• 株主手帳編集部

タスキ【2987・マザ】23区、駅近、狭小地絞った投資用マンションを販売 土地査定システム等AI活用したツール開発に強み

 タスキ(2987)は、東京23区内、駅から徒歩5分以内に絞った投資型マンションを供給する不動産企業だ。同事業の開始からわずか3年で、マザーズ上場を果たし、さらに物件紹介のためのVR動画や土地査定システム「タスキTECH」など、テクノロジーで業務を効率化する様々な新規事業を進めている。

村田 浩司社長

プロフィール◉むらた・こうじ

1967年9月17日生まれ。91年4月に明和地所に新卒入社。2002年3月に新日本建物に転職し、住宅事業部長などを経て17年7月、現タスキに転籍し事業部長に就任。

18年8月、代表取締役社長に就任(現任)。







Live Mana事業が9割超

新事業も積極的に推進


 同社の2020年9月期の売上は前期比37,3%増の70億2700万円、経常利益は同58,0%増の52億2000万円。同社は2013年、新日本建物の子会社として創業し、2016年から投資用新築マンションの開発事業を開始した。17年に独立、わずか3年の昨年10月にマザーズ上場を果たした。従業員19人の小規模の会社だ。     

 牽引力となっているのは、新築投資型マンションを供給する「Live Mana(リブマナ)事業」で、売上の9割以上を占める。物件は東京23区内、最寄り駅から徒歩5分以内に限定し、約20坪、4~5階建てのRC構造で販売価格は総額3億円前後。

「相続税対策などで投資型マンションを購入する富裕者層にとってはこの価格帯の物件は購入しやすくニーズがある一方、市場にあまり出回っていない」(村田浩司社長)点に商機を見出した。最近では既存顧客に加え、新規の投資家を取り込む形で、少額から始められる不動産クラウドファンディング「タスキFunds」もリリースした。

 さらに物件を案内のためのVR動画、AIが土地を査定し、瞬時に建築プランが自動で作成できる「タスキTECH」など、不動産業をデジタル化で効率的に行う新事業の開発にも積極的に取り組む。


▼「Live Mana」ブランド展開










真四角な敷地・建物建設

施工の効率性を高める


 Live Mana事業では、これまで約30棟の新築投資マンションを供給してきた。そのコンセプトは極めて明確だ。東京23区内、最寄り駅徒歩5分以内に限定し、20坪台の敷地面積にRC構造で1フロアに2軒のワンルーム、4~5階建てが中心。また室内の照明や風呂、エアコンなどをインターネット経由で外出先から操作できるなど、IoT環境を標準装備したり、入居率の悪い低家賃の1階をトランクルームにするなどの工夫で空室を減らし、物件の収益性を高めている。この内容で総額3億円前後と投資しやすい価格設定が相続税対策を考える富裕層、海外投資家に響き、売上を大きく伸ばしている。

「当社のレジデンスの大きなポイントは、建築用地が真四角であること。設計プランはパッケージ化しており、それに合致した案件を取得します。真四角の建物は使うコンクリート量も少なく、地震にも強く、工事の効率も良い。容積率は捨てても良いという考えです。こうやって、小さな案件でも工夫次第で十分に利益が取れます」(同氏)

 設計プランは決まっているので、工務店との打ち合わせも必要ない。また1つの用地を取得したら、そのエリアを重点地区として2つ目、3つ目を買い付ける「ドミナント戦略」も強みだ。同じ工務店にまとめて発注することで工事費の削減につながり、浮いた費用は用地仕入れに回すことができる。

「好物件は他社よりも“高買い”するので、優先的に多くの物件が集まります。1カ月で寄せられる案件は約1000件、うち8件ほどを買い付けます」(同氏)

 最近多いのは、建物1階部分に居酒屋など飲食店が入ったビルオーナーからの売却相談だ。コロナの影響で飲食店が撤退し、収益性が見込めず売却するケースが目立っており、仕入れ先は豊富にあるという。


クラウドファンディングも好調

2000万円を3分で調達


 同社では今期のテーマに「デジタル化による業務効率化」を掲げている。今年、Live Mana事業の既存顧客、新規の少額投資家を取り込む形で、不動産型クラウドファンディングサイト「タスキFunds」がスタートした。銀行融資と組み合わせて運用するため、1口10万円から始めることができ、オンライン上ですべての手続きが可能。投資用レジデンスの利回り約5%に比べ、利回り10%とミドルリスク・ミドルリターンが期待できる。第1号ファンドは東京の認可保育園「キッズガーデン北区滝野川」で12月に申込を開始し、3分で募集金額2000万円を達成した。今後も「商業施設など特徴ある案件を用意し

たい」(同氏)と話す。

 その他、コロナ下で日本に来られない海外投資家に向けて開発されたVRを活用して投資レジデンスを販売するなど、同社では直面する問題を次々にデジタルで解決し、新事業の構築に努める。


流通プラットフォーム

「タスキTECH」導入


 また将来の「もう1つの柱」にしたいと同社が意気込むのが開発中の不動産流通プラットフォーム「タスキTECH」だ。

 建築プラン自動作成と連動してAIが容積率や道路幅員など入力された情報から土地を自動的に査定し、不動産仕入れの際の一次的な判断材料となることを目的としている。同社では7人で仕入れを担当しており、一人一人の生産性をもっと向上したいという思いが開発の

きっかけになった。

「物件査定では、役所への問い合わせなども多く調べることに非常に時間をとられます。これらの情報を、スマホを使って一括で調べられるプラットフォームを現在、電気通信大学、

ソフト開発企業三者の産学連携で開発しています。社内で使えるレベルのものがあと半年ほどで出来上がる予定です」(同氏)

 将来はこのプラットフォームをさらに進化させて外販し、銀行の査定、さらには一般の人でも不動産売買価格の相場がわかり、売る側との“非対称〟な不動産取引が是正されることを目指している。未来の常識を創りたいという思いだという。

「今期は90億円を予定していますが、売上をどんどん増やすというよりは、タスキTECHなどITで不動産業界を変えたいと思っています」(同氏)