タスキ【2987・マザ】「都内・駅近・3億円」投資用マンション企画・販売 不動産業界向けDXクラウドベンダーへの進化図る


 投資用マンションの企画・販売の他、近年は不動産テック事業を展開するタスキの業績が好調だ。同社が11月に発表した2021年9月期決算は、売上高以下全ての項目で過去最高を更新。売上高は前期比30.8%増の91億9000万円、営業利益が同116%増の12億5000万円、経常利益が同113%増の11億1200万円、当期純利益が同140.3%増の7億9400万円と大幅増収増益を達成した。増収増益は6期連続となる。上場から1年、成長を続ける同社でこの10月、柏村雄氏が新しく社長に就任した。同氏から今後の事業展開を聞いた。


柏村 雄社長


 


柏村 雄社長

プロフィール◉かしわむら・ゆう

1979年7月28日生まれ。2003年4月、新日本建物入社。2017年10月、タスキに転籍、経営管理部長。2018年4月、経営管理部長兼投資戦略部長。2018年9月、取締役経営管理部長兼監査室長。2019年4月、取締役経営管理部長。2019年5月、取締役経営管理部長兼コンプライアンス・ オフィサー。2021年10月、代表取締役社長(現任)。






 

「IoTレジデンス」が好調

富裕層の相続税対策として


 同社の売上高の9割以上を占めるのは、「IoTレジデンス」ブランドで、東京都を中心に展開する投資用マンションの企画開発・販売事業だ。この商品は、スマホからの音声入力による家電の遠隔操作機能や、人感センサーで侵入者の発生を知らせる機能を標準装備するなど、テクノロジーを駆使した設備が特徴。不況下でも空室や家賃下落のリスクが低く、年間で安定した物件を供給している。

「開発、販売する物件は、『都内・駅から徒歩5分以内・約20坪・4~5階建てRC構造で販売価格が3億円前後』と明確です。限定した真四角の土地を仕入れ、システム化した設計プランで建築しているのです」(柏村雄社長)

 約3億円という販売価格は、富裕層が相続税対策などで投資をしやすい価格帯なのだという。ただ投資ニーズは高いが、効率が悪く実際に手掛ける企業は少ない。

「その点、当社は仕入れのドミナント戦略と建築会社への集中発注などによって、工事の効率化や工期の短縮化を図っています。建築会社にとっても現場の人材を確保しやすい。このシステムが他社の参入障壁になっているのです」(同氏)

 2021年9月期の決算では、経常利益が前期の2倍超となる大幅増となった。

「今回の業績については環境が良かったという面もあります。コロナ禍で市場に出ていた物件が少ない反面、需要が高かった。1年前、コロナ禍で他社では用地仕入れを止めていたところもありましたが、当社はリモートなども駆使して通常どおり稼働できました。また、プロジェクト収益性向上と社内DXを進め、生産性が向上したことが好業績に繋がりました」(同氏)

 同社の事業サイクルは1年で、前期は売却が37棟、仕入れが59カ所、今期は47棟の販売を計画しているという。

 同社は配当性向35%以上を目指しており、連続増配中の年間配当は前期より4円増の56円を予定する。

「当社は売上より、どちらかというと利益率改善を重視しています。今後もDXなどを進めていくことで現在は13・6%の営業利益率ですが、15%ほどに上げていきたい。利益を成長させることで配当性向も35%以上を維持できる基盤ができると考えております」(同氏)


BtoCからBtoBビジネスへ拡大

安定的ストック収益増加目指す


 同社は現在、投資用マンション販売というBtoCの収益基盤を基に、中長期的な戦略としてBtoBの「不動産を中心としたクラウドベンダー」への進化を掲げている。

 既に同社は「TASUKI TECH」という、不動産ディベロッパー向けの業務効率化を支援する月額定額制クラウドサービスを開発。土地の仕入管理から建築プラン設計、部屋案内や不動産クラウドファンディングなど不動産に関して多岐にわたる業務サポートを行うシステムを提供し、不動産業界のDX化を支援している。

「TOUCH&PLAN」という新サービスも、不動産業界からの注目度が高いという。

 同サービスはスマホなどからクラウドシステムにアクセスし、地図上で対象としたい土地をタッチすれば、マンションの建築プランと事業収支表が即座にでてくるシステム。

「例えば、この土地に3階建てのアパートを建てたらどれくらいの収益が出せるか、ということがすぐにわかります。従来は土地情報の入手、役所での調査や設計依頼、賃料査定など膨大なプロセスが必要だったのですが、土地情報や建築プランをクラウドシステムに組み込むことで即時にデータが出せる。中古物件のシステムはありましたが、新築で土地からできるシステムは初で、特許を出願しています」(同氏)

 同社が取り組んでいる不動産業者を対象としたDX事業の概算規模は、「都内の不動産会社2万5000社として、そのうち10%が使うとしたら、1アカウント10万円で提供すれば1社あたり月120万円、年間でおよそ300億円となる計算です」(同氏)という。

 システム開発費は膨らむものの、不動産DX事業は月額制のためストック収益となる。

「ストック収益を増やすことで、BtoCである不動産販売事業とバランスを取りながら経営を安定させていくことができます。中長期的には不動産販売とIT事業の割合を50:50にして持続的成長を図りたいと考えています」(同氏)

 また、事業拡大スピードを加速させるため、条件に合う企業があればM&Aも視野に入れているという。これまでDX事業を主に手掛けてきた同社長の就任も新しい事業領域の拡大を見越したもので、第二の柱として成長することを期待している。



▲同社の「タスキIoTレジデンス」


▲事業セグメント


 

2021年9月期 連結業績

売上高

91億9000万円

前期比 30.8%増

営業利益

12億5000万円

同 116.0%増

経常利益

11億1200万円

同 113.0%増

当期純利益

7億9400万円

同 140.3%増


2022年9月期 連結業績予想

売上高

130億円

前期比 41.5%増

営業利益

15億4000万円

同 23.1%増

経常利益

13億6000万円

同 22.3%増

当期純利益

9億3000万円

同 17.0%増

※株主手帳1月号発売日時点