• 株主手帳編集部

クロスフォー 【7810・JQ】業界異例のジュエリーパーツの輸出で海外比率3割微細に揺れる「ダンシングストーン」で新市場を創出

 山梨・甲府に本社を構えるクロスフォー(7810)はジュエリーパーツ企業として国内に

とどまらず、海外にも製品を提供している。輸入したパーツを加工し、国内で販売する同業

他社が大半を占める中、同社は業界でも異例ともいえるジュエリーパーツの輸出を幅広く行

う。微細に揺れて輝く「ダンシングストーン」など、独創的な製品づくりで特許も多数持つ。


土橋 秀位社長

Profile◉どばし・ひでたか

19 5 4 年8月2 2日、山梨県生まれ。

1977年、東海大学卒業後、渡米。80年、GIA.G.Gを取得し帰国。同年、土橋宝石貿易を創業。1987年ジバドを設立、2002年に社名をクロスフォーとし、代表取締役社長に就任(現任)。








独創的なアイデア

形にする製品づくり


 同社は国内ではネックレス、ピアスなど完成品を主に他ブランド向けにOEMで供給。国内の宝飾メーカーは顧客でもある。また海外向けにはパーツのみを販売、またはライセンス契約を結ぶという唯一無二の立ち位置を取る。20に提供するクロスフォー社には、土橋社長が中心となり企画、製品化されたものが多数ある。

 片手で簡単つけ外しができる画期的な留め金具「エクセレントロック」や従来のダイヤモンドのカットにはない独自のカット方法で中央に“光る十字”が見える「クロスフォーカット」、時計バンドのメーカーとのコラボで生まれたテニスブレスレット「ブリリアントブレスレット」。そして同社が主軸の製品に掲げる「ダンシングストーン」など、どれも独創的なアイデアを形にした製品だ。


微細な振動で揺れる

社長自らが発明


「ダンシングストーン」とは、人間の鼓動や息遣いなど微細な振動で宝石が踊っているように見えることから名づけられたジュエリーパーツ製品だ。国内外で瞬く間に人気となり、累積販売個数は全世界で約3000万個、世界33カ国で特許を取得している。

 ダイヤの場合、美しさの条件はカット、カラー、透明度を表すクラリティ―、カラットの4つといわれる。これまで宝石はカットを複雑にしたり、リングでぶら下げるなどの加工で輝きを見せるのが一般的だった。だが同氏は「揺らす」という新しい発想で新市場を創出した。ダンシングストーンには石が大きく見える、輝度が高まる、デザインの幅が広がるなど従来の商品にはなかったメリットも多いという。


イメージしたのは

夕焼けで輝く水面


 同氏が宝石業界の道を志したのは、渡米先でGIA.G.G(米国宝石協会の国家資格)を取得したのがきっかけだ。帰国後すぐに起業。元々新商品のアイデアなど考えるのが好きだったという。

「ダイヤをたえず振動させて光を持たせることはできないかと、そこから閃いたのがダンシングストーンです。イメージしたのは、夕焼けを映したキラキラ光る水面でした」(同氏)

 従来の技術では宝石そのものに穴をあけ1点のみを留めるが、ダンシングストーンでは宝石に穴をあけず、2点で外枠に留めている。留める点と重心が近いため、着用した人のわずかな動きで光を反射・拡散させて光り輝く。

 同氏は職人との共同作業で1年かけて2010年11月にようやく「ダンシングストーン」1作目を完成。翌年から国内で発売、12年には海外での発売を開始し、事業は急拡大した。2015年には売上高34億7800万円、営業利益10億4700万円となった。17年には念願だったJASDAQへの上場を果たす。同年、経産省主催の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」、「EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」2018年ジャパンの

14人にも選出されるなど、同氏も高い評価を得た。


▲「揺らす」という発想で光り輝くダンシングストーン












▲エクセレントロックの着用シーン









▲他と比較すると十字が見えるクロスフォー カット(中央)











特許取得で模造品が増加

中国市場が縮小


 しかし一方で、特許取得によりダンシングストーンの製造ノウハウが公開されることで、中国市場では問題も起こった。中国だけで17年度には7億円超を売り上げ、全売上高の

16.8%を占めていたが、19年度には5億1000万円、14.6%にまで減少。知名度が上がるにつれ、模造品が出回ったことが災いした。中国はアメリカ・ヨーロッパの消費者を持つメーカーの製造拠点であり、かつ消費国でもある大事な市場だ。

 同社では海外市場の開拓を行う子会社を香港に、また中国市場の開拓やと模造品調査などを行う子会社を深圳に置くなど、市場の現状把握と拡大に努めている。また現地弁護士と連携し、模造品排除活動を行っている。


もっと身近な商品に

夢は500億円規模


同社の19年7月期の売上高は14%減の34億9300万円、営業利益は73.7%減の6100万円だった。海外大手宝飾ブランドからの安定的な受注はあったが、中国市場での売上減、日本での消費マインドの低下などが響いた。しかし海外ジュエリー市場の将来性は高い。東南アジア、インドなど中間所得層の拡大で購買力が向上しており、22年にはアジア太平洋地域だけで24兆円の市場に成長するといわれている。

 同社ではダンシングストーン市場での挽回に向け、動き始めた。これまで職人による作動確認を必要としていた作業をすべて自動化し、工賃を5分の1に削減。中国市場向けの自動化された製造拠点を輸入関税のかからないベトナムに設け、中国の子会社を介して販売する。コロナ下で工場の稼働は未定だが、順次開始する予定だ。

 模造品が市場をむしろ成長させた側面もあり、コストを下げて高品質で廉価な商品を提供できれば、取引するメーカーは多数いるという。

「当社のダンシングストーンをもっと身近な、世界中の皆さんの手の届く商品にするのが夢ですね。市場も成長させたい。目標は500億円くらいです。そしてもう一つ、大きな柱になる商品を手掛けたい」(同氏)




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