• 株主手帳編集部

オンリー【3376・東1】ツープライススーツショップのパイオニア高い自己資本比率、新事業育成を視野


オンリーは、紳士服・婦人服のスーツ等の企画、製造、販売を一貫して手掛けるSPA

企業だ。ツープライススーツ店のパイオニアであり、バーゲン販売を一切しないことを特

徴とする。堅実な経営により財務状況が良いことから、今後は新事業育成の動きを加速さ

せていく方針だ。

中村 直樹社長

◎プロフィール なかむら・なおき

1971年2月22日京都府生まれ。1995年3月立命館大学経済学部卒業、同年4月日興証券入社。2001年オンリー入社。常務取締役、取締役常務執行役員などを経て19年11月代表取締役社長に就任(現任)。











佐賀県武雄市に自社工場

独自技術で差別化


 京都発祥のオンリーは、元テーラーの中西浩一会長が京都山科に開業したオーダースーツ専門店「紳士服中西」をルーツとする。中西氏は1976年に同社を設立し、京都北山にメンズブティック「オンリー本店」をオープン。その後、ウィメンズ(レディース)など新業態店を次々に手掛け、現在は全国に60店舗を展開する。

 中村直樹社長によると、同社にはスーツ大手他社とは違った主に3つの特徴があるという。1つは、テーラーからスタートしたことを強みとし、物づくりにこだわっていること。自社工場「オンリーファクトリー」を佐賀県武雄市に運営し、オーダースーツはすべて同工場で縫製している。

「スーツ作りには湿度管理が命であり、日本の風土に合わせて工場内の湿度を常に60%に保っています。また、自社工場を持つことで既製服の海外拠点に対して技術指導ができるので、コスト面でも抑えることができています。超軽量スーツの『空(くう)仕立て』や、自宅の洗濯機で洗える『ホームウォッシュスーツ』などの製造技術を持っていることも他社との差別化となっています」(中村直樹社長)

 2つ目の特徴は、「時代の先を行く」こと。今、スーツ各社が展開するツープライススーツは、他社に先駆けてオンリーが始めた。1999年にツープライスショップの

「スーパースーツストア」(現在はオンリーに統一)を立ち上げ、1万9000円と2万8000円の2つの価格設定を展開。流行のスーツを分かりやすい価格で販売するビジネスモデルを作り上げた。

 また、本格的なパターンオーダースーツを業界でいち早く始めた。採寸はゲージ服(サンプルスーツ)を使って行い工程上のロスを省くため、高品質かつ低価格で提供できるのが特徴だ。「オンリーテーラーメイド」のブランドで2002年にスタートし、通算30万着のスーツを販売している。

 3つめの特徴として、「意外と慎重なやり方もやってきた」と中村社長は話す。大手他社が事業の多角化を進めてきたのに対し、同社は無理な拡大をせず、堅実な経営をしてきたことにより健全な財務体質を維持している。


▲スーツショップ「オンリー」外観










アウトレット販売の

「スーツ&スーツ」拡大


 2019年8月期の連結売上高は72億4200万円(実績)。商品別売上比率はスーツが5割強であり、シャツ、ネクタイ等合わせて約4割、ウィメンズが約1割となっている。

 同社は現在、スーツショップ「オンリー」などのオンリーブランドと、アウトレット販売

等を行う「スーツ&スーツ」の大きく分けて2業態を展開する。「オンリー」は、大都市圏を中心に全国に40店舗を展開する。14年にはトレンド感と品質を追求した「オンリープレミオ」をスタート。19年1月に東京有楽町にオンリープレミオの旗艦店をオープンし、2000着以上のスーツや1000種類以上のオーダースーツ用の生地、約1000種類のベスト

や蝶タイなどを提供している。「スーツ&スーツ」は、オンリーで取り扱う一定期間経過した商品を低価格で販売する業態だ。ショッピングセンター(SC)など全国に20店舗あり手堅いビジネスを展開している。

「オンリーの客単価が約2万円なのに対し、スーツ&スーツの客単価は1万円ほど、売上規模はオンリーの6分の1程度ですが、SC店舗や都市部のビジネスマンの多い地区でよく売れています。利益率が取れる業態であり、今後この業態を積極的に出店していきます」(同氏)


▲アウトレット販売の「スーツ&スーツ」












健全な財務体質を生かし

事業規模拡大を推進


 同社は新型コロナウイルスの影響を考慮し、20年8月期の業績については大幅な減収を見込んでいる。しかし、今後10年間の大きな方向性は従来と変わらず、企業規模拡大を推進していく。

 その施策の1つとして、「スーツ&スーツ」の店舗数を現在の倍以上に拡大する計画だ。この業態では昨年あたりから、業務委託による店舗運営を開始し成果を上げている。

 また、健全な財務体質を生かして新事業を育成していく方向を目指している。

「財務内容については、総資産約83億円のうち自己資本が約68億円、自己資本比率は約82%と高く、経営は安定しています。財務的な有利性を生かして、基盤のあるところと手を組むチャンスが来ているのが当社の強みだと考えています。当社は洋服屋からスタートしましたが、ここから横幅を広げて世の中に貢献できることをやっていきたいと考えています」(同氏)






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