• 株主手帳編集部

グリーンズ【6547・東1】世界的ホテル「コンフォート」を日本展開インバウンド味方に売上高500億円目指す

東京五輪・パラリンピックが目前に迫る中、熱視線が注がれ続けるホテル業界。その中で、中間料金帯のグローバルホテルチェーンとして唯一全国展開するのがグリーンズ(6547)だ。同社は米国ホテルブランドを日本でFC展開する他、60年以上の実績を誇るオリジナルホテルを運営。前期(2019年6月期)は、新規出店などが寄与し業績過去最高を更新した。2025年6月期目標では、売上高500億円を表明。同社が持つノウハウと米ブランドの知名度を掛け合わせ、国内トップ5水準の認知度を目指す。



村木雄哉社長

Profile◉むらき・たけや三重県出身。青山学院大卒。1997年にグリーンズ入社後、2001年に取締役就任。04年常務取締役13年専務取締役就任。同年、チョイスホテルズジャパン代表取締役社長に就任(現任)。18年、グリーンズ代表取締役社長に就任(現任)。





老舗ビジネスホテルによる 世界的有名ホテル


 グリーンズの歴史は、工業地帯で知られる三重県四日市市から始まる。コンビナートができ始めた1957年、当時では珍しい泊食分離型の旅館「新四日市ホテル」を創業。69年、旅館業から収益性の高いビジネスホテルへと事業転換した。 「三重県の主要地域を中心に出店していましたが、1990年半ばには出し尽くした感がありました。更なる成長に向けて全国展開したいけれど、我々には知名度がありません。これからどうしようかという時、たまたま日本の出店方法を決めあぐねていたチョイスホテルズインターナショナル(以下CHI)と縁があり、99年にFC第1号店の『コンフォートイン京都五条』を開業しました」(村木雄哉社長)

 CHIは、80年以上の歴史を持つ米国のホテルフランチャイズチェーンだ。「コンフォート」「クオリティ」「クラリオン」など12ブランドのホテルを、世界40カ国以上で7000軒以上展開。うち、米国では約5900店舗を運営している。特に「コンフォート」の知名度は高く、CHIによると米国における同ブランドの知名度は99%に上る。  2003年、グリーンズはCHIとマスターフランチャイズ契約を締結し、日本における「コンフォート」などの独占的・優先的使用権を獲得。19年には契約を33年末まで延長すると発表した。


唯一全国展開した米FC 決め手は長年培った知識


厚生労働省によると、18年度末における旅館・ホテル軒数は全国で5万軒弱。村木社長によると、その多くが独立系ホテルだという。 「米国のホテル市場はチェーンが7割、独立系が3割程度。日本は米国とほぼ逆の割合です」(同氏)  ホテルを分類すると、「ラグジュアリー」から「エコノミー」まで6カテゴリーに分かれる。うち、中間料金帯に当たる「アッパーミッドスケール」の外資チェーンとして唯一全国展開したのが、グリーンズの「コンフォート」だった。  多くの有名外資ホテルが全国展開に至らない中、なぜ「コンフォート」はできたのか。その理由は、グリーンズが持つノウハウにあると村木社長は言う。 「多くのチェーンは、米国ホテルのスペックをそのまま日本で使います。そうすると、客室やお風呂などの水回りが広いので、日本では高級ホテルになりますよね。一方、我々はFC展開を始めた当時、既に30年以上のビジネスホテルのノウハウがありました。米国では『コンフォート』は50~60ドル程度の価格帯と、我々の価格帯と非常に近い。この価格帯のホテルを日本で展開するには、例えばシングルルームは13~15㎡、といった知識があったことが 大きいと思います」(同氏)  現在、グリーンズはCHIのFC展開を行う「チョイスホテルズ事業」として、全国で 63ホテルを展開している。

















看板ホテル「ホテルグリーンパーク津」外観












「コンフォートホテル新大阪」に導入されたセルフチェックインシステム



前期は新店効果で2桁増 創業事業は設備見直し推進


 前期業績は、売上高は前期比13・8%増の309・0億円となった。利益面は、それぞれ約3割増を記録。昨年開業した5ホテルの売上が上乗せされた他、18年開業の東京ディズニーリゾート顧客向けホテル「コンフォートスイーツ東京ベイ」などによる客室単価の上昇が起因した。  セグメント別の前期売上高は、チョイスホテルズ事業が4分の3を占める。残りの4分の1は、同社の創業事業でもあるオリジナルホテル「グリーンズホテルズ事業」だ。三重県や愛知県、北陸などで「ホテルエコノ」や「シティホテル」など31店舗を運営。看板ホテルの「ホテルグリーンパーク津」はJR・近鉄「津駅」から直結の18階建てビルで、津市のシンボルにもなっている。  長年地元で愛されてきた同事業だが、課題は施設の老朽化。同社は20年1月に今期業績見通しの下方修正を発表しているが、その一因は一部店舗における販売不能客室の発生だった。 「昨年には、創業ホテルだった新四日市ホテルも老朽化のため閉館いたしました。この度の中期計画には既存ホテルへの再投資を盛り込んでいますが、早いタイミングで故障が生じた。見極めるのは難しいですが、今後各店舗の状況に合わせて再投資・整理を進めます」(同氏)


新店・デジタルなど投資注力 世界ブランドを日本でも浸透


同社は、今期から新中期経営計画「GREENS JOURNEY 2022」を開始。6年後となる25年6月期の売上高500億円を目標に、22年6月期までを「成長投資の3ヶ年年」とした。  同3ヵ年では、「新店開発」「人財投資」「デジタル活用」などを重点戦略に掲げた。新店開発では、「コンフォート」を中心に約150室・1000坪規模のホテルを毎年3~6店舗出店。運営客室数を、前期の13485室から25年6月期に37%増の18500室まで拡大させる計画だ。  CHIとの連携を通じた販売戦略最適化も進める。昨年6月、グリーンズはCHIのグローバル予約システムと接続を開始。これにより世界中から送客が可能な上、エクスペディアやアゴダといった海外のネット旅行代理店(OTA)とも連携できる。「デジタル活用」では、19年4月にオープンした「コンフォートホテル新大阪」にてセルフチェックインシステムを導入。同年末には、全運営ホテルに48カ国語対応のAI自動翻訳機を導入した。  同社ホテルの外国人客率は、昨年時点で約7%。同社は比較的地方で展開しているため 抑え気味だったが、近年政府が観光による地方創生を推進しているため、今後外国人比率は増大すると村木社長は予測。世界的ブランドとインバウンドを追い風に、「日本版コンフォート」の認知度向上に本腰を入れる。 「日本国内の『コンフォート』の認知度は、当社の調べによると現在約55%。認知度は施設数に比例するため、まずは施設数の増加に力を入れます。米国では既に知名度がありますが、私たちはこれから攻める側。世界的ブランドを日本でも広め、更なる成長を図ります」(同氏)

© 2019 青潮出版株式会社

  • Black Facebook Icon
  • Black Twitter Icon