• 株主手帳編集部

ダイダン【1980】病院、研究所など空調・給排水・電気の設備工事大手再生医療とZEBで事業創出、営業利益100億円へ

 ダイダン(1980)は病院、工場、商業施設など大型施設の空調、給排水、電気設備などの工事を一挙に手掛ける企業だ。空調設備工事を主力とする空調大手の中での業績は、高砂熱学工業、新菱冷熱工業、三機工業に次いで第4位。2019年3月期の売上高は前期比で8.4%増の1556億円、営業利益は3.7%増の77億円と成長を続ける。後発で立ち上げた工場や研究施設など産業部門は、5年前には売上高の1割強だったが、現在は約3割、500億円弱にまで伸びている。



藤澤一郎 社長

ふじさわ・いちろう 1956年10月生まれ。1979年ダイダン株式会社入社。2009年取締役役員産業施設事業部長兼技術部長、2013年取締役副社長執行役員東日本地区担当兼東京本社

代表兼開発技術グループ長などを経て、2018年4月に代表取締役社長執行役員就任。




大型物件は1年に5~6件 リニューアル案件で収益確保


ダイダンは1903年にガス塔や電気の工事を請け負う会社として大阪で創業、100年以上にわたって電気設備工事や空調設備工事、給排水衛生設備工事などを多数手がけてきた。部門別の比率で見ると、ここ最近の受注工事高の62・5%が空調設備、給排水衛生設備が22・1%、電気設備が15・4%を占める。同社の完成物件は全国の拠点病院を始め、日本武道館、国技館、東京駅前のJPタワー、最近では羽田空港国際線ターミナルなど、施設の種類は多種多様にわたる。

 「年間の受注工事高約1500億円のうち大型といわれる50~100億円の物件は1年にだいたい5~6件で、それ以外は数億~10億くらいの物件です。またリニューアルも多数手がけており、全体の半分ほどになります」(藤澤一郎社長)

 

 大型物件は世間の注目も高く華やかだが、競争が激しいうえ、当初の事業計画どおりにいかないケースも多い。ゼネコンから受注しても工期が長いため、工事の進捗によって簡単にコストのブレが生じるからだ。一方で完成物件のリニューアルは、壁面、床面内部に配された設備の入れ替え、移設などの作業は非常に複雑であるため、新築を手がけた企業がリニューアルも行うのが業界の原則。つまりゼネコンを通さない直接受注で、工期も短く収益性が高い。特に店舗が入る商業施設では、テナントが入れ替わるたびにリピート受注が期待できる。そのため設備業界では大型物件の獲得に努めつつ、リニューアルで安定した収益を確保

するというバランスが重要だ。





大型物件は1年に5~6件

リニューアル案件で収益確保


ダイダンは1903年にガス塔や電気の工事を請け負う会社として大阪で創業、100年以上にわたって電気設備工事や空調設備工事、給排水衛生設備工事などを多数手がけてきた。部門別の比率で見ると、ここ最近の受注工事高の62・5%が空調設備、給排水衛生設備が22・1%、電気設備が15・4%を占める。同社の完成物件は全国の拠点病院を始め、日本武道館、国技館、東京駅前のJPタワー、最近では羽田空港国際線ターミナルなど、施設の種類は多種多様にわたる。 「年間の受注工事高約1500億円のうち大型といわれる50~100億円の物件は1年にだいたい5~6件で、それ以外は数億~10億くらいの物件です。またリニューアルも多数手がけており、全体の半分ほどになります」(藤澤一郎社長)  大型物件は世間の注目も高く華やかだが、競争が激しいうえ、当初の事業計画どおりにいかないケースも多い。ゼネコンから受注しても工期が長いため、工事の進捗によって簡単にコストのブレが生じるからだ。一方で完成物件のリニューアルは、壁面、床面内部に配された設備の入れ替え、移設などの作業は非常に複雑であるため、新築を手がけた企業がリニューアルも行うのが業界の原則。つまりゼネコンを通さない直接受注で、工期も短く収益性が高い。特に店舗が入る商業施設では、テナントが入れ替わるたびにリピート受注が期待できる。そのため設備業界では大型物件の獲得に努めつつ、リニューアルで安定した収益を確保するというバランスが重要だ。

工場の海外移転でニーズ増

将来は産業部門を全体の4割に


 かつては地方自治体の建物など官庁工事も全体の30%ほどの売り上げを占めていたが、時代とともにニーズが減少し、現在は10%を切るほどに縮小。代わりに大きく成長しているのが、工場や研究施設などの施設を手がける産業部門だ。同社では約15年前に部門を立ち上げたが、当時、産業部門の責任者だったのが藤澤社長だった。「当時はいくら空調工事の大手であっても、こと産業部門に関しては実績がないからと任せてもらえませんでした。産業部門は例えば工場だと1ユニット(部品組立)で1000億円といわれるほど、大変なビジネスモデルです。不具合が生じれば製造ラインが止まりますから、間違いは許されません。特に工場のクリーンルーム、それに付随した純水や溶液配管を施したユーティリティーなどは大手の動員力、技術力がないと完成できない施設です」(同氏) 同社は着実に産業部門で実績を積み上げた。近年では海外移転する工場に代わり、研究所、データセンター、そして製品の最終組み立てをしたり、自動ラックシステムを設けたり、厳しい温度管理が求められるなど、物流センターから一歩進んだロジスティクスセンターの案件が増えている。将来はこの産業部門を現状の3割から4割に上げていきたいという。



同社が設備工事を手がけた大型商業施設「GINZA SIX」


工場の海外移転でニーズ増

将来は産業部門を全体の4割に


 かつては地方自治体の建物など官庁工事も全体の30%ほどの売り上げを占めていたが、

時代とともにニーズが減少し、現在は10%を切るほどに縮小。代わりに大きく成長している

のが、工場や研究施設などの施設を手がける産業部門だ。同社では約15年前に部門を立ち上げたが、当時、産業部門の責任者だったのが藤澤社長だった。

「当時はいくら空調工事の大手であっても、こと産業部門に関しては実績がないからと任せてもらえませんでした。産業部門は例えば工場だと1ユニット(部品組立)で1000億円といわれるほど、大変なビジネスモデルです。不具合が生じれば製造ラインが止まりますから、間違いは許されません。特に工場のクリーンルーム、それに付随した純水や溶液配管を施したユーティリティーなどは大手の動員力、技術力がないと完成できない施設です」(同氏)

 同社は着実に産業部門で実績を積み上げた。近年では海外移転する工場に代わり、研究所、データセンター、そして製品の最終組み立てをしたり、自動ラックシステムを設けたり、厳しい温度管理が求められるなど、物流センターから一歩進んだロジスティクスセンターの案件が増えている。将来はこの産業部門を現状の3割から4割に上げていきたいという。



本業を下支えする2つの新規ビジネス


さらに「国公立大学や県立の総合病院など、全国の拠点病院を多く手掛けている」(同氏)という同社がその強みを生かして新規事業と位置づけるひとつが、再生医療の分野だ。近い将来、再生細胞が量産レベルになることを見込み、自動培養加工に必要な再生医療に特化した空調設備による高清浄度空間「スマートCPユニット」を開発した。理化学商社や自動培養装置メーカーなどとの協働によるもので、今後ユーザーニーズを探りながら、様々な設備に発展する可能性を秘めている。

 「すでに付き合いのある病院、医学研究所のリニューアルにも寄与すると思います。医療関係に関しては当社にしかないノウハウもあるので、強みを生かして本業に近いところで事業創出をするということです」(同氏)



高清浄度空間「スマートCPユニット」


 もうひとつの新規事業がZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)だ。日本ではオフィスビルなどで消費される業務部門でのエネルギーが全体の20%にもなり、省エネ対策が急務とされる。そこで消費エネルギーを地中熱、外断熱などで最大限減らし、さらに太陽光発電によってエネルギーを創ることで消費をマイナスにして、かつ快適な環境を作るZEBが注目を集めている。

「自社ビルを使って、同業ではいち早くZEBに取り組みました。九州支店のビルで

基準からマイナス68%、四国支店でマイナス101%を実現しています。政府主導で省

エネ対策が進んでおり、これまでは2000㎡以上の建物が対象でしたが、近々300

㎡以上の建物にも基準が設けられるようです。このZEBが技術を下支え、売り上げを

下支えて、本業に今後生きてくると期待しています」(同氏)

 就任2年目を迎える藤澤社長は、創業120周年である4年後の2023年に営業利

益100億円を達成するのが目標と語る。

「しかし営業利益にばかりこだわらず、むしろ利益率は下げても業績そのものを重視

し、全体のトップラインを上げていきたい」(同氏)



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