• 株主手帳編集部

オルガノ【6368・東1】半導体製造に必要な超純水製造装置の世界的大手2022年3月期売上高、過去最高更新へ


 オルガノは、半導体の製造に必要な超純水から水道水、下水道に至るまで幅広い分野に水処理技術を提供している水処理エンジニアリングの総合企業だ。半導体市場の活況を追い風に、2021年3月期は過去最高の売上高を達成。22年3月期も更新する計画だ。今後も市場は拡大が続く見込みであり、主力の電子産業分野を主軸に一層のサービス強化を図っていく。


内倉昌樹社長

PROFILE◉うちくら・まさき

1954年8月6日生まれ、鹿児島県出身。京大大学院修了。工学博士。1982年東洋曹達工業(現東ソー)入社。2016年取締役常務執行役員機能商品セクター兼高機能材料事業部長、2017年オルガノ取締役兼専務執行役員機能商品本部長などを経て、2019年取締役社長(代表取締役)社長執行役員に就任(現任)。




水処理エンジニアリング事業

売上比率8割強占める


 オルガノの社名は、創業者の丸山正武氏が飲料水確保の研究に用いたイオン交換樹脂の学名「オルガニックゼオライト」に由来する。1946年の創業から一貫して「水」に関わり、様々な産業分野に水処理装置・技術を提供。近年では、半導体の製造に必要な超純水の製造装置の世界的大手として知られている。

 超純水とは、塩類や有機物などの不純物を極限まで取り除いた純度の高い水のこと。洗い流す力が非常に強く、半導体製造には必須のものだ。この半導体向け超純水の製造装置メーカーは世界に数社しかなく、国内では同社と栗田工業、野村マイクロ・サイエンスの3社が業界上位を占める。

 同社の2021年3月期の連結業績は、売上高が過去最高の1006億3800万円、営業利益は95億7900万円。主力は売上の8割強を占める水処理エンジニアリング事業だ。

 同事業の21年3月期売上高は824億円。顧客の要望に応じて純水・超純水製造設備、排水処理・排水回収設備などを新規で納入するプラント事業と、設備を納めた後に運転、管理、メンテナンスを行うソリューション事業の2領域があり、売上比率はプラント事業が47%の390億円、ソリューション事業が53%の433億円となっている。

「特に半導体関連の超純水製造装置は、納めた後も安定して動かし続けることが非常に重要であり、設備の運転管理やメンテナンスが欠かせません。そういったサービスをソリューション事業と呼んでいますが、その比率が年々増えてきています。また、プラントを納める事業は価格競争が厳しいですが、一旦納めた後は水質保証の面から当社が継続して運転管理を担うので、競争が少なく安定した収益を得ることができます」(内倉昌樹社長)


加工受託契約が増加

長期の安定的な収益に


 ソリューション事業の中でも新たなビジネスとしてニーズが増えているのが「加工受託契約」だ。いわゆる〝サブスクリプション型の水売り〟といえるビジネスであり、同社が自ら投資して顧客の工場の敷地に超純水製造装置を設置。同社社員が常駐して装置を運転管理し、超純水の供給や排水処理などのサービスを提供する。

 この契約では、顧客は設備を保有せず、5~15年の長期契約で基本料金プラス従量制の料金を支払う。これまでの実績では、同社が水処理プラントに投資する額は1基で数億~数十億円に上り、顧客から長期にわたり売上が見込め、自社努力による収益確保の余地も大きいので、安定的に収益を上げることができる。

「近年、半導体の装置関係は投資の額が非常に大きくなってきていて、お客様が全部自前で投資しようとすると膨大なキャッシュが要ります。しかし、この契約だと負担が少ないのでニーズが増えています」(同氏)

 今期(22年3月期)には過去最大規模の加工受託契約を計画しており、23年3月期以降業績への貢献が始まる見込みだ。

 また、施設の運営管理にIoTの技術を活用。最新のデジタル技術によって最適かつ効率的に水処理を行う体制を強化している。遠隔監視やリモートでの設備管理のニーズが高まっており、新しいソリューションサービスとして注力している。


▲オルガノの超純水製造装置



中計は売上高1100億円以上

営業利益105億円以上目指す


 22年3月期~24年3月期の中期経営計画では、最終年度の売上高1100億円以上、営業利益105億円以上を目指している。活況なDX(デジタルトランスフォーメーション)の需要やICT活用を背景に半導体市場はここ10年程は拡大が続く見通し。同社でも台湾、中国の海外売上が拡大している。

 一方で、半導体の高性能化が進み、洗浄に使われる超純水も非常に純度の高いものが求められている。そのため同社は投資を拡大して最新の技術開発に取り組んでいる。

「例えば、不純物のレベルが1兆分の1のpptだったのが、最近では千兆分の一のppqという非常に微細な不純物を問題にするようになっています。求められるレベルはどんどん厳しくなっていて、そのための技術開発に投資してご要望に応えていけば、当面はかなり成長できると考えています」(同氏)


SDGsの視点から

水のリサイクルに注力


 近年は、世界の水資源問題が重要視されており、同社は水のリサイクルに注力。半導体工場で使用した水を回収して元のきれいな超純水に戻す技術や、生活排水を回収して再利用する技術の開発を進めている。

「民間の工場でもSDGsの視点から、少しでも排水を少なくしたい、かつ少ないエネルギーで回収したいという要望が高まっています。そういった仕事が増えていくことは社会のニーズに応えることでもあります。上下水道などのインフラビジネスとなると世界の水メジャーといわれる巨大企業が競合となるので、しっかりと実力をつけていきたいと考えています」(同氏)




▲プラント納入後のメンテナンスの需要が増加