• 株主手帳編集部

グローリー【6457・東1】通貨処理機で世界のトップシェア企業

グローリーは『通貨処理機のパイオニア』として主に金融機関向けのキャッシュに関わる製品・システムで事業を伸長させて来た。現在は、小売店などの流通や交通、医療、遊技などに市場を拡大。様々な機器の開発から製造、販売、保守まで一貫したソリューションの提供を行っている。また2012年の英国の競合企業の取得で海外進出を加速。100カ所以上の国と地域をカバーするグローバル企業となっている。


三和元純社長

Profile●みわ・もとずみ

1954年生まれ、兵庫県出身。77年、大阪大学経済学部卒業。太陽神戸銀行(現・三井住友銀行)入行。2009年に同社入社後、14年 取締役常務執行役員、17年 代表取締役副社長を経て、19年4月1日、代表取締役社長に就任(現任)。




金融市場の通貨の認識・識別技術で伸長


 同社の2019年3月期の連結売上高は2357億6200万円、営業利益は205億7600万円。主力は、銀行などの金融機関向けの窓口用入出金機や現金・小切手を計数、集計、整理する出納システムだ。またスピーディーに100枚単位で小束を作成する紙帯幣封、50枚の硬貨を一瞬で包装する硬貨包装機など、様々な製品を開発する。煩雑な金融業務のバッグヤード支援で、事業を伸長してきた。


─1950年の国産初の硬貨の計数機以来、通貨処理機の市場を現在まで牽引してきました。


三和 金融機関さん向けに様々な製品を開発してきました窓口用入出金機では、世界で6割のシェアを持っています。


─通貨処理機は現金に欠かせないインフラですが、一方、近年、世界でキャッシュレス化が進む現状をどう見ますか。


三和 現金…紙幣や硬貨は国の信用の根幹をなすもの。国によってそのボリュームは違いますが、100%キャッシュレスとはならない。必ず現金は残り続けるのではないかと思っています。そしてお金がある限り、商売ができると思っています。もちろん、現在は、当社でもキャッシュだけでなく、ノンキャッシュの部分も扱っています。


─クレジットカードやICカード、QRコード、アプリなど決済の多様化は、今後も普及していくでしょう。


三和 当然、当社もその機能を増やしていきます。ただ販売店さんの立場でみると、今、キャッシュレスのための端末を置いていろいろな加盟店手数料を払いながら、現金の扱いも残るという、非常に厳しいことが起きているのですね。当社は省人化や省力化、効率化を進め、世界で現金を扱うキャッシュハンドリングコストを低減させていきたいと考えています。



通貨処理、つり銭、両替…

現金を扱うシーンで事業を拡大


社会の至るところに現金を必要とする場所はある。同社は駅の入出金機やコインロッカー、遊技市場のパチンコ両替機やカードシステムなどの分野でも市場を広げて来た。そして近

年、力を入れているのが、流通市場だ。スーパーや小売店のレジで使われる現金のつり銭機や券売機、また医療機関向けの診療費支払機などにも広がっている。現在、同社のセグメント売上は、金融が24%、流通・交通が22%、遊技が9%、その他1%。そして、海外市場が

44%となっている。


─セグメント売上では、金融機関以外の割合が増加していますね。


三和 恐らく、金融セグメントのパイは徐々に小さくなってくると思いますが、それ以外の領域でも、色々なビジネスを見つけています。


─流通では、スーパマーケットのつり銭機で、よく御社の製品を見かけるようになりました。


三和 レジで自動でつり銭を払い出すつり銭機は、日本で初めて当社が製造しました。

現在、市場シェアで7割弱を占めています。銀行の通貨処理機はカウンターの中にありますが、スーパーや飲食店、ドラッグストアなどにあるつり銭機やコインロッカーなどは、消費者が直接ご利用になるので、当社のロゴに気付かれるかも知れません。


─つり銭機では、タブレットPOSメーカーとの協働も進んでいます。


三和 今までは大手のスーパー、飲食店さんが中心でしたが、つり銭機や券売機では、もっとスモールビジネスが展開できると思っています。既存事業の裾野を広げれば広げる程、市場が広がりますので、今後の伸びしろになると考えています。


─かなり小さな店舗もありますが、そうしたところまで広げるのですか。


三和 実は海外でも今、小ぶり店舗の開拓に注力していて、2019年に、卓上用の小型のつり銭機を作りました。また、現地企業と提携し、小売店舗のレジから現金を出金できるキャッシュアウトサービスや、オンラインの現金決済プラットフォームの新しいビジネスモデルを目指しています。


国産第一号の硬貨計数機を開発

コンビニ向けレジのつり銭機のイメージ

オープン出納システム WAVE Pro











英貨幣機大手を買収し、海外市場の開拓を急進


 2012年、同社はイギリスのタラリス・トプコ社を約850億円で買収した。タラリス社は、欧米を中心に硬貨・紙幣処理機で世界シェア約4割を占めていた、同社最大のライバルだった。この買収で、同社は欧米の販売チャネルと保守の拠点を獲得。グローバル展開が加速し、海外売上高は287億円から、1032億円と8年間で4倍近くまで伸長した。現在、グループ会社は国内13社、海外は39社。グループ全体の社員は約9700名に及んでいる。


─タラリス社の買収で、海外展開がガラリと変わりましたね。


三和 当社は当時、ヨーロッパやアメリカに進出していましたが、海外売上高が300億円弱、利益もわずかな状態でした。やはりトップを日本人がやっていて、いろいろ限界がありました。


─しかしタラリスの買収は約850億円、大きな買い物ではなかったですか。


三和 タラリスに関しては以前から買収話はあったのですが、当時は工場があちこちにあって当社と重複していました。それがファンドの傘下になったことで、製造部門を整理し、販売と保守が中心の会社になった時に、またファンドが手放したいと言ってきました。たまたま、円とポンドの為替レートが110円ちょっとと、円高に振れていましてね。その後160円くらいになりましたので、ちょうどよいタイミングだったと思っています。


─海外売上高は現在44%。今後、国内を上回っていくのでしょうか。


三和 国内、海外とももちろん、伸ばしていきたいと考えていますが、海外の流通は、小さなところから多国籍に展開するチェーン店など、市場がとても大きいのですね。近いタイミングで海外が上回るのではないかと思っています。



保守サービスは、全国約100カ所の直営拠点で網羅


 同社のもつ強みとして特筆できるのは、保守売上が全体を押し上げていることだ。海外では前述のとおり、タラリス社の買収で一気に世界の保守ネットワークを持ったが、国内でも、それ以前からサービス拠点を全国に整備。自社運営のコールセンター、保守支援スタッフ、テクニカルスタッフなどと連携してサービスを提供し、同業他社が対抗できない参入障壁となっている。


─保守・メンテナンスが売上の3割ほどを占めており、これは大きいですね。


三和 保守部門は売上の下支えをする当社の財産と考えています。金融機関では、トラブルがあればすぐに駆け付けなければならないため、国内に保守のネットワークを100か所以上、構築しています。また海外では、戦略として直販・直メンテナンス網として広げています。国としては、イタリア、アイルランド、ニュージーランド、メキシコなどが多いです。


─保守の人員はどのくらいですか。


三和 今、社員は、単体で3500名くらいいるのですが、そのうち、約1000名が保守に関わっています。海外の社員は、保守要員の方が多いですね。



識別技術・ノウハウから顔認証などの新事業を展開


 同社は中期経営計画で、2020年度売上高2600億円、営業利益250億円を目指している。今後の成長戦略として、既存の製品に新たな機能を加えたり、技術を深化させて付加価値を上げ、その対象や領域を国内外で拡大させることに注力している。また創業から100年を迎え、次の成長エンジンとなるための新事業として、貨幣の高度な認証技術を応用した顔認証事業などの非現金分野の新ビジネスにも参入した。


─既存事業では、さらに利便性を向上させるソリューション提案を行っています。


三和 例えば、海外の金融機関で使われているセルフ機ですが、1つの機械で入出金だけでなく、送金も両替もできる複合機を開発しました。来店客は便利になり、金融機関の収益も増大します。今、イタリアや中国などで需要が拡大しています。


─医療分野では、医療費の後払いシステムを始めましたね。


三和 2019年4月に、「待たずにラク~だ」をスタートさせました。今まで病院に精算機は置いていたのですが、このシステムは事前に手続きさえすれば、そのまま帰れて後からクレジットカードで引き落とされます。病院には具合の悪い方もいらっしゃいますので、清算の手間がなく帰れると好評です。


─貨幣の識別技術を応用した、顔認証事業も進めています。


三和 顔認証は、10数年程前からやっていて、セキュリティでは、書店の万引き防止などに使われています。過去に万引きした人が来店すると店員にアラート通知が来るのですが、実際は「この店は顔認証を導入している」と知らせることで抑止効果があるのですね。ほかにも、病院から認知症の方が出て行かれた際に知らせる、お店にVIPの方が来られたら、スムーズにご案内できるなど、用途はどんどん広がっていくと思っています。技術はありますので、どういう形でそれをビジネスにつなげていくか、いろいろ考えています。

 モノからコトへのソリューションサービスへビジネスモデルの変革を目指しています。


海外向けつり銭機。消費者自身が現金授受を行うセミ セルフ運用



















グローリーの顔認証技術の特長は、数千人の顔からできた「平均顔」を元に、顔中心に「100カ所」の特徴を検出して認証を行うこと











同社の顔認証システムがハウステンボスのオフィシャルホテル『変なホテル』の客室に採用。客室へのキーレス入室を実現

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