• 株主手帳編集部

ドリームインキュベータ 【4310・東1】戦略コンサル、VC投資で創業 ペット保険会社に出資し順調に拡大

 ドリームインキュベータは、2000年に設立された日本発の戦略コンサルティング会社だ。大企業コンサルティングとベンチャー投資を創業事業としてきたが、第3の柱として山川隆義社長が「事業投資」のビジネスモデルを創出。現在はペット保険や電子チケット販売などへの事業投資を展開し、上場企業としての安定成長に貢献している。


Profi le●やまかわ・たかよし

京都大学工学部および同大学院精密工学修士(生産システム専攻)。1991年4月横河ヒューレット・パッカード株式会社(現日本ヒューレット・パッカード株式会社)入社。ボストンコンサルティンググループを経て、2000年に設立されたドリームインキュベータの創業に参画。05年6月同社取締役副社長就任。06年6月代表取締役社長就任(現任)。

自分たちで事業を行う

「事業投資」モデル創出


ドリームインキュベータは、当時のボストンコンサルティンググループ(BCG)代表の堀紘一氏(現取締役ファウンダー)が2000年に設立した。当時BCGでコンサルタントとして活躍していた山川氏は、堀氏に声をかけられ同社の創業に参画。設立後は数多くのベンチャー企業のインキュベーションを手掛け、06年に社長に就任した。

 戦略コンサルティング、ベンチャー投資、事業投資の3分野を展開する現在のビジネスモデルは、山川氏が社長就任後から手掛けたものだ。同社は02年にマザーズ上場、05年に東証1部に上場。06年当時、同社は戦略コンサルとベンチャー投資の2事業を展開し、06年3月期の業績は売上高約42億円、経常利益約19億円と好調だった。ただ、売上高の3分の2はキャピタルゲインであり、変動が大きいため、上場企業としては立ち行かないという思いに至ったという。

「投資したベンチャー企業が成功して売却し、利益を出しても売ってしまえばゼロですから、ゴーイングコンサーン(継続企業の前提)ではない訳です。結局、自分たちで事業をやっていかないとだめだということになり、『事業投資』というモデルを生み出しました」(山川隆義社長)

 実際に事業会社を経営するため、11年、ペット保険のアイペットを買収。2012年3月には少額短期保険業者から損害保険会社に転換させるなど経営支援に注力した。その結果、アイペットは18年、東証マザーズに上場。買収当時は25億円の売上であったが、19年3月期には149億円に拡大し、売上比率7割を占める主力に成長した。

 同様に、電子チケット販売のボードウォーク(非連結)に出資。出資時は赤字であったが、経営基盤やシステム構築等の経営支援を行って黒字化し、18年12月期には過去最高益を達成した。

「ペット保険に投資した時は周囲から『そんなところに投資して大丈夫か』と随分心配されましたが、今は非常に安定したビジネスになっています。電子チケットもデータ分析すると様々なビジネスを効率的に展開できます。ペットもアーティストも人間の心

を動かすもの。人々が飛び込んでくる分野であり、しっかり押さえていきます」(同氏)


過去170社に投資

28社がIPO


 戦略コンサルティング事業は同社の創業事業だ。主に大手企業を顧客とし、年間20〜30億円の売上がある。

「前期は特定大口顧客の発注がなくなったので売上減となり、建て直しを図っています。当社は大きな社会課題を捉えて事業を創造するプロジェクトが強み。シニアの社会参画などの課題に対し、複数社を巻き込んだコンソーシアムを形成して事業創造を行うなどの取り組みに注力しています」(同氏)

 もう1つの創業事業であるベンチャー投資では過去170社に投資し、このうち28社がIPOしている。IPOの実績として、インターネット投稿監視のイー・ガーディアン(6050・東1)、PCソフト開発・販売のソースネクスト(4344・東1)、格安航空会社のスターフライヤー(9206・東2)などがある。19年9月末現在、日本、インドなどのベンチャー企業約40社に投資している。

「実績としては、投資した170社の半分の88社ほどが決着済みで売却しました。このうちの半分弱が元値より高く売れており、平均すると投資額に対して2・3倍の額で売却できています。また、投資期間内における1年あたりの利回りであるIRR(内部収益率)も16%と悪くないレコードだと思っています」(同氏)

 従来の国内向けベンチャー投資は自己資金による投資が中心だったが、今後の投資規模拡大を見据え、投資ファンド「DIMENSION」を設立した。起業家を募る手段としてオウンドメディア(自社メディア)の「ベンチャーナビ」を運営している。


戦略コンサルをベースに

事業創造・育成を支援


事業を創造・育成する「The Business Producing Company」を掲げる同社は、今後も戦略コンサルティングをベースに様々なかたちでのインキュベーションを行っていく。

「当社の事業構造を家屋に例えると、1階に事業投資があり、2階がコンサルティング、3階がベンチャー投資。事業投資のアイペット、ボードウォークは今後さらに拡大させます。コンサルティングも安定しています。ベンチャー投資はファンドにして資本を使わずにやっていく。この3つをバランスよく成長させていくのが大きな方向性です」(同氏)

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