• 株主手帳編集部

ダイトロン【7609・東1】部品商社から国内オンリーワンの製販融合企業に成長「技術立社」でオリジナル製品率30%を目指す

部品商社でありながら、メーカー機能を一体化させ、電子部品、半導体製品などの販売・

製造を手掛ける「製販一体企業」に進化したダイトロン。IoT、自動化など成長性のある

事業分野に注力し、一歩先のニーズを読む戦略で〝1000億円超え企業〟を目指している。



前 績行社長

まえ いさゆき社長プロフィール

1953年8月1日、和歌山県生まれ。78年、大阪工業大学工学部卒業後、大都商事(現ダイトロン)に入社。2001年取締役、03年執行役員常務、09年常務取締役などを経て、11年代表取締役社長に就任(現任)。13年より、代表取締役社長社長執行役員最高執行責任者(現任)。







自社ブランド商品で『独自の価値』を創出


ダイトロンの創業は1952年。テープレコーダーの販売からスタートしたのが前身

だ。1970年代にはメーカー機能をもつ商社へと舵を切り、1998年にはダイトエ

レクトロンに社名変更。電子部品や製造検査装置などの商社である一方、自社で製品開

発を行うメーカーとして、明確な競合のいない、国内オンリーワンの立ち位置を確立し

ている。


「商社の中にはメーカー機能を持っているところもありますが、商社としてのバイイングパワーを使って資材調達を行い、顧客の求める製品を作っているケースがほとんど。しかし我々は、開発・設計・製造のすべてを行い、自社ブランドで売り出しています。しかも、特殊性の高い商品を世に送り出している。これができるのは、当社独自の価値であると自負しています」と前績行社長は話す。


 順調に業績を伸ばしてきた同社だが、2008年のリーマンショック時、それまでにない苦境に立たされたことがある。当時、同社の顧客の50%以上は半導体設備関連だった。しかし、リーマンショックの不景気に追い打ちをかけるように、半導体分野が不況期のサイクルに突入。その影響をもろに受けたことで、2009年には売上がおよそ半分にまで激減してしまった。その2年後にトップに就任したのが、前社長だ。半導体依存から脱却し、不況サイクルの悪影響を払しょくするため、事業構造そのものの変革に着手した。「具体的には、これから成長するオートモーティブ(自動車)、メディカル(医療)、ロボティクス(ロボット産業)などの他分野で事業拡大を図りました。その結果、半導体依存率を40%を切るまで抑えることができました」


成長性が高い領域の拡大を

重視し事業を伸張


半導体の依存度を低くする傍ら、自社独自のオリジナル製品の商品比率を高めること

にも注力。ニッチな製品ながら、高い技術力が必要とされるものを次々と世に送り出し

ている。

「例えば耐水・耐圧コネクタ。海底で使用する水中機器に使われていますが、これを作っ

ているメーカーは日本ではまれです。また、輸送用航空機に使われるハーネス(組み電

線)は、独特の仕様が必要とされています。スイッチング電源も、当社のものは超低ノ

イズのため、電子顕微鏡などの高精度な機器に使われています」と前社長。製販一体の

強みを生かした商品開発によって、ダイトロンブランドの製品比率は15%にまで伸長し

ており、将来的には30%まで引き上げたいと前社長は話す。


電子機器及び部品

スイッチング電源


 2018年度、5期連続の増収増益を実現。今期の第1四半期は低水準な利益率にと

どまったが、事業伸長のキーワードにしてきた「半導体、IoT、自動化」の分野が、

今後ますます成長することが見込まれる。前社長は「先行きは明るい。工場は国内7カ

所、アメリカに1カ所あるが、アメリカは収益性が良い。また、愛知県には新たに工場を

増設し、製造と開発の中核拠点へと進化。今年は新製品を数多く生み出せた」と話す。


取引先や仕入れ先が多いのも同社の強みだ。「当社の宝とも言える取引先5000社、仕入れ先1800社のネットワークはもちろん、メーカー機能を担っているD&P部門のスタッフ350人がほぼ全員技術者というのも大きな特徴」(同氏)


 半導体依存から抜け出したことで、不安定だった業績がここ5年で安定路線に入ったと笑顔を見せる。

 公益財団法人の「ダイトロン福祉財団」を設立し、障害者の自立支援にも積極的に関わっている同社。社会貢献の一翼を担いながら、商社でもメーカーでもない「技術立社」としてさらに独自性を高め、1000億円企業のさらにその先へと駒を進めている。

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