• 株主手帳編集部

キリン堂ホールディングス【3194・東1】近畿圏を中心に郊外型ドラッグストア展開「未病」をテーマに地域の顧客とつながる

キリン堂ホールディングス(3194)は、売場面積150〜300坪の郊外型店舗を中心に、全国371店舗のドラッグストアチェーンを展開。関西地区ではドミナント出店戦略を推進し、知名度、シェアともに高い。2020年2月期は、重点的に進めてきた売上総利益率の改善により売上高、利益ともに過去最高となった。創業以来の地域密着型ビジネスが着実に実を結びつつある。

寺西豊彦社長

PROFILE◉てらにし・とよひこ

1957年生まれ。80年京都薬科大学薬学を

卒業後、津村順天堂(現ツムラ)入社。82年キリン堂に入社。85年取締役就後、常務取締役営業システム部長、ドラッグストア事業部長などを歴任。その後、代表取締役副社長を経て、2012年代表取締役社長に就任。14年、持株会社キリン堂ホールディングスの代表取締役社長執行役員に就任(現任)。

地域の中核店として高認知度

ポイントカード会員は140万人


 同社の店舗の8割は関西圏に立地。徒歩6分以内の小商圏に広い売り場と駐車場を持つ店舗を展開し、その近隣にさらに複数出店するというドミナント戦略をとっている。医薬品から化粧品、食品などを含め豊富な品を揃え、短時間で生活必需品を一度に購入できる店として地域での知名度は高い。最近ではポイントカード「KiRiCaカード」の会員数が大きな広がりを見せている。月に1回以上買い物をしているアクティブ会員は約140万人。昨年10月にはスマホアプリ版もスタートし、32万人が利用している。創業以来「未病」を大きなテーマに掲げており、病気になる前に健康な生活を維持するための食生活や生活習慣のアドバイスなどを提供しているのも特徴だ。

「当社は “会員制ビジネス”という概念で、何度も繰り返し来ていただける店舗を目指しています。品揃えだけでなく、接客を通じてお客様の健康に対する意欲を上げることで需要を喚起することを旨としています」(寺西豊彦社長)


PB商品の開発・販売拡大

営業利益率向上目指す


 2020年2月期の業績は、売上高1332億7900万円(前期比2・8%増)、営業利益27億9700万円(同37・5%増)と大幅な伸びとなった。同2月期は前中期計画の最終年度に当たる。この3年間に、新規出店よりも既存店の活性化による粗利率改善を重視する方針に転換し、ほぼ計画通りの27・1%の粗利率を達成。さらに21年度を初年度とする3カ年の新中期経営計画では、営業利益率アップに向け様々な施策が発表されている。

 好調な公式アプリを活用した顧客戦略とともに、重点課題として掲げるのは、未病対策提案を軸としたヘルス&ビューティケアの強化だ。同社は未病や医食同源をテーマとした健康食品や医薬品、化粧品などの高付加価値なPB(プライベートブランド)商品を開発・販売してきた。

「今後は、強みである未病対策をさらに強化していく。20年2月期は66製品の新規商品開発を行ったが、今後は新商品リリースを更に増やすとともに、既存商品の販売手法も変えていきます。

 特に重要なカテゴリーである健康食品の中で、機能性食品を強化していき、ヘルス&ビューティケアPB商品比率を現在の10・4%から14%に上げていく」(同氏)

 店舗オペレーション改善による作業の効率化にも取り組む。来店する顧客の台帳をデジタル化し接客サービスを向上させるため、店舗にタブレット端末を導入する予定だ。また全店舗を通じた作業の標準化で効率を上げることで、接客に向ける時間を増やしていく。効率化と同時に、地域の顧客需要に合わせた売場改装も不可欠だ。改装によって売上高、客数、客単価が改善された実績があるため、新中期経営計画期間は計135店舗を改装の予定だ。


▲関西地区を中心に地域密着型の業態を展開する

調剤薬局数を大幅に拡大

リアル店舗&ネットでつながりを


 中期経営計画では、処方せん取扱店舗数の拡大にも取り組む。厚生労働省が推し進める「かかりつけ薬剤師・薬局」の拡大で、医者が発行した処方せんを元に調剤ができる店舗の需要が高まっている。調剤は他の商品と比べて利益性が高いこともあり、同社では23年2月までに処方せん取扱店舗を60店舗拡大する予定だ。

「最大のボトルネックは薬剤師の採用。しかし、厚生労働省によって、薬のピッキングや確認などは調剤助手がやってよいと認められたので、薬剤師の業務が減り人手不足は緩和されるでしょう。それよりも、これからは地域のかかりつけ薬剤師としていかに機能するかがポイントになる。お客様と深くつながるには、処方せん取扱は絶対に不可欠なものだと思っています」(同氏)

 新型コロナ問題で、ドラッグストアを取り巻く環境も大きく変わりつつある。今後の同社の戦略はどんなものか。

「商品のニーズはまだまだ拡大するが、同時に、店に来なくてもネットで購入できる仕組みが必要。その窓口とも言えるスマホアプリが拡大していることは、長年関西で事業を展開してきた財産だと思っている。このお客様とのつながりを活かし、情報提供や需要創造をさらに深めていきたい」(同氏)





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