• 株主手帳編集部

ケア21【2373・JQ】住民ニーズに応える「総合福祉企業」20年10月期は最高益更新の見通し

 ケア21(2373 )は関西を地盤とする介護事業会社だ。「総合福祉企業」を掲げ、高齢者介護、障がい者支援、保育など幅広いメニューを提供している。事業の中核は訪問介護、グ

ループホーム、介護付き有料老人ホームの3本柱。特に2020年10月期は利益率の高い訪問介護に注力し、当初の増収減益予想から一転、過去最高益更新の見通しだ。また近年は中国、ベトナムに進出し新たな事業基盤構築を進めている。


和久 定信 常務取締役 業務統括本部長

Profi le◉わく・さだのぶ

1962年3月生まれ。88年松下電工(現パナソニック)入社。2016年、パナソニックエイジフリービジネスユニット長兼パナソニックエイジフリー代表取締役社長に就任。17年9月ケア21に入社。19年ケア21常務取締役に就任(現任)、20年業務統括本部長に就任(現任)。





国民の5割にサービス提供

大阪ではシェア1位


 ケア21は元々、学習塾の経営からスタートした会社であり、2000年に訪問介護ス

テーションを立ち上げて本格的に介護事業を開始した。

 2019年10月期の売上高は309億6400万円。売上比率は施設系介護事業が6割、在宅系介護事業が4割を占める。和久定信常務取締役業務統括本部長によると、祖業である在宅系の訪問介護を展開するうちに、認知症高齢者の家族らからデイサービス、グループホームなど重度の人たちが利用できる施設系サービスの要望を受けるようになり、そのニーズに応えるべく事業の幅を広げてきた。

 また、在宅サービスのノウハウを活用し、上場企業には少ない障がい児者向け事業、認可保育所などの保育事業にも早いうちから取り組んでいる。

「当社は『総合福祉企業』を掲げ幅広いメニューを提供しています。日本の高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)は3割といわれていますが、障害者率は7%、また未就学児の率は12%であり、合計すると約50%。この5割の国民の方々が福祉の対象であり、その方々にサービスを提供するのが当社の使命です。生活保護の方や重度の方も多く受け入れており、比較的他社が避けそうなメニューを真面目にやってきた会社です」(和久定信常務取締役業務統括本部長)

 現在、ケア21グループ連結で全国450事業所を展開。創業の地である大阪では161カ所を展開しシェア1位を占めている。兵庫54カ所、京都34カ所と関西に強いのも特徴。「地方の大手」として高齢化が進む地方都市の受け皿づくりに取り組んでいる。


▶ 介護付き有料老人ホーム「プレザ ングラン中野鷺宮」(東京都中野区)


3つのアクセルを

バランス良く踏み事業拡大


 2020年10月期の通期連結業績予想は売上高340億円(前期比9.8%増)、営業利益13億円(同15.4%増)、経常利益11億円(同23・4%増)の見込み。当初は増収減益の予想だったが、一転、連続最高益更新の見通しとなり、今年9月に上方修正した。

「20年10月期は全般的に施設系、在宅系とも順調でした。コロナ禍の影響で当社の利用者も4〜5月には約5%減少しました。しかし、6月以降は急激に回復したので、第3四半期の発表時に通期業績を上方修正しました」(同氏)

 また、利益率の高い訪問介護事業の拡大に注力。同社は3つの重点事業である有料老人ホーム、グループホーム、訪問介護の3つをバランスよく拡大することを重視しており、20年

10月期は特に訪問介護の拠点開設を推進した。

「3つの重点事業、つまり3つのアクセルをバランスよく踏むことが大切だと考えています。高齢者人口のピークは2040年といわれているので、そこに照準を合わせ、数年前には施設のアクセルをぐっと踏んで施設系介護の拠点を増やしました。一方、在宅系の拠点開設は一昨年と昨年は抑え目にし、今年は16カ所開設と在宅のアクセルを踏みました。在宅の

拠点は投資が少なく、また在宅サービスには利用者定員がないので良いケアを提供することで利用者数をどんどん増やすことができます。市場に応じたアクセルの踏み方が利益の改善につながったと考えています」(同氏)


介護事業は必要不可欠の

エッセンシャルビジネス


 同社は社員が働きやすい環境の整備にも注力している。齢者人口の増大を背景とした介護ニーズの取り込みが狙いだ。大型施設ではなく日本と同様の100床規模の介護施設を展開し、きめ細かいサービスを提供する。

 ベトナムにおいても介護施設を設立する計画。同社では独自の人事制度として加点主義と絶対評価の「誰伸び人事制度」を導入。昇給などにも反映しておりモチベーション向上に効果を上げている。

 また近年は、国内で培ったノウハウと経験を活用し海外事業に取り組んでいる。進出国は中国とベトナムだ。

 中国への進出は、中国の高19年からベトナム人技能実習生を受け入れており、来日前の研修や帰国後の就労先として位置付けている。

 今後は現中計の最終年度である21年10月期の連結売上高370億円に向けて、認知症高齢者への対応などニーズに応じた事業を積極的に行っていく。

「コロナ禍を通して、介護従事者は必要不可欠のエッセンシャルワーカーであり、介護事業はエッセンシャルビジネスであると認識しました。訪問介護、グループホーム、介護付き有料老人ホームの3本柱を強みとし、儲け主義に走らず地道に展開していきたいと考えています」(同氏)


▲ベトナム人技能実習生が介護現場に配属





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