• 株主手帳編集部

コーア商事ホールディングス【9273 ・東1】ジェネリック医薬品の原薬輸入・製造販売 子会社黒字化達成で安定成長の基盤整う


 コーア商事HDは、新薬と同じ効き目と有効成分を持ちながら価格が安い「ジェネリック医薬品」の原薬輸入や製造・販売をメインに行っている。20年には東証一部指定、22年4月の東証再編に向け立会外分売などを経て21年7月にはプライム市場基準をクリア。2021年6月期には過去最高の売上高及び利益を達成した。ジェネリック医薬品の数量シェアが8割に近づく中、同社の存在感は増している。



首藤 利幸社長

プロフィール◉しゅとう・としゆき

1947年生まれ、大分県出身。72年日本モンテジソン入社。75年日本ザンボン移籍。91年コーア商事設立、取締役。95年代表取締役社長。2011年イセイ取締役。13年コーア商事代表取締役会長(現任)。18年コーアイセイ代表取締役会長(現任)。19年コーアバイオテックベイ代表取締役会長(現任)。21年コーア製薬代表取締役会長(現任)。




商社機能とメーカー機能が二本柱

蔵王工場の新生産ラインが稼働


 同社グループは事業会社4社と持分会社であるコーア商事ホールディングスで構成されているが、中心となっているのはジェネリック医薬品の原薬輸入専門商社であるコーア商事と、医療用医薬品の製造販売を行うコーアイセイの2社だ。

 コーア商事が展開する原薬販売事業では、世界10カ国以上、90社以上の企業から原薬を仕入れ製薬会社100社以上に販売している。21年6月期の原薬販売事業の売上高は125億400万円(前期比8・9%)となった。

「循環器官用薬や中枢神経系用薬向けの原薬販売が好調。循環器官用薬は、生活習慣病の治療に使われるのでマーケットが大きい。また抗がん剤などの腫瘍薬の原薬も品質が評価され、売上が拡大しています」(首藤利幸社長)

 一方、コーアイセイは注射剤を中心とした医薬品を製造し、製薬会社への納入や自社販売を行っている。16年に完成した山形市の蔵王工場は高薬理活性注射製剤工場として、シリンジ(あらかじめ薬剤を充填した注射器)、アンプル(小ガラス管に薬剤を充填)、バイアル(広口のガラス容器に薬剤を充填)の3剤形の製造に対応。治験薬から最終製品まで少量多品種を製造する生産体制を確立させた。21年6月期は受託製造が好調に推移し、売上高70億2100万円(前期比22・8%)と大きく伸びた。バイアル製造ラインは21年3月に初出荷したばかりで、今後の増産が期待されている。


卸と商品の絞り込みで業績復活

検査体制の厳しさが参入障壁に


 同社は、外資系医薬品企業に勤務していた首藤社長が1991年に独立して起業した。2011年にコーアイセイ(当時「イセイ」)を子会社化、15年には他の2社を含めた5社グループ企業を設立した。18年には東証2部に上場を果たしている。

 同社の業績を見ると、19年6月期に12億1000万円だった営業利益が、20年6月期には23億2900万円、21年6月期には33億7700万円と大きく伸びている。20年6月期にコーアイセイが黒字化し、利益に貢献するようになったのがその理由だ。

「従来、コーアイセイは日本各地の地域密着型の販社中心に販売していましたが、それを全国規模の医薬品卸会社にも販路を広げた。また製造する品目も整理し、利益率の高い商品だけに絞り込みました。その結果、業績が回復し利益が伸びています。将来的には原薬販売と医薬品製造販売の利益を半々にしたい」(同氏)

 また、同社は設立以来、輸入原薬の品質を試験する設備に注力してきた。現在では横浜と大阪2カ所に高度な分析機器を揃えた医薬分析センターを保有し、原薬の品質試験や申請資料の作成を行っている。

「試験設備は維持していくだけでも大きなコストがかかる。しかし当社は、それによって品質が保証できることを市場から求められ、応えてきました。今後、価格を武器に新規参入する企業があったとしても、それだけでは製薬会社の信頼を得るのは難しいでしょう」(同氏)


ビジネスモデルの転換期

30年までの10カ年計画策定


 医薬品は年に1回の薬価改正があり、基本的に毎年価格が下がり続ける。また医学の進歩により、これまで医薬品原料とされてきた合成された化学物質以外にも、抗体医薬や核酸などの製薬原料で新薬を作りだす「モダリティ革命」が進行中だ。この状況を踏まえ、同社は2030年を目標とした10カ年計画を策定し、原薬輸入商社から医薬品商社へのビジネスモデルの転換に乗り出している。

「50年には日本の人口が1億人を切り、需要が減る。またいずれジェネリック薬品もモダリティ革命に対応しなくてはいけない。これからは海外の医薬品動向を知っている商社として、製剤、バイオ、試薬などの新事業や、海外開発企業と国内メーカーの橋渡しをする“ライセンスイン”などの活動をしていきます」(同氏)

 コーアイセイに関しては、ジェネリック注射剤製造に特化して拡大させる方針だ。

「抗がん剤など注射剤になっている薬は多いが、経口剤に比べ1品種の製造数が少なく、設備投資して製造しても割が合わないものが多い。それなら、当社がジェネリックの注射剤に特化し、医薬品大手からの委託開発・製造を獲得してトップを目指す。注射剤のジェネリック置換え率は半分程度なので、まだまだ伸ばせる余地が大きいと考えています」(同氏)




▲2016年に竣工したコーアイセイ蔵王工場では、注射剤に特化し製造を行っている



2021年6月期 連結業績

売上高

178億1600万円

前期比11.1%増

営業利益

33億7700万円

同45.0%増

経常利益

34億400万円

同43.8%増

当期純利益

21億3600万円

同22.4%増


2022年6月期 連結業績予想

売上高

185億5000万円

前期比4.1%増

営業利益

34億3000万円

同1.6%増

経常利益

34億2000万円

同0.4%増

当期純利益

20億6000万円

同3.6%減

※株主手帳11月号発売日時点