オエノンホールディングス【2533・東1】持続的成長へ取り組む100年企業 「働きやすさ」「環境配慮」達成へ尽力


 企業にとってESGは、経営指針や行動に大きな影響を与えるファクターとなっている。グループで酒類製造などを行うオエノンホールディングスでも、持続的成長を実現するため様々な施策を打ち出している。短期的には創業100周年を迎える2024年に向け、「新中期経営計画2023」で、グループの売上高900億円を目指している同社だが、その先を見据えた企業価値の創出に取り組んでいる。


 

西永裕司社長

Profile◉にしなが・ゆうじ

1988年小樽商科大学商学部卒業、証券会社勤務を経て合同酒精(現オエノンホールディングス)入社。2005年富久娘酒造取締役経営管理部長。2007年合同酒精執行役員経営企画部長、総務部長。2015年からオエノンホールディングス代表取締役社長を務め、2016年からは合同酒精代表取締役社長も兼務。





「女性活躍推進プロジェクト」始動

柔軟な人事異動で優秀な人材を維持


 持続的成長を実現させるためには、ダイバーシティの推進は欠かせない。同社では働きやすい職場を目指し、「女性が活躍できる」環境の整備を進めている。

 目玉となるのは2020年6月、女性社員8名で発足した「女性活躍推進プロジェクト(WINT『ウインツ= Women,s INnovation for Tomorrow』)」だ。

「チーム名には、メンバーそれぞれの個性によりイノベーションが生まれ、同社と全社員の未来を創るという意味が込められている。女性も男性も働きやすい環境改善の提言を行っている」と、西永裕司社長は話す。

 同社では、グループ全体で908名の社員のうち、164名の女性が在籍(2020年12月末現在)。職種は営業部門から研究部門まで多岐に渡っており、実績を重ねている人材も多い。同社にとって、いかにこうした優秀な女性社員に長く活躍してもらうかは積年の課題だった。今年行った2つの人事異動は、そのターニングポイントになりそうだという。

「まだ入社数年で前途有望でしたが、結婚を機に夫の転勤先へ転居するため、退職したいという女性社員がいました。当社としては、専門性もあり、何とか続けて勤務してもらえるよう検討したところ、幸い当社には転居先に支社がある。ここで勤務してもらうのはどうかと打診をしました。結果、全く同じ業務ではないものの、快諾を得、優秀な人材を手放さずに済んだのです」(同氏)

 同じく夫の転勤を機に退職を願い出た女性社員についても、転居先近くのグループ会社への転籍という形で、退職せずに済んだ。

「女性は男性に比べ、結婚、出産、配偶者の転勤など、退職せざるを得ない状況があるのが実情です。それに対して辞めずに継続して働ける環境や制度の整備が重要です」(同氏)

 とはいえ、どうしても辞めざるを得ない事情が発生することもある。その場合は「カムバック制度」がカバーする。これは退職時に登録することで、退職後に同社への再就職が有利になる制度だ。「様々な事情で一度退職した後、時期を経て再び働ける環境の維持が重要だと考えており、ゆくゆくはこういった人の中から、女性役員が誕生してほしいと願っています」(同氏)

 同社としても女性社員への期待は大きく、今後も柔軟な人事異動を行っていく。

 また、働きやすい職場環境には、近年叫ばれているジェンダー問題も避けては通れない。とりわけLGBTQ+については、「センシティブなことでもあり、経営層が率先して向き合うことが最も大事」(同氏)と、外部から講師を招き、理解を深めるための役員研修を実施している。


酒類業界初の自己熱再生システム

CO2排出量削減へ貢献


 一方で、持続的成長のためには、環境への取り組みも重要な課題だ。同社はその施策のひとつとして、アルコール蒸留設備の増設工事を挙げる。

「2019年に合同酒精清水工場に50億円を投資して、アルコール蒸留設備を増設、そのボイラーに、酒類業界では初となる自己熱再生システムを導入しました。回収した蒸気をコンプレッサーで圧縮することで熱エネルギーを循環再利用でき、CO2の排出量を年間35%削減できます。環境にやさしく、地球温暖化の改善に貢献しています」(同氏)

 これによりコストも40%程度削減されたという。

「投資家の皆様には、機会があれば是非、工場を見学していただきたい。直接現場を見ていただくのが、一番ご理解いただけると思います」(同氏)

「企業としての持続的成長と、中長期的な企業価値の創造の達成」に向け、100年企業の次の100年に向けた取り組みが注目される。


本格焼酎のNB商品が強み

酵素医薬品事業は大きく成長


 合同酒精を中核事業会社とする同社は、しそ焼酎「鍛高譚(たんたかたん)」や本格焼酎「博多の華」、甲類焼酎「ビッグマン」などの焼酎をはじめとする酒類事業を主力とする総合酒類メーカーだ。コンビニ・量販店のPB商品製造にも積極的に取り組んでいるほか、第二の柱としてラクターゼなどの酵素製造や生産受託を行う酵素医薬品事業が、近年は大きく成長している。

 2021年12月期の連結業績は売上高780億円、営業利益7億円、経常利益7億円を見込んでいる。

 同社では株主との対話を重視しており、西永社長が就任以降、「社長と語る会」と題する株主との交流会を開催している。通常は対面によるが、昨年と今年は新型コロナウイルスの影響により、オンラインにより開催している。



▲合同酒精清水工場ボイラー



 

2020年12月期 連結業績

売上高

777億1200万円

前期比 3.0%増

営業利益

22億2100万円

同 26.7%増

経常利益

22億4800万円

同 28.8%増

当期純利益

11億4700万円

同 3.9%増


2021年12月期 連結業績予想

売上高

780億円

前期比 0.4%増

営業利益

7億円

同 68.5%減

経常利益

7億円

同 68.9%減

当期純利益

5000万円

同 95.6%減

※株主手帳1月号発売日時点