テスホールディングス【5074・東1】再生可能エネルギー発電所を全国に展開 ストック比率6割、安定した経営基盤構築


 再生可能エネルギー発電所の工事や運営を手掛けているのがテスホールディングスだ。元々は企業の再エネ・省エネ設備の設計施工を行うフロー型のビジネスを展開していたが、近年は自社再エネ発電事業に注力し、ストック比率を高めている。エネルギー・環境分野における日本初の「SDGs-IPO」として、2021年4月に東証1部に上場。顧客の課題に対する総合的なソリューションを提供することで世界的なエネルギー脱炭素化に貢献し、SDGsの実現を目指していく。


 

石脇秀夫会長兼社長

Profile◉いしわき・ひでお

1948年3月21日生まれ、大阪府出身。2004年テス・エンジニアリング入社。2009年同社代表取締役社長就任、テス・テクノサービス(現テスホールディングス)取締役就任。17年テス・エンジニアリング代表取締役会長に就任。18年4月、テスホールディングスを完全親会社とする持株会社体制に移行し、同HD代表取締役会長兼社長に就任(現任)。



 

大規模業務用施設の屋上に

太陽光発電パネル設置事業展開


 テスホールディングスは、「Total Energy Saving & Solution」の経営理念のもと、「再生可能エネルギーの主力電源化」「省エネルギーの徹底」「エネルギーのスマート化」の3つを注力領域としている。

 2021年6月期の連結業績は、売上高342億4900万円(前期比20・5%増)。「エンジニアリング事業」と「エネルギーサプライ事業」の2事業を展開しており、売上高構成比はフロー(受託)型のエンジニアリング事業が約4割の143億7100万円、ストック型のエネルギーサプライ事業が約6割の198億7800万円となっている。

「エンジニアリング事業」では、再生可能エネルギー系施設および省エネルギー系設備のEPC(設計、調達、施工)を中心としたフロー型のビジネスを展開している。

 顧客ターゲットは、国内のエネルギー消費の6割強を占める産業部門と業務他部門だ。

 産業部門では、食品、飲料、化学、製薬などのエネルギー多消費型工場をターゲットとし、コージェネレーション(熱電併給)システムなどのソリューションを提供している。

 業務他部門では、物流施設や病院、商業施設などの大規模業務用施設の屋上に太陽光発電パネルを設置する事業を展開している。

「当社は顧客のニーズに合わせて、省エネや再エネの様々な技術を組み合わせてソリューションを提供しています。ほぼ100%がBtoBであり、産業部門の顧客が多いですが、最近では通販の物流施設やデータセンターなどの業務他部門の比率が増えています」(石脇秀夫会長兼社長)


O&Mを中心とした

ストック型ビジネスに注力


 もう1つの柱である「エネルギーサプライ事業」では、再エネ発電事業やオペレーション&メンテナンス(O&M)を中心としたストック型のビジネスを展開している。

 同社は再生可能エネルギー発電所を日本全国で保有。現在、太陽光発電所60件、バイオマス発電所1件、風力発電所6件の計67件を保有し、運転中の設備の容量は205メガワットに上っている(21年6月末時点)。

 同社が注力する太陽光発電の規模は、茨城牛久メガソーラー発電所(発電容量29・4MW)を始めとする大規模のメガソーラーだ。メガソーラーとは、1メガワット以上の発電設備のこと(1MWは1000キロワットに相当)。FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)における事業用太陽光発電の導入量は約4万5000メガワットであり、件数にして約63万件(20年6月末時点、資源エネルギー庁調べ)。このうち、メガソーラーの導入量は約2万メガワットであり、同社はこのメガソーラー市場における中~大規模の事業用太陽光発電に注力している。

「元々、ストック型のビジネスでは、フロー型ビジネスのEPCで納入した設備のメンテナンスが主流であり、売上全体の2割程度でした。2012年にFIT制度が始まり、フローの受注は右肩上がりで伸びていましたが、このFITバブルはいつまでも続かないということに気づき、無理な受注は止めて自社の再エネ発電事業に注力する方向に舵を切りました。現在のストック型ビジネスの比率は約6割であり安定収益に寄与しています」(同氏)


中長期的では脱炭素関連の

エネルギー新事業を拡大


 同社は今期から「収益認識に関する会計基準」を適用。2022年6月期の通期業績予想は、売上高297億9000万円(前期比13・0%減)、営業利益49億500万円(同11・5%増)の減収増益を計画している。

 今期予想の柱は、エンジニアリング事業においては、福岡みやこメガソーラー(67MW)の売上を見込んでいる。エネルギーサプライ事業においては、稼働済みの再エネ発電所と茨城桜川ソーラー稼働の売上などを見込んでいる。

 FITによる固定価格買い取りの期間は、事業用太陽光発電では20年間となっている。同社は今後も太陽光発電所の自社開発を進めるとともに、既に稼働している太陽光発電所の買収や企業向け自家消費型発電モデルの「オンサイトPPA」の推進などにより、長期安定収益の獲得を図っていく。

 中長期では脱炭素関連のエネルギー新事業拡大を進めるとともに、海外展開を見据える。また、水、廃棄物分野への事業領域拡大を目指し、水事業のヴェオリア・ジャパンとの合弁会社を設立した。

 成長目標として、最終的なトータルの経常利益を確実に伸ばし、平均で10%以上の利益率を目標としている。

「2030年に向けたエネルギー脱炭素化の取り組みは今後本格化する見込みです。世界的な脱炭素の波に乗れるよう、既存事業をしっかりと伸ばし、事業領域拡大にも積極的に取り組んでいきたいと考えています」(同氏)



▲再エネ発電事業の太陽光発電所を展開




▲エンジニアリング事業の太陽光発電システム(上)とコージェネレーションシステム(下)


2021年6月期 連結業績

売上高

342億4900万円

前期比 20.5%増

営業利益

43億9900万円

同 25.3%増

経常利益

38億3600万円

同 51.4%増

当期純利益

19億9000万円

同 22.5%増


2022年6月期 連結業績予想

売上高

297億9000万円

前期比 13.0%減

営業利益

49億500万円

同 11.5%増

経常利益

40億円

同 4.3%増

当期純利益

24億9700万円

同 25.5%増

※株主手帳1月号発売日時点