• 株主手帳編集部

タクマ【6013・東1】ボイラ技術を基盤にごみ焼却施設など展開 バイオマス発電プラントの豊富な実績有す


 タクマは、ボイラやプラントの専門メーカーだ。創業者の田熊常吉氏が1912年に発明した「タクマ式汽罐(ボイラ)」を源流とし、ボイラを通じた社会貢献を掲げ1938年、同社が設立された。現在はボイラ技術を基盤にごみ焼却施設やバイオマス発電プラントなどエネルギー活用と環境保全の分野に事業を広げている。2030年度経常利益200億円の実現に向け、21~23年度の第13次中計では経営基盤の強化を図る。



南條 博昭社長

Profile◉なんじょう・ひろあき

1959年11月21日生まれ、大阪府出身。姫路工業大(現兵庫県立大)卒。82年タクマ入社。2013年執行役員、15年取締役を経て16年取締役常務執行役員に就任。18年取締役専務執行役員に就任。19年代表取締役社長兼社長執行役員に就任(現任)。






主力は一般廃棄物処理プラント

国内トップクラスのシェア


 同社の2021年3月期の連結売上高は、1467億2600万円、経常利益110億2800万円。主力の環境・エネルギー(国内)事業が売上の8割強を占めている。

 同事業の21年3月期の売上高は1207億円であり、その6割強を占めるのがごみ焼却プラントなどの建設・運営を手掛ける一般廃棄物処理プラント事業だ。1963年に日本初の連続式ごみ焼却施設を納入して以来の長いキャリアがあり、ごみ焼却プラント納入件数は国内最多の360件以上を誇る。

 環境省によると、現在、全国には1067のごみ焼却施設があり、同社のプラントは約110施設が稼働中だ。顧客は全国の自治体であり、年間2~3件のプロジェクトを受注している。長年、施設の設計、調達、建設を請け負うEPC事業を主軸としてきたが、近年は自治体が資金調達を負担し、施設の設計から運営までを民間企業が請け負うDBO事業に注力している。

「DBO事業の受注を2004年から、竣工後の運営事業を07年から開始し、現在建設中のプラントを含めて15件の実績があります。この事業では施設完成後、15~20年間の運営やメンテナンスを当社が請け負います。EPCだけだと年度によって受注の波がありますが、運営事業は毎年、売上、利益を出せるので力を入れています」(南條博昭社長)

 同社の調べでは、国内のごみ処理プラントの市場規模(処理能力)は1日あたり3000~5000トンで推移。国内のプラントは築年数20~40年が多く、今後4~5年は安定した更新需要が続く見込みだ。

 同社の年間受注高は処理量ベースで約15%のシェアを占めており、日立造船、JFEエンジニアリングなど国内トップクラスの企業の1つに名を連ねている。一方で、同社は専業メーカーならではの強みを生かし、きめ細かなサービスを展開して顧客との信頼関係を構築している。

 また、一般廃棄物処理プラントにおいては、ストック型ビジネスにも注力している。性能の向上や延命化のための基幹改良工事やメンテナンスなどのアフターサービスを行っており、一般廃棄物処理プラント事業の売上のうちの4~5割を占めている。

「ストックは定期的に発生するサービスであり、収益の安定化に貢献しています。もちろん、その原資となるEPCの受注が大前提であり、両者のバランスを取って注力しています」(同氏)



▲一般廃棄物処理プラント



▲バイオマス発電プラント



再エネ需要を追い風に

エネルギープラント事業成長


 第2の柱はエネルギープラント事業だ。バイオマス発電プラント、産業廃棄物処理プラントの建設やメンテナンスなどを手掛けている。

 2012年にFIT制度(固定価格買い取り制度)が開始されて以降、バイオマス発電の需要が増え成長。年間5~7件のプラントを受注している。FIT制度開始以降に同社が受注したプラント数は国内最多の40件以上であり、同制度で作られた施設全体のうちの3割程度を占めている。

 22年以降、FIT制度の一部はFIP(Feed─in─Premium)制度に移行する。固定価格買い取りではなく、市場や相対取引での売買となり補助が交付される仕組みであり、今後詳細が決まることから、その動向を注視している。

「バイオマス発電の市場は制度の変更に大きく影響を受けますが、再エネは追い風であることは間違いなく、需要は堅調に続くと考えています」(同氏)


第13次中計の3カ年累計

経常利益360億円へ


 水処理プラント事業は、自治体の下水処理場向けに製品・サービスを提供するもの。今後、新しいモデルとして、温室効果ガス(N2O)の発生が少ない省エネ・創エネ型の下水汚泥焼却発電システムの拡大を図っていく。

 なお、海外事業は、近年は売上高全体における約1%に留まっている。過去には海外にバイオマスボイラやごみ処理プラントを納入した実績があることから、今後、グループ事業の柱の1つになるような取り組みをしていく考えだ。

 18~20年度を期間とした第12次中計では、3カ年累計経常利益の目標値330億円を上回る336億円を達成した。次なる第13次中計(21~23年度)では、数値目標として3カ年累計経常利益360億円を掲げている。

「長期ビジョンの『Vision2030』では、30年度(単年)の経常利益200億円を目指しています。今中計はそのファーストステップとして、人材やデジタル技術、研究開発などの経営基盤をしっかり強化したいと考えています」(同氏)





▲メンテナンスで施設の長期安定稼働を実現