• 株主手帳編集部

トビラシステムズ【4441・マザ】迷惑電話フィルタ「トビラフォン」開発 大手通信キャリア3社に採用、利用者300万人突破

振り込め詐欺や還付金詐欺など、主に高齢者を狙う特殊詐欺の被害が依然として増加している。これらの詐欺の最初の手口が電話によるもの。この特殊詐欺電話や迷惑電話を防止するシステムを提供しているのがトビラシステムズ(4441)だ。大手通信キャリア3社へのサービス提供を機に業績を大きく伸ばし、今年4月にマザーズに上場した。特殊詐欺の手口は巧妙化しており、対策へのニーズは高いとみて利用者拡大を目指している。


明田 篤社長

 プロフィール:あきた・あつし

1980年12月28日生まれ、愛知県豊田市出身。2003

年4月アトムコンサルタント入社。2004年に独立し、

2006年12月、A&A tecnologia(現トビラシステムズ)を設立、代表取締役に就任(現任)。





迷惑電話を自動的に警告 祖父の被害を機に開発


トビラシステムズは、迷惑電話番号をデータベース化し、固定電話やスマートフォンにかかってきた迷惑電話を自動的に警告・拒否するサービスを展開している。現在、全国で300万人以上が利用する同サービスの開発のきっかけは、明田篤社長の祖父が昔、価値の低い土地を高値で買わされる「原野商法」の被害にあったことにある。

「一度被害にあったためにリストに載ってしまい、祖父の家にさまざまな勧誘電話がかかってくるようになりました。自分は大丈夫と思っている人ほど危ないのが特殊詐欺。防犯システムが必要だと思い、電話番号をデータベース化してフィルタリングしようと考えました」(明田社長)

 2006年に同社を設立。最初はインターネット上の迷惑電話口コミサイトなどに書き込まれた電話番号を集めてデータベース化する地道な活動からスタートした。2011年、迷惑電話フィルタ「トビラフォン」をリリース。地元の新聞の紹介記事を見た愛知県警から問い合わせがあり、名古屋市内での実証実験を経て警察との連携が実現した。

 現在、固定電話向けフィルタサービスは、主に回線契約のオプションパックとして、KDDI系列2社でホームゲートウェイ(ルーター)内蔵型サービスとして展開している。

 2015年からはスマートフォン用迷惑電話フィルタアプリの提供を開始。NTTドコモのオプション契約「あんしんパック」での提供をきっかけに業績が黒字化し、その後は右肩上がりで伸びている。

「3大キャリアに採用されたことでサービスが普及し、収益面も大きく改善しました。今、モバイル向けサービスが当社の大きな収益源となっています」(同氏)



約7億件のデータ収集 警察からの情報提供を活用


 同社のサービスの根幹は、迷惑電話をフィルタするデータベースだ。約7億件の膨大な電話番号データを収集・分析し、迷惑電話番号リストを抽出している。全国の警察から振り込め詐欺などに使われた電話番号の情報が提供されるほか、利用者から迷惑電話かどうかをフィードバックする仕組みがあり、迷惑電話番号リストは日々更新されて利用者のスマートフォンや固定電話に送信されている。

「独自のアルゴリズムでデータベースを生成し、さらに当社の技術者が1件1件手作業で確認して精度の高いデータベースを構築しています。迷惑電話の99%を検出でき、高い参入障壁となっています」(同氏)

 同社の2019年10月期の業績予想は、売上高が前期比12・8%増の9億5000万円、営業利益が同66・0%増の3億8000万円。特に直近1年間で月間利用者数が約160万人増加した。

 ただし、迷惑電話への対策は不十分であり、携帯電話の総契約台数に占めるオプションパックの加入台数は25%程度であることから、同社はモバイル向け市場での契約拡大の余地は充分あると見込んでいる。


SMSによる特殊詐欺増加 迷惑メールフィルタ提供開始


トビラシステムズの社名には、電話に扉をつけて安全を守るという意味と、よりよい未来につながる扉という2つの意味を込めた、と話す明田社長。今後の成長戦略として、特殊詐欺の手口の9割を占める固定電話での利用者拡大を図っていく。

「当社のサービスを採用している固定電話のキャリアはKDDIと中部テレコミュニケーション(CTC)の2社であり、契約者数は30万人ほど。NTT東西など大手に採用されれば非常に大きな収益につなげていけると思っています」(同氏)

 また最近は、SMS(ショートメール)を使った架空請求が急増していることから、同社は迷惑メールのデータベースを構築し、ソフトバンク、auに提供開始。今後は水平展開に注力していく。

 現在、迷惑電話フィルタサービスを展開しているのは国内では同社1社のみ。現在の市場規模が約10億円と限られたマーケットであることや、警察との連携の実績などから同社の

独占が続くとみられる。

「携帯電話向けと固定電話向けサービスをこのまましっかりやっていけば安定的に収益をのばしていけると確信しています。その上で法人向けサービスや新規サービスに注力し、将来的に大きな柱として成長させていきます」(同氏)