商品化、販促、アフターサービスなどを物件担当の営業が一気通貫で対応。仕入から販売までの平均期間は約6~7ヵ月となる。  同業他社と比較したイーグランドの特徴は、マンション・戸建共に対応している点だ。取扱物件比率はマンションが7割、戸建が3割。これは、一般の中古住宅流通市場の割合とほぼ同じとなる。  また、メインターゲットが若年ファミリー層など初めて住宅を購入する「一次取得者層」であることも特徴のひとつ。そのため、取扱物件の平均売価は約2000万円と、ローンを組んだときの支払月額が、同立地条件の賃貸物件賃料と比較しても同程度以下の低価格に設定している。低価格物件物件のメリットは、需要が底堅いこと。高価格物件と比べると、景気変動の影響を受けにくい傾向がある。 「当社が取り扱う物件には、最寄り駅から徒歩10分以上の郊外の物件や、人気とは言えない駅・エリアの物件も多くあります。また、築年数も平均26年と比較的古い。他社があまり手掛けない物件や戸建も扱うことで、安定して物件を供給できます」(江口久社長)


中古マンション市場が拡大


前期業績は、売上高は前期比11・5%減の181・8億円、利益は軒並み同2桁減と減収減益。期初から売上が伸び悩んだ他、競合の増加や中古物件価格の高騰、長期化物件の販売価格見直しなどが影響した。  一方で今期第3四半期まででは、横浜と関西における居住用物件の仕入順調などが寄与し、販売件数が前年同期比7・8%増の664件に拡大。売上高は同9・5%となった 他、営業利益は同81・3%増と躍進した。  また、江口社長は市場全体の好況を指摘する。不動産経済研究所によると、2000 年頃には10万戸近くあった首都圏の新築マンション販売戸数は、19年には3・1万戸ま で減少。一方、同年の中古マンション成約件数は3・8万戸。中古マンション成約件数 は、16年から新築マンション販売戸数を上回っており、今後も中古物件優勢は続くと見 られる。 「これまでの傾向をみると、中古再販市場が縮小するのは当面考えづらい。同業他社も 増える中、如何に仕入を確保するかが課題ですね」(同氏)


始まりは中古リゾート物件


同社は平成元年のバブル真っ只中、江口社長がビル物件や事業用地の仲介事業をスタートさせたことから始まる。ほどなくバブルが崩壊し、同事業の需要が縮小。その頃、江口社長の目に留まったのが新潟県越後湯沢のリゾート物件競売情報だった。 「新築だったら2000~3000万円程のリゾート物件が、200~300万程度で沢山競売にかけられていました。これなら自己資金でも買えるなと思い、まずはリゾート物件の再販から開始しました」(同氏)  1996年、同社は競売にかけられたリゾート物件を入り口に、本格的に中古住宅再販事業に参入する。当時は購入した物件をリフォームし、400~500万円でエンドユーザーに売却。売却戸数が増えるにつれ、事業エリアを草津や那須、軽井沢、箱根、熱海、伊豆高原と拡大させた。  2000年代半ばには、事業範囲を総合リノベーション事業へと拡大。次第に主要取扱物件を、リゾート物件から都市部の居住用物件に移行した。


↓リフォーム前

↓リフォーム後





市場好調を背景に10年で倍へ


今期は、18年3月期から開始した中期経営計画の最終年。同計画では、基本方針の1つ に「事業エリアの拡大」を挙げている。  これまで同社は首都圏・関西・札幌で事業を展開していたが、20年4月に名古屋支店を開設。これまで開拓が進んでいなかった東海エリアの足掛かりとする。また、将来的には福岡エリアの出店も視野に入れていれているという。

「収益機会の拡大」も基本方針に表明。ストック収益である賃貸収益を拡大させるほか、収益物件など商品の多様化も促進している。今期第3四半期までには、利益率の高い収益用一棟マンション3棟の売却などが寄与して、売上総利益率が前年同期比の15・3%から17・7%に上昇した。 「収益物件の売上高は、全体の1割程度です。収益物件や賃貸物件といった商品の多様化は進めますが、一方でバブル崩壊のような局面で、換金性がないため必ず消費者に不幸を招く不動産小口化商品などは絶対にやりません。これは信念です」(同氏)  同社のコンセプトは、「良質廉価な中古物件の提供しよう」。順調な市況を追い風に、今後も顧客に寄り添った物件の提供に注力する。 「今は売上高200億円前後ですが、市場規模を鑑みれば今後10年で倍増は行けると思いますよ。事業エリアの拡大と仕入力の強化、収益機会の拡大などを進めることで、まずは販売戸数1000戸突破を目指します」(同氏)



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