• 株主手帳編集部

シリコンスタジオ【3907・マザ】ゲーム製作支えるミドルウェアを研究開発高い3DCG技術を活かし産業界へも進出

シリコンスタジオはテレビやPC、スマホなど様々なゲームの製作に欠かせないソフトウェアである「ミドルウェア(ゲーム中で特定の動作や処理などをするソフトウェア)」製品を開発・販売する企業。同社が得意とするのは、リアルタイムでの3Dコンピューターグラフィック(3DCG)描画をサポートするミドルウェアの開発だ。

梶谷眞一郎社長

PROFILE◉かじたに・しんいちろう

1960年生まれ。2011年3月、シリコンスタジオ入社。17年12月、同社コーポレートサービス本部長。18年同社取締役コーポレートサービス本部長。18年同社代表取締役社長(現任)。イグニス・イメージワークス代表取締役社長(現任)。





多くのゲームに製品採用 不採算事業撤退で黒字転換


同社の2019年11月決算は、4期ぶりの最終黒字に浮上。次世代ゲーム機の発売や人材事業のニーズ拡大により今期も増収の見込みだ。最近では自動車業界など非エンタメ領域の受注も拡大している。  同社の開発するミドルウェアは、人気ゲーム『ウイニングイレブン』シリーズや『ポケットモンスター』シリーズに採用されるなど、高く評価されている。また、他社からのミドルウェアの受託開発も展開している。 「ゲームでは1秒間に15コマまたは30コマの映像を、その時のプレイヤーの操作に合わせて高速で描き、しかもカクカクしないなめらかな動きで見せる技術が必要になる。ですからリアルタイムの3DCGの技術は、ゲームの世界がいちばん進んでいると思います」(梶谷眞一郎社長)  梶谷社長は、かつてスクウェア社(現在のスクウェア・エニックス)に16年間在籍。『ファイナルファンタジー』シリーズなどのゲームや3DCG映画の製作にプロジェクトマネージャーとして関わってきた。2018年10月にシリコンスタジオ社長に就任後は、ツール開発プロジェクトの案件終結など不採算部門を積極的に整理。19年11月期には、純利益1億5800万円と4期ぶりの黒字に復帰した。 「スマホ用ゲーム制作は広告費も含め1本4億円以上もかかり、しかも成功する率は低い。また、ツール開発では非常にハードルの高い技術を追求していたが、お客様の満足が得られなかった。地に足をつけ収益の出る仕事に向かおうと、撤退を決めました。もう不採算案件は0です」(同氏)


人材事業は好調が続く 2つのセグメントを両輪に成長


 同社ではゲーム業界での豊富な経験を元に、ゲーム・映像業界に特化した人材派遣と人材紹介を展開する。 「人材事業」も行っている。19年11月期のセグメント別利益でみると、開発推進・支援事業は1億3200万円に対し人材事業は3億7600万円となっており、業績を牽引している。最近では人材紹介が伸びており、クリエイティブ人材へのニーズは引き続き強いことから、成約件数は今後も増加する見込みだ。 「開発推進・支援事業と人材事業にはシナジーがあり、両輪があるからうまくいっている。今後は確実に利益を出すところと、研究開発のようにある程度冒険していくところの割合を見極めて、同業他社より先に行けるよう積極的に投資していきたい」(同氏)


ミドルウェアはチャンスの年 機械学習用画像にも商機


同社では設立から20周年に当たる現在を「第2創業期」ととらえ、中長期成長のための研究開発に注力していく。具体策としては、「開発推進・支援事業」セグメントでのミドルウェアの販売強化と、非エンターテインメント領域における受注拡大を目指す。  ゲーム開発向けミドルウェアについては、次世代ゲーム機であるソニー「プレイステーション5」とマイクロソフト「Xbox Series X」の発売予定を控え、ゲーム製作会社からの引き合いが非常に増えている。現在取引の9割は国内企業となっており、海外への進出が大きな課題だ。そこで同社では、マニュアルやチュートリアル動画など開発者向け情報を拡充し、製品認知度やサービスの向上をはかっている。  非エンターテインメント領域では、自動車の研究・開発分野への展開とともに、AI(人工知能)による機械学習に使われる「教師画像」制作の取り組みも進めている。教師画像と は、AIが学習するために使う大量の映像データのこと。教師画像制作への引き合いは旺盛で、同社では新たな教師画像制作ソフトを開発中だ。 「機械学習のプログラムの構造自体は、論文などでオープンになっていて誰でも活用できる。しかし当社はずっとCGをやってきて、PCのGPU(グラフィックプロセッシングユニット)を使うことにたけており、他社に対してアドバンテージがある。そこを今後の成長エンジンにしていきたい」(同氏)


↓同社が持つミドルウェア群。高度な光学的表現を可能にする「YEBIS 3」、CGの描画に特化したレンダリングエンジン「Mizuchi」、グローバルイルミネーションをリアルタイムに処理する「Enlighten」






















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