• 株主手帳編集部

シャノン【3976・マザ】マーケティングクラウドとイベントクラウドの2軸成長へ

クラウド型マーケティングシステムを活用し、マーケティング支援やイベント管理といったサービスを提供するのがシャノン(3976)だ。前々期(2018年10月期)までは市場の競争にフィットさせられず2期連続で赤字だったが、前期は売上高が過去最高の18億5500万円、利益は黒字回復となった。今後は主力事業のシェア拡大に努めるほか、祖業のイベントマーケティングサービスでも投資を促進。2軸体制を通じ、今期は利益面2桁増を目指す。

中村健一郎社長

Profile◉なかむら・けんいちろう

1977年生まれ、慶應義塾大学卒。

2000年にシャノンを設立し、同社代表取締役就任(現任)。17年、一般社団法人シーコンソーシアム理事長就任(現任)。




導入実績数900以上のMA


 同社は、企業のマーケティング業務を支援する独自クラウドサービス「シャノンマーケティングプラットフォーム(SMP)」を用いたサービスを提供するベンダーである。

 主なサービス区分は2つ。1つ目は、マーケティング業務の自動化や効率化を図る「マーケティングオートメーション(MA)」。同サービスは、見込み客の行動履歴や購買履歴、動線データなどを取得・分析し、商談成立しやすい見込み客を選別するものだ。

「例えば『このHPを閲覧している』や『DMを開封している』といったように、見込み客が持つ関心の濃淡が見えます。優先順位が高い方を中心に営業すれば、必然的に商談件数も増えますよね。導入企業の多くは、商談数が少なくとも2~3割アップしています」(中村健一郎社長)

 2つ目のサービスは、展示会やセミナーなどのイベント開催企業に代わってイベントを管理する「イベントマーケティング(EM)」だ。申込フォームや告知サイトの作成、受講票配信といったイベント事前準備から、来場管理などの当日サポート、来場者データの管理やアンケート結果提供などの事後フォローまで、イベントに関するあらゆる業務をワンストップで提供。導入により、イベント会社の作業時間を大幅に削減できるという。

 2000年に設立した同社の起源は、このイベント支援事業。今では広く普及したバーコード型来場管理などを開発したのが、このシャノンだ。約20年の実績を誇り、現在では東京モーターショーといった大型イベントにも参入。MA事業・EM事業を合わせた取引先数は、NTTコミュニケーションズ社やサイボウズ社など大手企業を中心に、900社以上に上る。


MAサブスクが堅調に推移


 前期売上高をサービス別にみると、MAサービスは全体の70%。うち、66%が「MAサブスクリプション(MAサブスク)」、34%が「MAプロフェッショナル(MAプロ)」となった。MAサブスクとは、同社のMAシステムを月額で使用できるサービス。一方のMAプロは、初期設定代行やトレーニングなどが含まれたサービスとなる。

 各サービスの対前期比をみると、MAプロは前期比減となった一方で、MAサブスクは同

20・5%増と躍進した。同社は、人的コストがかかるMAプロよりも、安定収益の基盤であるMAサブスク比率の上昇に注力。21年10月期には、MAサブスク比率をMA事業売上高の

70%まで高める計画を立てている。

 同サービスが伸びている一因が、解約率の減少だ。同社は17年1月に上場したが、当時は奇しくもMA外資大手が日本市場に続々と参入してきた時代だった。同社は突然の競争激化に対応しきれず、解約率が上昇。これまでほぼ無かったMA解約率は、17年10月期に9・8%まで激増した。

「当時はまだMAが広く知られる前だったため、ライバル企業は『MAを知らない企業』よりも『既にMAを導入する企業』に営業する方が楽だったと思います。一方、私たちはこれまでブルーオーシャンだった市場に慣れ、まだ戦う体制ができていなかった。結果、解約率の上昇に繋がってしまいました」(同氏)

 この結果を鑑み、前々期からは組織改革を推進。人材の採用、営業教育の強化などを進めた結果、解約率が前期には5・9%まで減少した。

 営業部隊の強化に伴い、新規顧客獲得件数も堅調に推移。前期のMA契約アカウント数は、前々期から約80件純増した。

 また、既存顧客の月額利用料アップも売上高増加に貢献している。

「システムの基本利用料はデータ量に比例します。企業の見込み客が増えれば自動的に使用データ量も増えるため、料金は徐々に上がるケースが多いです。また、システムに使い慣れれば使いたいオプション機能も増えるため、機能を拡充してオプション料金を増やす企業も多いです」(同氏)


高利益率のEM事業も強化


前期売上高の残り30%は、EM事業。昨今のコロナウイルスを起因としたイベント自粛ムードが懸念材料だが、中村社長は「現時点での影響は限定的※」と話す。

「例えイベントが中止となっても、それまでに提供したサービス(申込フォームの作成など)に関わる料金は既に頂いています。また、イベントがオンライン開催に切り替わった場合は、当社のオンラインイベントサービスを提供できます」(同氏)

 EM事業の特長は、有力な競合他社がいない点と、利益率が高い点。そのため、これまで同社はEMサービスで得た利益をMAサービスの機能開発投資に回していた。MAサブスクが軌道に乗り始めたことを受け、今後はEMサービス向けの機能開発にも力を入れる方針だ。

「現状は、主にⅠT分野などのイベントへのサービス提供が多くはなっていますが、食品関連など、まだまだ積極的にサービスを提供できていない分野もありますので、今後は他の分野のイベントにも積極的に導入していきたいと考えています。これまではMAサービス・EMサービスの両方同時に投資する余力はありませんでしたが、MAサブスクで手応えを感じ始めた今こそ、EMサービスでもアクセルを踏みます。両サービス共に収益力を強化し、売上高利益率を2年で10%まで押し上げたい」(同氏)

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