• 株主手帳編集部

サンセイランディック【3277・東1】不動産権利調整のパイオニア企業「底地」や「居抜き物件」の流動化を推進

 サンセイランディックは「底地(貸宅地)」や、老朽アパートなどの「居抜き物件」の権利調整を通して問題を解決するビジネスを全国に展開。2013年12月期から6期連続で増収増益を収めるなど好調な業績を続けている。権利調整は時間や手間がかかり大手企業が参入しにくく、専門で事業を展開している上場企業はほぼ同社だけだ。

松﨑 隆司社長

プロフィール◉まつざき・たかし

1970年生まれ。1993年サンセイランディック入社。2000年土地事業部部長。02年営業本部長。03年代表取締役社長(現任)。10年サンセイコミュニティ代表取締役社長、19年サンセイランディックファンディング代表取締役(現任)。






土地と建物の権利者が違う「底地」

地主となり借地人と交渉


 底地とは、土地の所有者(地主)が土地を貸し、借地人が家を建てている場所のこと。底地は年々減りつつあるが、日本にまだ87万件ほどあるといわれる。底地は相続時にしばしばトラブルの元となる。相続すると新しい地主は現在の地価を元に算出した高い相続税を支払うことになるが、借地人から得る賃料は数十年前に決めた低い賃料のままであることが多い。手放そうにも、借地人がいるため買い手がつかない。

 借地人に底地を購入してもらうのがスムーズな解決法だが、相続した地主は借地人と面識がないことも多く、当事者間での解決が難しい。そこで同社は底地を地主から買い受け、新たな地主として借地人と交渉し、底地の売却を進める。底地の販売単価は約1000万円から高くて数千万円程度で、同社では毎年400〜500件の底地の権利調整を行っている。

「底地には何人もの借地人がいたり、そもそも賃貸契約書が存在しないことも多い。それだけに、借地人に会ったこともない相続人が直接交渉するのは、実際には不可能に近い。第三者である当社が底地を買い取ることで、スピーディに権利調整ができ、地主も借地人も利益が得られます」(松﨑隆司社長)


老朽化アパートの住人と交渉

取り壊し更地にして売却


 同社は老朽化したアパートの権利調整も行っている。古いアパートの中には、家主が取り壊したくても何室かは入居者がいて交渉がうまく進まず、手が出せないものが多い。こういった物件を同社では「居抜き物件」と呼び、家主から物件を購入後に入居者と交渉を行う。

「たとえば家主だったご主人が亡くなり奥さんが相続したものの、アパートにだれが住んでいるかわからず、契約書も見つからない、という物件が多い。当社は入居者がいる状態で家主から買い受け、オーナーとなって入居者をひとりひとり直接訪問し、移転先の紹介や引っ越し代金の支払いなどを行っています」(同氏)

 全員が退去後に建物を解体し、更地にして売却する。同社では、居抜き物件を年間50件前後取り扱っている。居抜きの場合、販売単価は小さいところは数千万円から、大きいものは数億円になることもある。


権利調整専門で25年以上の蓄積

仕入れから販売まで約1年で回転


 同社は1991年から不動産の権利調整に取り組んでおり、現在では日本全国に8つの拠点を持っている。案件の8割は不動産仲介業者からの情報、あとの2割は銀行、証券会社、税理士などの金融機関関係者から紹介されたものだ。上場企業であることから信頼も厚く、今や日本で一番多くの底地を購入しているという。

 底地案件は首都圏が半数を占めるが、一方の居抜きは地方案件が8割と多い。こちらは不動産デベロッパーやハウスメーカーに販売している。2019年12月期には、底地339件を販売し66億9700万円の売上で、不動産販売事業セグメントに占める比率は41%。一方、居抜きは67件、73億9900万円の売上で同46%となった。

 なお同社はこの他に子会社で注文住宅の建築事業も展開しており、2019年12月期の連結売上高は180億2000万円(前期比7.1%増)、営業利益は18億6000万円(前期比5.4%増)だった。2011年の上場時の売上高は80億4200万円、以後毎年ほぼ10億円のペースで、安定して売上を伸ばしてきた。


顧客ニーズの把握で利益拡大目指す

新規事業で市街地再開発も視野に


 物件を先に仕入れて権利調整した上で売却するというビジネスモデルのため、財務面の安定が経営の鍵となる。

 底地事業は、1年で物件の8割を売却し、残り2割を2年から3年かけて売却するというイメージ。そこで今後は底地の仕入れから販売までの期間短縮を進め、在庫のキャッシュ化を図る。不動産仲介業者や金融機関関係者との連携をさらに強くし情報を得るとともに、権利調整のスピード化にも努めていく。

「地主や借家人、借地人と短い時間で信頼関係を作れるよう、これまで1週間に1回の交渉だったのを3日に1回にするなど、コミュニケーションの時間軸を短くしていく、またIT端末を活用することで事務作業を減らし、25年間蓄積してきたデータも活用できるようにする」(同氏)

 権利調整のノウハウを生かした新規事業にも積極的に取り組む方針だ。たとえば底地が多い木造住宅密集地域で、ゼネコンなどと提携し権利調整を担当することで、市街地の再開発を行っていく。

「底地、居抜き物件の解決で、街づくりの手伝いができれば。そして不動産の権利調整専門会社としての存在感を広げていきたいと考えています」(同氏)



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