• 株主手帳編集部

クリナップ【7955・東1】35 年間のロングセラー「クリンレディ」を刷新 創業 70 年キッチン老舗が現場目線で業績回復へ

創業70周年を迎えたキッチン販売大手のクリナップ(7955)が、大胆な「変革と創造」に挑んでいる。昨年、同社初の営業畑出身トップとして竹内宏社長が就任。人気の「クリンレディ」をブランドチェンジするなど、攻めの事業展開を推進。10月に経常利益の上方修正を行うなど、業績も前期の損失から回復している。


Profile●たけうち・ひろし

1956年1月生まれ、兵庫県出身、専修大学商学部業。1979年 井上工業(現クリナップ)入社。2012年執行役員、16年取締役常務執行役員などを経て、18年1月 営業本部長、18年4月 代表取締役社長執行役員に就任(現任)。


竹内 まずは、意識改革です。ここ数年の営業を見てみると、社員の「数字への執着心が薄

らいでいる」ことを感じました。セット商品は納期まで2週間くらいかかるのですが、みんな商品発注が終わったら「当月は終わり」という意識なのです。そこで、月末に目標の数値が未達だったら「その悔しい思いを、次月以降にしっかりぶつけてくれ」と訴えました。「意識が変われば行動が変わる、行動が変われば結果が変わる」と繰り返し、意識改革を言い続けています。


─社長就任後も1年間は営業本部長も兼務していましたが、今年3月、その営業本部を廃止しました。


竹内 営業全部門の管掌という担当役員は置いていますが、基本的に4支社・1支店の各現場に、人・モノ・金の権限を委譲しました。今までは、何かあっても「これ以上は本社決済」というものがありました。それらを現場でクリアできるようにし、レスポンス良く、お客様に対応できるようにしました。ここ数年はバックヤードを充実させ、営業に専念できる体制を整えることに注力しています。システム導入の時期も目処が立ち、利益や営業効率をもっと上げていきます。


定番ブランド刷新を決断


─今、キッチン業界では、高くて良いものが売れなくて安いものの方が売れる、業界全体が儲かっていない状況があります。


竹内 当社でも、中高級価格帯と普及価格帯の構成比は、価格では中高級が6割くらいなのですが、台数ベースでは普及品が62%、中高級品が38%と逆転します。その構成比が変われば、売上も利益も変わってくると思っています。


─御社のラインアップでは、高級価格帯が「セントロ」、中高級が「ステディア」、普及が「ラクエラ」ですね。中高級で販売台数が4割だというと、会社全体で約22万台だから10万台に届きませんね。


竹内 「ステディア」は6万台を超えましたが、「セントロ」はまだ1万台にいかないくらいです。高級帯の前ブランド「S.S.」の良い時の半分にもいっていません。

「セントロ」は非常に高いイメージがあるので、100万円を切るシンプルプランを切り口にするべく各ショールームに置かせました。


─普及帯の「ラクエラ」が商品的に良すぎて、その分、中高級の顧客を取ってしまっているという話も聞きます。


竹内 「ラクエラ」は2月にモデルチェンジしてデザインもよくなり、評価も高いのですが、根本的に木製のキャビネットなのですね。それに対して中高級以上のブランド「セントロ」「ステディア」は、ステンレス製のキャビネットです。クリナップは、やはりステンレスなのです。サビやよごれ、熱に強く、カビやニオイも付きにくいステンレスを見えないところにも使う。テレビコマーシャルでも、そうご提案しています。


─それにしても、35年間続いた中高級帯の看板商品「クリンレディ」から新ブランド「ステディア」に変えたのは思い切った決断でしたね。


竹内 「クリンレディ」は、当社の諸先輩方が一生懸命育てて来られた商品です。しかしそれは過去の諸先輩方の実績です。創業70周年を迎え、社章に込められている3つのC、Change(変革)・Challenge(挑戦)・Creation(創造)にあるよう、会社が変わらなければならないときに、商品のブランドも変わらなければならない。今いる社員みんなで、新ブランドを大きな柱に作り上げていこうと、大きな決意と覚悟で決めました。


─ショールームは、体験型の「クリナップ・キッチンタウン」が4カ所目となりました。


竹内 全国に100カ所以上、ショールームがありますが、大阪・東京・名古屋に次いで、2019年6月、コンセプトショールーム「クリナップ・キッチンタウン・横浜」をオープンしました。最新キッチンの調理やイベントなどを体験できるショールームです。また、ショールームについては、ファーストインプレッションが大切です。ですから、展示方法や唯一、お客様と接点があるのはアドバイザーが一番、大きなところなのですね。私自身、全102営業所中98営業所に行きましたが、行く度にショールームの担当者には色んなことをうるさく言っています。


CSを重視した

ショールーム戦略


─前期2019年3月期は連結売上高1044億8600万円、経常損失3億7600万円の赤字でした。その要因は。


竹内 マーケットの変化に、我々が対応しきれていなかったということでしょう。商品もきっちりとした高級・中級・普及の構成が出来ていなかった、価格的にも昔と変わっていなかった、工場や本社も原価の低減などを含めて結果的に動けていなかった…。そうしたことから原価率が高くなって、売値、売価はどんどん下がって、利益ばかりを圧迫し、売り上げが減ると、利益はそれ以上に減るという悪い構図が出来ていました。


─11月に今期経常利益を上方修正し、業績も回復して来ました。今後の取り組みは。


竹内 コスト低減委員会を設立して、本社や開発、工場、生産、設計などを含めてコスト削減に努めています。また、CS(顧客満足)がカギだと思っています。CSは商品開発から、流通、販売、ショールームなどいろいろなところが関わって来ます。商品開発では、取り付け・設置をいかに楽にするか、配送では段ボールの問題やキズを付けない方法とか…。また工場では、「1つの不良品を出すことによって、どれだけ現場が大変になるかを理解してくれ」と話しました。

 次の新事業戦略は、海外展開、富裕層対応など。そしてバス・洗面などのサニタリーの売り上げももう少し上げたいですね。




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