• 株主手帳編集部

コメ兵ホールディングス【2780・東2】名古屋発祥の中古ブランド品リユース最大手 2022年3月期売上高632億円に回復へ


 中古ブランド品の取り扱い最大手企業、コメ兵ホールディングス。時計、バッグ、宝飾品などのブランドリユースに強みを持ち、「KOMEHYO」「BRANDOFF」の2ブランドを主力に全国展開している。コロナ禍による休業などのため前期は減収となったが、いち早くWEBを活用した販売強化を図り、今期(2022年3月期)は売上高632億円に回復する見込みだ。健全なリユース市場の形成に向け、人工知能(AI)を活用した真贋判定にも取り組んでいる。



石原卓児社長

Profile◉いしはら・たくじ

1972年9月21日生まれ、愛知県出身。英国暁星国際大学を卒業後、ヨドバシカメラに入社。98年、父親の急逝により、家業であるコメ兵に入社。2003年、東京都心の有楽町店、新宿店の立ち上げ店長を経験。13年代表取締役社長営業本部長に就任。20年10月に持株会社体制に移行し、コメ兵ホールディングス代表取締役社長執行役員に就任(現任)、コメ兵代表取締役社長経営企画本部長に就任(現任)。



グループの目指す姿は

「リレーユースを文化に」


 コメ兵は名古屋の中古衣料店として1947年に創業した。4代目社長の石原氏は、2代目社長だった父の急逝を機に、家電量販店からコメ兵に一般社員として転職。東京都心の有楽町店、新宿店を立ち上げて東京進出を推し進め、名古屋の中古品店から全国的なブランドリユースショップへの転換を図った。

 コメ兵HDグループのビジョンは「リレーユースを『思想』から『文化』にする」。リユースという言葉が定着する以前から「リレーユース」という言葉を採用し、グループの目指す姿として掲げている。

「リレーユースとは、単なるリユースとは違い、仕入れた時より良い状態にして次の利用者に引き継いでいくという意味を込めています。今はまだコメ兵グループ独自の概念ではありますが、この考えが広がって『文化』になっていくように貢献していきたいと思っています」(石原卓児社長)


年間160万点以上の商品を

商品センターにて一括管理


 コメ兵HDは現在、ブランド中古店舗の「KOMEHYO(以下コメ兵)」「BRANDOFF(以下ブランドオフ)」、スニーカーの「WORM」、アンティーク時計の「シェルマン」、オークション事業の「KOMEHYOオークション」などを展開。主力の「コメ兵」は国内65店舗(うち買取専門店41店舗)、海外3店舗を構える(2021年9月末現在)。「ブランドオフ」は北陸が地盤の会社で2019年に買収。現在、国内、海外合わせて25店舗を展開している。

 コメ兵は、ブランドバックや時計、ジュエリー、アパレルなど高額商材の売買を得意としている。売れ筋商品の単価は数万円であり、時計は50万円前後だ。顧客は女性の比率が6~7割、35~60歳の年齢層がボリュームゾーンであり、約120万人が会員登録している。

 コメ兵の扱う商品はルイ・ヴィトンやロレックスなど高級ブランド品であるため、査定や真贋チェックが重要だ。その対策として、全国の買取窓口に経験を積んだバイヤーを配置。さらに、コメ兵は全国の店舗で買い取る年間160万点以上の商材を名古屋の「商品センター」に集約し、一括管理して検品や査定を行っている。

 商品センターは、リーマンショックによる業績悪化を経験した石原氏が改革の一手として新設したもの。当時、商品管理は名古屋と東京で分かれていたが、これを一本化して売れ行きがよい店舗へと商品を送るシステムを確立した。

「コメ兵の商品センターでは、全国で買い取ったすべての商品の最終チェックを行っています。情報を蓄積し、商品のデリバリーと質の担保をしっかりと行っています。経験豊富なベテラン社員が査定するので、高額商品であってもお客様の信頼を得ることができています」(同氏)


オムニチャネル戦略を推進

EC関与率4割に拡大


 コメ兵HDの2021年3月期の売上高は前期比11・8%減の507億2300万円。20年春のコロナの緊急事態宣言を受けて全店舗を休業したことなどが影響し減収となった。

 一方、コロナ禍からの回復は早く、22年3月期の連結売上高は632億円の増収を計画する。この要因は、オンラインとリアル(店舗)を融合したオムニチャネル作戦の推進だ。

 コメ兵は2010年に専門部署を立ち上げてデジタル施策に注力。コロナ禍の20年8月にはECサイトのリニューアルを行ったほか、電話やチャットで接客を行うコンタクトセンターを設置。その結果、ネットを経由した売上高比率を示す「EC関与率」が20年3月期の30%から21年3月期には43%にアップした。

 石原社長によると、EC関与率の内訳では、同社サイトで商品を選ぶが決済はせず、近くのコメ兵店舗に取り寄せて商品を確かめてから購入する「お取り寄せ」の比率が急増しているという。

「元々、中古なので現物を見たいというお客様が多くいらっしゃり、さらにコロナの影響があって取り寄せの比率が伸びました。店舗で納得して買っていただくことでお客様の安心感につながり、例えば『コメ兵のBランクならいいな』といった判断の物差しができてリピーターになっていただくという動きが出ています。この流れを加速させ、今期中にEC関与率を50%以上に引き上げる計画です」(同氏)


中期経営目標は

24年3月期売上高700億円


 コメ兵HDの中期経営目標では、2024年3月期の売上高700億円、営業利益28億円を計画している。主な施策として、今後3年間で「KOMEHYO」の買取専門店を100店舗、「ブランドオフ」の屋号でFC含め100店舗を出店する。

 人工知能(AI)を活用した買取チャネルの拡大にも取り組む。真贋のできるAIを開発。膨大な商品データが蓄積されており、店頭の鑑定士が運用してより精度の高い判定を行う。今期中にコメ兵の全店舗への導入を目指す。

「AI真贋の活用により、偽物を排除し健全なリユース市場の形成に貢献できると考えています。当社は良いものを人から人へ引き継ぐ『リレーユース』を体現し続け、持続可能な社会の実現を目指していきます」(同氏)





▲KOMEHYO神戸三宮店



2021年3月期 連結業績

売上高

507億2300万円

前期比 11.8%減

営業利益

5億9000万円

同 98.5%増

経常利益

4億3100万円

当期純利益

△5億9500万円



2022年3月期 連結業績予想

売上高

632億円

営業利益

21億9000万円

前年比 270.9%増

経常利益

21億1000万円

同 389.2%増

当期純利益

14億7000万円

※株主手帳12月号発売日時点

※「収益認識に関する会計基準」を適用。このため、連結予想の売上高については、対前期増減率は記載なし。