• 株主手帳編集部

テイクアンドギヴ・ニーズ【4331・東1】ハウスウェディングを全国に展開長期経営方針は2027年、年商1000億円

テイクアンドギヴ・ニーズ(4331)は、一軒家の結婚式場での結婚式を行う「ハウスウェディング」のパイオニアだ。全国に直営63店舗を展開し、国内ウェディングの挙式数、売上において業界トップを走る。海外・リゾートウェディングでは後発ながら業界シェア2位に成長。近年は新たにホテル事業に進出し、ブティックホテルと呼ばれる新しい市場の創出を目指している。

岩瀬 賢治社長

Profile◉いわせ・けんじ

1967年愛知県生まれ。1990年愛知学院大学卒業後、名古屋観光ホテルに入社し、ホテル運営の経験を積む。

2002年テイクアンドギヴ・ニーズに入社。15年代表取締役社長に就任(現任)。連結子会社のアンドカンパニ

ー、Dressmore、GENTLEの代表取締役社長も務める。


一顧客一担当制を強みに

個性的な結婚式を創出


 国内ウェディング産業市場規模は1兆4000億円。少子化や晩婚化などの影響によ

り市場は年1・3%程度の微減傾向にある。結婚式場の数においてはこの5年間で約2

500から約2000に減少するとみられ、大手による寡占化が加速している。

 このような市場環境の中、テイクアンドギヴ・ニーズは「ハウスウェディング」を主軸に国内ウェディング事業を展開する業界最大手である。ハウスウェディングとは、一軒家を貸し切って行う婚礼のスタイル。同社はハウスウェディングを競合に先駆けて全国展開し、市場を切り開いたことで知られる。

「業界他社の結婚式場は広い敷地内に1つのチャペルと複数の披露宴会場があり、同時進行で多数の式を行うところが多いですが、私共の施設はチャペルが1つ、会場は1つが基本。貸し切り形態なのでお客様の要望に応じて装飾や演出を自由にカスタマイズできます。効率に捉われない高品質な挙式を行うことで98・8%という高い顧客満足度を達成しています」(岩瀬賢治社長)

 比較的小ぶりの店舗であるため初期投資やランニングコストを抑えて一気に全国に広げ、現在、全国31都道府県に直営63店舗、93会場を展開する。全国に拡大した拠点網は、地域における競合の出店等の状況変化に対するリスクヘッジになっており、売上を安定して確保できていると岩瀬社長は話す。

また、平均収容人数70人程度と式場の規模が比較的小さいことが、地方における独自のポジションでの展開を可能にしている。

「例えば鹿児島といった地方都市の当社の店舗は、地域一番店ではありません。大きな式場さんからするとそんなに怖い存在ではないのがポイントで、我々は粛々と営業しています。一方で、式そのものに関しては、東京に本社のある会社として最先端のトレンドを全国に提供し、高単価を維持しています」(同氏)

 最近の人気の演出は「2人らしい空間をつくること」。決まりきった演出ではなく、ロビーに入った瞬間からカップルの2人らしさを感じられるかどうかが重視されているという。同社では準備期間から結婚式当日まですべてを専属のプランナーが担当する一顧客一担当制を敷いており、きめ細かくニーズを汲み取ることで個性的な結婚式を実現している。

 なお、2020年3月期の国内ウェディング事業売上高は、新型コロナウイルスの影響で繁忙期の3月に予定されていた婚礼の延期等が発生し、前年比5・7%減の511億4500万円となった。








海外事業は

シェア2位に成長


 第2の柱である海外・リゾートウェディング事業は2007年にスタート。売上規模111億600万円(20年3月期実績)、売上比率にして約2割を占める事業に成長している。人気リゾートである沖縄、ハワイ、グアム、バリ、プーケット、モルディブなどに出店し、20年6月末現在で20拠点以上を展開している。

 海外・リゾートウェディングの市場は挙式数で約3万組。このうちの約7割を海外展開のパイオニアであるワタベウエディング(4696)と同社グループの大手2社で占める。同社グループは現地のリゾートホテルと提携し、チャペル施設を開発して挙式・披露パーティーを提供。後発ながらマーケットシェア2位に成長している。

「後発としての戦略は、誰もが憧れるホテルでの結婚式です。ワイキキの5つ星ホテル『モアナサーフライダー』といった、アッパーミドル層から人気の高い一流ブランドホテルとのタイアップ型店舗を開発し、業界平均を大幅に上回る高単価を実現しています」(同氏)


ブティックホテルを出店

独創性とこだわりが特徴


 第3の柱として注力するのがホテル事業だ。創業者の野尻佳孝会長が中心となり新規事業を模索。ウェディング業界シェアナンバーワンとして培った様々なノウハウを活用し、「ブティックホテル」の市場創出を目指している。

 ブティックホテルとは、ユニークなコンセプトや独自のデザイン、創造性をセールスポイントに持つ高価格帯のホテル。独立系のオーナーによる経営スタイルが多く、旅慣れた人たちのニーズを満たす独創性とこだわりを特徴とする。

 2017年に東京渋谷に「T R U N K ( H O T EL)」(トランクホテル)を開業。客室は15室と小規模だが、平均客室単価が約6万円と高めであり、海外からの宿泊者が全体の8割、そのうちの約8割を欧米客が占めている。また、4つの宴会場を有し、同社が得意とするウェディングを年間700組以上行っている。

「トランクホテルのコンセプトは、『ソーシャライジング』。自分らしく無理せず等身大で行う社会貢献を意味し、内装やサービス等がこのコンセプトに沿って開発されています。広いラウンジがあり、宿泊者だけでなく地元の方々やノマドワーカーなどが利用してコミュニケーションする場となっています。世界的にも優れたホテルとして評価されています」(同氏)

 日本のホテルマーケットでは、外資系チェーンホテルや宿泊特化型ビジネスホテルは多数あるが、高価格帯・独自性の強いブティックホテル市場が未開拓であることから、同社は今後、東京都内にトランクホテル、地方都市にブティックホテルを出店してホテル事業を伸長させる計画だ。

「私共が目指すのは『唯一無二のホテル』です。当社がハウスウェディングの市場をスピード感を持って創出してきたように、ブティックホテルという新しい市場を作って成

長することを目指していきます」(同氏)

トランクホテルの外観

トランクホテルのラウンジ

















新オペレーション策定し

安全な環境整備に注力


 2027年度に向けた長期経営方針「EVOL ─ 2027」では、「ホスピタリティ産業にイノベーションを」をミッションとし、グループ売上高1000億円を掲げる。内訳としては、国内ウェディング事業の売上高は500億円、海外・リゾートウェディング事業は200~300億円、ホテル事業300~400億円の見込みだ。

 一方、20年3月期の通期連結業績は、2月の時点では5期連続増益を見込んでいたが、新型コロナウイルス感染症の影響で一転、減収減益となった。ただ、国内ウェディング事業におけるキャンセル数は全体の5%程度であり、受注の95%を維持している。同社は感染予防対策の新オペレーションを策定し、顧客が安心して結婚式を行う環境整備に注力している。

「コロナの影響により、この長期目標のゴールが2027年度であるかはどこかの時点でしっかり見直す必要があると思います。国内ウェディング事業については今後、市場の寡占化が進み、プレーヤーの数が大きく減った場合、国内に成長の余力が出てくると考えられますので、今は実際の市場の動きを見ながら対応する時期だと考えています」(同氏)








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