• 株主手帳編集部

シナネンホールディングス【8132・東1】LPガス・石油主体の老舗総合燃料商社風土改革進め新時代への体制構築図る

シナネンホールディングス(8132)は、LPガス、石油を主力とする総合燃料商社。主力の一般消費者向けのLPガス、法人向けの石油販売に加え、近年は再生可能エネルギー事業やシェアサイクル事業、バイオマス事業、抗菌事業など多角化を図ってきた。今後は既存事業の効率化を図りつつ新たな時代にフィットした新規事業で利益拡大を目指す方針だ。


プロフィール◉やまざき・まさき

1955年東京都出身、横浜市立大卒。AIU保険、ウォルトディズニー・ジャパン、エレクトロニック・アーツ・ジャパ

ン、ヴァーレ・ジャパンを経て2016年シナネンホールディングス社外取締役、19年同社代表取締役社長就任。



2027年に創業百年迎える

老舗総合エネルギー商社


 総合燃料商社のシナネンホールディングスは、LPガス・石油の販売が主力で、国内LPガス流通業者販売量では岩谷産業、伊藤忠エネクスに次ぐ3位(2020年版LPガス資料年報)。一般消費者向けのLPガスをメインとするエネルギー卸・小売辺事業と、法人向けの石油を中心とするエネルギーソリューション事業、非エネルギー及び海外事業の3本柱で収益を構成する。現在、売上高の約3割が一般消費者向け事業、約6割が法人向け事業となっているが、利益では一般消費者向け事業と法人向け事業が主軸となっている。

 元々、同社は練炭の販売を目的としてスタートし、2027年に創業100周年を迎える。石炭から石油への燃料シフトを通して、日本の高度経済成長とともに成長してきた老舗の総合燃料商社である。現在は、太陽光・風力発電などの再生可能エネルギーの利活用へと転換期を迎えており、人びとの暮らしと時代の大きな変化とともに歩んできた同社もまた、大きな岐路に立っていると言えよう。


第2次中期経営計画で

ROE6%以上を目指す


 同社は2027年の創業100周年に向けて、今期から3か年の第2次中期経営計画をスタートさせている。

「第2次中期経営計画で目指すのは、ROE6%以上。現在、法人向け事業の主力商材である石油は、元売りから仕入れて販売する卸売りに当たり、法人向け事業の売上が全体の約6割を占めるものの営業利益率が1%以下のため、今後、会社全体としての利益率をどう上げていくかが重要な課題です」(山﨑正毅社長)

 一般消費者向け事業に関してもLPガス市場は縮小傾向にある。人口減少傾向が続くことや、省エネルギー製品が普及していることもその背景と言える。さらに、全国津々浦々にある販売店の経営者の事業承継問題も見え隠れしている。

「全国の販売店は中小零細を合わせ約2万店あるが、経営者の高齢化で後継者がいない問題もあります。今後は販売店の統合が業界で一気に進んでくるのではないかと見ています」(同氏)

 こうした石油・LPガス市場の状況を踏まえ、現在同社が注力しているのが再生可能エネルギー事業と非エネルギー事業だ。2021年下期には韓国に大型の風力発電所を建設予定。韓国の国策に則って電力会社が20年間買い上げる制度になっており、低リスクで収益が見通せる面がある。また、発電効率に優れたマイクロ風車を開発した会社と協業。現在、海外を含め多数のオファーを受けており、今後の実証実験から、防犯カメラやWi│Fi付属のポール型電源装置など様々な応用展開を目指す。他にもシェアサイクル、建物維持管理、抗菌事業にも期待を寄せる。物流改善など既存事業のベースを上げる努力もしながら、新規事業で更に利益を押し上げる意向だ。

 第2次中期経営計画ではROE6%以上を目標とし事業の選択と集中を行いながら、次の第3次中期経営計画では営業利益目標なども定量化していく予定だと、山﨑社長は説明する。

マイクロ風車搭載の完全独立型電源装置の上部


















「最重要は風土改革」

今後の鍵となるのは社員


「当社の既存事業はどちらかというとストックビジネスです。今までやってきた事をしっかりやっていくと同時に、世の中が大きく変化しつつある中、この変化に対して、社員みんなが新しい事業を考えながらやっていかないといけないと強く感じています」(同氏)

 山﨑社長はAIU保険、ウォルトディズニー日本法人などでビジネスマンとしてのキャリアを歩んできた。異業種から就任した際に、一番驚いたのは社員の考え方。定着したビジネスモデルを踏襲するという姿勢が強く「今のままでは新しい時代に伸びていくのは難しい」と感じたという。風土・体質の改善により、社員が大胆な発想で新しい事業に挑戦する事が肝になると、山﨑社長は考えている。そこで、新規事業や新たなプロジェクトの推進を強化すべく若手人材の登用を積極化。社内で選抜された若手女性社員が中心となって進めたシェアオフィス事業もその一環だ。旧本社ビルを活用し、6月より本格稼働を開始した。言葉だけではなく目に見える形での新規事業の成功が、他の社員への刺激にもなる。積極的な新規事業展開の裏で、前期に子会社の不正会計があったことに対しても山﨑社長は言及する。

「新しい事業に対する知見が不十分で、管理監督していくための適切な対処が出来ていなかった事が原因と分析しています」(同氏)

 既にその対策として、様々な角度から物事を見る事でリスクを排除できるよう、内部監査担当トップ含めて、外部から公認会計士など専門職を入れガバナンス体制を強化。指名・報酬委員会の導入を含め、変革のための体制整備は今後も継続していくようだ


旧本社ビルを利用したシェアオフィス











変革への投資をしつつ

安定的な配当を維持


 同社の配当性向は30%以上を目標としている。安定的な配当として年間75円は維持する方針としている。2018年3月期から直近3年は75円配を継続しており、今期予想も75円で維持する方針だ。

「今の段階で優先的にやっていかないといけないのは、新規事業を含めた成長投資です。第3次中期経営計画での飛躍に向けて現在は変革を推し進めています。利益水準が上がった次のステージでは、株主還元を積極的に考えていきたいと思っています」(同氏)





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