• 株主手帳編集部

セントケア・ホールディング【2374・東1】訪問系サービス主力に全国展開の介護大手 「コミュニティ№1拠点」戦略に注力


 高齢者の訪問入浴事業で創業し、現在は訪問系サービスを主力に全国展開するのがセントケア・ホールディングだ。2003年に店頭登録、04年のジャスダック上場以来、21年3月期まで17期連続増収を続けている。22年3月期も増収増益の見込み。同社の軸である訪問介護と訪問看護、多機能型サービスをエリア展開する「コミュニティNo.1拠点」戦略を今期から本格的に開始し、高齢者の在宅生活を支える体制づくりを加速していく。


藤間 和敏社長

Profile◉とうま・かずとし

1972年8月26日生まれ。埼玉県出身。97年拓殖大商学部卒業後、日本福祉サービス(現セントケア・ホールディング)入社。執行役員などを経て2018年6月取締役事業支援本部副本部長、同年7月取締役事業支援本部長に就任。20年4月代表取締役社長に就任(現任)。




訪問入浴事業で創業

全国549拠点を展開


 セントケア・ホールディングは、1983年に千葉県に設立した日本福祉サービスを前身とし、2年後の85年から行政の委託を受けた訪問入浴サービスを開始した。その後も介護サービスの総合化を図って事業を拡大。現在は訪問介護、訪問入浴、訪問看護などの訪問系サービス、デイサービス、グループホーム、ショートステイなどの施設系サービスの両分野においてトータルな介護サービス事業を展開している。

 展開エリアは東京、千葉、神奈川の1都2県を核に北海道、東北、中部、近畿、四国、九州まで全国に広がっている。2007年に旧コムスン社の14県の事業を承継し、地方都市にも拠点を拡大した。

 現在の総拠点数は549カ所、主軸の訪問介護・入浴・居宅介護支援の拠点は240カ所(21年3月末時点)と全体の半分近くを占めている。スタッフ数は正社員、契約社員合わせて約1万人。ホームヘルパーの有資格者は約5200人、介護福祉士は約3500人、看護師は約2000人を数える。

「近年は、医療的ニーズに対応できる訪問看護の事業に投資しています。看護小規模多機能型居宅介護など、通い、泊まり、訪問の機能を備えた多機能型サービスも積極展開しています。多機能型サービスは、病院を退院した方などが在宅で生活できるように支援する橋渡しの役割の拠点です。当社が多機能型サービスを始めた頃は集客などに大変苦労しましたが、そんな中でも挑戦してきました。今ではノウハウもでき、全国トップクラスの拠点数を運営しています」(藤間和敏社長)


3つの創造と3つの規律を

経営理念に掲げる


 同社は、経営理念として「3つの創造」「3つの規律」を掲げる。「3つの創造」は、「福祉コミュニティの創造」「ケア産業の創造」「生き甲斐の創造」の3つ。個人レベルの「生き甲斐の創出」が産業レベルの「ケア産業の創造」へとつながり、さらに社会レベルの「福祉コミュニティの創造」に達することを目標としている。

 また、「高い思想と謙虚な姿勢」「損得より役立ちの優先」「ケアの本質の追求」の3つの規律を掲げてケアの質の向上を目指している。

「当社は介護サービスを利用するお客様一人ひとりの価値が尊重され、住み慣れた地域で暮らすことができる地域コミュニティづくりを担うと同時に、当社のスタッフがケアによってお客様に喜んでもらい生きがいを持って働くことを目指しています。このコロナ禍では、現場のスタッフは感染リスクが心配だったと思いますが、お客様の生活を守るんだという使命感で献身的に続けてくれました。今後もセントケア・グループとして社会が求める課題に対してしっかりと答えていく必要があると考えています」(同氏)


訪問看護など拠点拡大

ネット媒体での採用強化


 2021年3月期の業績は、売上高459億900万円、営業利益28億600万円の増収増益だった。主にデイサービスにおいて、コロナ感染予防のための利用控えの影響があったものの、訪問入浴や訪問看護など自宅でサービスを受けられる訪問系サービスの需要が大きく伸びた。

 22年3月期の業績は売上高490億円、営業利益31億円の増収増益の見込み。訪問看護や看護小規模多機能型居宅介護などの新規拠点を積極開設し、収益力向上を図る。

 新規開設に当たり必要となるのは人材の確保だ。採用に向けた様々な取り組みを行っており、なかでもネット媒体などでの採用を強化している。

 また、離職率の低下に注力し処遇改善に努めている。給与は業界平均より約20%上の水準を目標として設けている。同社が注力している訪問介護や訪問看護は単価の高い事業でもあり、訪問系サービスの売上総利益率は全体的に高い。また、処遇改善加算などの加算を積極的に取得しており、スタッフへの還元を意識している。


他社との連携も視野

地域で展開する事業者に


 同社は今後、事業戦略「コミュニティNo.1拠点」に注力していく。コミュニティNo.1拠点とは、多機能型サービスを中心に、訪問介護、訪問看護の3つの拠点をユニット化してエリア展開する事業だ。地域ごとに拠点が連携し、高齢者の在宅生活を支えるサービスを多角的に提供する体制を構築する。今期から本格始動し、全国19カ所にて展開する。

 この戦略では、自社サービスだけでなく他社との連携を視野に入れ、要となる「地域の顔」の人材を育成していく。

「ソーシャルコミュニティリーダーと呼ぶ人材を配置し、そのリーダーを核として拠点をエリア展開していきます。この事業は売上利益率20%の事業モデルです。ただ、当社のサービスだけではなく、お客様にとって必要ならば他社のサービスも紹介できるように連携していきます。国が進めている地域包括ケアシステムの構築を見据え、地域で展開する事業者になっていきたいと考えています」(同氏)



◀訪問介護で日常生活を支援

▲訪問入浴は自宅で入浴できるサービス