• 株主手帳編集部

カクヤス【7686・東2】23区内なら最短1時間で1本から酒を宅配便利さ追求で飲食業4万店から熱い支持

業務用・一般用の酒類販売及び配達を行うのがカクヤス(7686)だ。東京・大阪中心に店舗を展開、年商は1087億円(2019年3月期)。昨年12月末には東証二部に上場し、主戦場の東京・大阪以外にも知名度を広げている。


佐藤順一社長

プロフィール:さとう・じゅんいち 1959年生まれ。東京出身。筑波大学卒業後、祖父が創業し父親が社長を務めるカクヤス本店(現カクヤス)に1981年社。専務を経て、1993年に代表取締役社長に就任(現任)。








年商1087億円のうち 7割が業務用配達


ピンクの屋根が目を引く大きな荷台付き自転車が店舗を出発し、縦横無尽に都内を走る。カクヤスの配達車だ。23区内等のエリアであればビール1本から無料で配送、場所は店でも一般家庭でもバーベキュー会場でもどこでもOK、という手軽さがウケて、売り上げを伸ばしてきた。  同社の売上のうち7割以上を占めるのが、料飲店などの顧客に配達を行う、業務用売上だ。2020年3月期の売上予想は1104億6000万円で、そのうちの795億50 00万円がこの業務用売上となる見込み。そして全売上の残り3割を、個人向けの宅配売上と店舗での販売売上でほぼ二分する。店舗及び小型倉庫等は、東京23区及び大阪中心部に173カ所あり、他に業務用物流センターを11カ所置く。2017年に東京都大田区に開設した7000坪ある平和島流通センターは社内物流専用で、問屋の配送機能に頼らず各拠点まで配送できる体制を整えた。365日対応のコールセンターも、本社内に自前で設置している。


▼ピンクの看板が目立つ「なんでも酒やカクヤス」店舗

















▲注文を受けるコールセンターは365日対応



都心繁華街は朝5時まで 1時間以内で即配


同社のビジネスモデルの核は、東京23区内なら最短1時間で、酒瓶1本から配送する、きめ細かなサービスだ。  一般的な業務用酒類販売はルート配送で、飲食店が前日にファックスなどで注文した分が、翌日に手元に届く。一方カクヤスへの発注は、当日の追加注文も可能なため、その日の天気やお客の入り具合など細かな点も反映させることができる。店にとって大きなメリットだ。 「料飲店にとっては、在庫の圧縮が可能だということ、そして、発注用の人を付けなくていい、といった点があります。最初は業務用と一般用の売上が半々くらいでしたが、今では業務用が7割を占めます。都内の場合、23時まででしたら1時間以内に運びますし、歌舞伎町、新宿二丁目、六本木などのエリアでは朝5時まで対応しています」(同氏)  1・2㎞を商圏として都内に網の目のように張り巡らされた店舗の存在が、この仕組みを支えている。店舗は倉庫も兼ね、平地は主に自転車で配達を行う。都心の大きな繁華街では、既存の店舗が4つ集まる中心地点にさらにもう1店舗を出店、よりきめ細かな対応を追求している。 「まず、店舗と配送、両方やっているというところが我々の強みです。看板を掲げているので料飲店さんにも知られていて、近くにあるということが安心感に繋がっているのだと思います」(同氏)  単なる配送業者との違いは、玄関先で接客ができる点。行っているのは、配達というより販売だ。届けている相手は常に「見えて」おり、どこの注文が来ていないかわかれば、すぐに営業マンが飛んでいく。この点では、こと酒販に関してはAmazonに対抗する優位性を持つとも言えよう。


■カクヤスの配達サービスのイメージ





















▲ピンクのリヤカーで配達



個人向けから業務向け 転換で黒字化を達成


 1921年に創業した同社が転機を迎えたのは2000年のことだ。酒類の市場は1990年代の7兆円をピークに縮小し、加えて数年後には酒類免許の自由化が控えるタイミング。当然、大手の参入も予想された。当時のメインは店舗での販売と個人向け宅配だったが、そんな中ひとりの社員の「どうして個人向けに宅配するなら業務用の配達もしないのか」という声をきっかけに業務用販売に注力することとなった。  一般的に既存の取引先との関係から難しい業務用の新規開拓は「夜など、困った時はウチに」というソフトなアプローチからだんだんと裾野を広げ、支持を獲得。この取り組みが奏功して売上は2003年から急激にアップした。販売量に応じてメーカーから支払われていたリベート(報奨金)が廃止となり、価格に頼った酒類販売店がつぶれていく中、同社は逆に2006年には黒字化を果たし、2011年の同業のマインマート買収で売上1000億円を超えた。


人材は高卒を積極採用 地方展開はM&A視野に


昨年12月末、カクヤスは東証二部に上場した。知名度の向上と共に資金調達をしやすくする環境を整え、人材確保と地方展開を容易にするためだ。 「当社では、高校生の新卒採用にも力を入れており、毎年100名、多い時では120名程を採用します。4大卒は20〜25名程度。紹介などのその他も含めると全部で150名くらいを毎年採用しています」(同氏)  一方の地方展開は、新規開拓と物流で苦労した大阪での経験をもとに、博多や仙台といったある程度大きな都市圏を、既に顧客や人材を抱えた企業のM&Aによって攻める考えだ。  今後の大きな課題は「隙間時間」の存在。都内では1時間枠での配達ということもあり再配達率は極めて低く非常に効率的だが、配送希望時間は集中しがちだ。既に、配達が少ない時間帯にポイントを付けて誘導するなど対策は講じているものの、そもそもそうした時間は埋まらない。 「時間帯をならすのではなく、時間の谷で何をするか、何で埋めるのかが大きなテーマ。そこで何を運ぶかというのが、カクヤスの企業価値を変えるのではないかと思っています」(同氏)



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