• 株主手帳編集部

データ・アプリケーション【3848・JQ】EDIパッケージソフトのシェア首位 19年よりサブスク型サービスを本格開始


 EDI(電子データ交換)マーケットにおけるパッケージソフト分野でシェアナンバーワンなのが、データ・アプリケーションだ。従来は売り切り・保守型のビジネスモデルだったが、2019年からサブスクリプション型でのサービス提供を本格展開。マーケットリーダーの立場に甘んじることなく新機軸を打ち出し、企業体質強化にも繋がる方向へと舵を切った。



安原 武志社長

Profile◉やすはら・たけし

1966年3月生まれ、兵庫県出身。89年大阪工業大学工学部経営工学科卒。同年日商エレクトロニクス入社。大手企業に向けての営業活動に従事。95年日本オラクルに入社。2009年、データ・アプリケーションに入社後は、様々な営業・経営施策を立案、実行し、営業本部長、執行役員を歴任。15年より取締役専務執行役員に就任。20年4月、代表取締役社長執行役員就任(現任)。








90年代にEDI市場参入

後発から追い上げ首位の座に


 データ・アプリケーションの2021年3月期の売上高は20億2400万円、営業利益は2億600万円。セグメントはソフトウェア関連事業の単一セグメントだ。

 同社の主戦場はEDIマーケット。主に大手企業をターゲットに、パッケージ化したソフトの販売では、トップシェアを保持している。

 そもそもEDIとは、企業間の電子的データ交換のことを言う。BtoB取引を行う企業がEDIを取り入れた場合、決済業務に関わる情報を、メールやFAXを介さず専用回線でやり取りできるようになり、作業の大幅な効率化が可能になる。

「我々のソフトが関わっているのは、BtoBで、企業と企業が物を仕入れるといった場合です。企業間取引をする際には業界ごとに手順や業界標準がありまして、それに則って開発を行っています」(安原武志社長)

 同社は1990年代にEDI市場に参入。EDIのパッケージソフトという領域では後発ながら、技術力に加え、質の高くきめ細かなメンテナンスやサポートなどによって顧客からの信用を勝ち取り、2000年代前半にはマーケットでトップの座に躍り出た。同社によれば、現在も市場シェア3割強と、シェアトップを堅持しているという。


ビジネスモデルをストック型へ

安定的収益基盤で企業体質強化


 EDIの市場は既に飽和状態にあり、これ以上新規顧客を獲得してシェアを大きく押し広げることは難しい。EDIは、必要とする企業には既に行き渡った状態にある上、一度導入した顧客は長く同じソフトを使い続ける傾向にあるためだ。受発注に関わるEDIは、ひとたびシステムトラブルで機能不全に陥ると店頭に商品が並ばなくなるなど致命傷になりかねず、導入企業が他のシステムに乗り換えるケースは少ないという。そこで同社が注力しているのが、サブスクリプションモデルの提案だ。

 同社は19年頃より、ビジネスモデルを、従来の売り切り型で保守による収益を得ていくものから、ストック型ビジネスメインに移行してきた。

 21年3月期の売上区分別販売実績では、メンテナンスとソフトウェアのサブスクリプションモデルによる売上を合わせたリカーリングの売上区分は売上全体の65・2%だった。同社では今後、この割合を、「24年3月期には70%にまで高めたい」(同氏)としている。

 導入企業にとっては、サブスクであればイニシャルコストも低く済む上、バージョンアップなどで急な予算取りをする必要がない点も、大きなメリットだ。

「サブスクリプションでは、月額利用料にバージョンアップの料金も含まれますし、いつでも最新版が使えます。また、プレミアムの保守サポートを行っており、電話サポートを優先的に使えるようにして、お客様の切り替えの動機付けにしています。通常売り切り型だと起こり得る保守切れも、サブスクでは延長保守サポートを行っています」(同氏)

 21年5月に発表した、22年3月期から3カ年を対象とした中期経営計画においては、24年3月期の目標として、サブスクリプションの売上を21年3月期比で3倍にすることを掲げている。


データ連携市場へと本格進出

更なる事業領域拡大を目指す


 同社がサブスクリプションと共に力を入れているのが、市場規模420億円と言われるデータ・インテグレーション市場への進出だ。同市場はデータ連携全体を含み、EDIもこの一部となる。

 新市場進出のための戦略商品は2つある。ひとつは、エンタープライズ・データ連携基盤「ACMS Apex」、もうひとつが、データハンドリングプラットフォーム「RACCOON」だ。

 前者は、同社の主力であるACMSシリーズの最上位の位置付けだ。既存のアプリケーションを生かしつつ、単一のソフトウェアでシステム間のデータ連携性を担保。安全で高い可用性を有するデータ連携基盤を実現する。データ連携に様々なツールを利用している場合は、ACMS Apexに一本化することで、運用や保守に関わる工数・コスト・運用負荷を軽減することが可能だ。

 後者は、連携させたい業務システム間の中核に配置することで、シンプルかつスマートなシステム連携体制を確立するためのもの。従来なら手組で開発していたケースでもプログラミングなしにデータ変換・加工ができ、開発生産性を大きく高めることができる。

 今後は、市場の観点においては、既存市場であるEDI市場の深耕を行いつつ、EDI市場も一部として考えられるデータ・インテグレーション市場の開拓を、企業のDX化支援といった形で進めていく。他方、販売面においては、イニシャルコストの低減ならびに同社ソリューションの特徴である従来の売り切りモデルから、サブスクリプションモデルでの提案を、既存市場・新市場問わず強化していく方針だ。

 なお、前述の中期経営計画では、24年3月期で売上高25億円を数値目標として掲げている。