• 株主手帳編集部

ハニーズホールディングス【2792・東1】ミャンマーの自社工場中心に婦人服を生産脱・中国が奏功、小規模店舗を全国に881店展開

 低価格・高品質を目指して女性向け衣料品を製造販売、全国に881店舗出店するのがハニーズHD(2792)だ。1978年の創業から一貫して福島に本社を置く一方、商品の生産は2010年代中頃に中国からミャンマーを中心としたASEAN諸国へと移した。固定費を極力かけず、自社工場での生産などで利益率を上げる仕組みを構築し、手堅い経営を行っている。


PROFILE◉えじり・よしひさ

1946年9月2日生まれ、福島県出身。69年早稲田大学卒業後、家業のエジ

リ帽子店に入社。78年、有限会社エジリ

(現・ハニーズホールディングス)を設

立し、専務取締役に就任。86年、ハニー

ズホールディングスへ社名変更し、代表

取締役社長に就任(現任)




安定した集客見込める

GMSやスーパーに出店


 ハニーズは福島県を拠点に全国に店舗を展開する、女性向け衣料製造小売りの大手だ。ブランドは、10~60代向けのベーシックな「シネマクラブ」、通勤・お出かけ服の「グラシア」、10~30代向けの「コルザ」の3つ。購買層は各年代に分散しており、20代以下、30代、40代、50代以上がそれぞれほぼ4分の1ずつと幅広い。

 ハニーズの出店先は、イオン系列店に300店ほど、その他はイズミやユニーのような総合スーパー(GMS)、ヤオコーやヨークベニマルといった食品スーパーが中心だ。

「全国の大手スーパーとはだいたいお付き合いがある」(江尻義久社長)状況といい、2020年5月末現在で、北は北海道、南は沖縄まで、全国に881店舗を出店している。

「食料品を売っていたりすればリピーターとして非常に安定して集客があるので、そういうところが基本です」(同氏)

 創業当初同社がターゲットとしていたのは、10代や20代の若い女性だった。しかし、今では少子高齢化社会を見据え、より幅広い世代へと対象を拡げている。カジュアル化が進む中、商品単価も低価格へとシフトしており、現在の年間を通じた販売単価は1400円という。こうしたリーズナブルな価格設定の一方、粗利益は58.3%を確保している。


ハニーズイオンモールむさし村山店











中国での生産比率は

100%から5%に


 高い売上高営業利益率を実現できている一番大きな理由は、早期に脱・中国路線へと転じ、製造拠点をミャンマーへと移したことにある。

 同社は01年に中国での生産を本格化する傍ら、06年からは中国国内に出店。短期間で急成長を遂げ、5年で全土に400店を展開、ピーク時には600店・140億円を売り上げた。しかし中国国内の急激な発展による競争激化等により利益率の低下が進んだことから、段階的な店舗の削減に乗り出す。

「中国では百貨店がダメになり郊外のショッピングセンターに出店しましたが、家賃が高過ぎました。売れるところはどんどん家賃を高くされ、売れないところは売れない。そこで儲かるところを200くらい残して400くらい閉めていき、最終的には2年前で全部閉めました」(同氏)

 同社は2010年代初頭、製造を100%依存していた中国での生産に見切りをつけ、ミャンマーに活路を見出す。当時のミャンマーは軍事政権下に置かれており、外資の工場もまだ無い中、江尻社長はミャンマーへの22億円の出資を決めた。ところが、工場の契約を行った翌日、東日本大震災が起きる。

「物流センターも被災しまして、運送会社が来なくて本当に大変でした。向こうは福島県いわき市にあるというのをよく知っていますから『無しにしてもいい』と言ったのですが、3月末には送金しました。私はやる気でいましたから、3カ月、半年でおさまるだろう、予定通りいこう、と」(同氏)

 翌年には、ミャンマーに同社の100%子会社である現地法人を設立、ミャンマー第一工場を稼働させ、15年には第二工場の稼働を開始した。


積み荷を店単位で梱包

倉庫介さず港から店へ


 アパレルの製造販売会社の場合、生産を全て委託することも多いが、同社ではおよそ3割をミャンマーの自社工場で生産、残りを他のASEAN諸国の協力工場に委託している。工賃は8年前と比較するとおよそ倍になったが、それでも中国で作る場合に比べればかなり安い。たとえば工程の多いジャケットは以前の中国の工賃と比較しても、現在のミャンマーでは3分の1程度に抑制できているという。

 加えて、物流システムにも工夫がある。ミャンマーでは自社工場の敷地に、物流センターを設営。製品を全てここに集約させ、送り先の店舗単位に小分けにした状態で船便のコンテナに積み込むため、時間や経費のロスを削減できる。積み荷の3分の2は、日本の港に着いたあと、物流センターを介さず店舗へと直送される。中国からの輸入ではかかる関税が、東南アジアからの場合ゼロになることもメリットだ。


ミャンマー第2工場












EC向けに物流センターを

拡張、2年後50億円へ


 ハニーズの2020年5月期の売上高は426億円、営業利益は24億円だ。通常であ

れば最も売上を見込める4Qは、新型コロナウイルスの感染拡大で店舗営業の自粛が続い

た時期に当たった。半分の店舗を休業し、ほぼ全ての店舗で時短営業を余儀なくされた

が、25億円の黒字で着地した。

 他社が軒並み苦戦を強いられる中、同社が黒字を達成できたのは、経営体制をスリムに

し、徹底して無駄を削減してきたためだ。

 本社と物流倉庫は、創業以来、地元・福島から動かしたことがない。東京からは2時間程度の距離で、十分日帰りも可能だが、地価や人件費は、都内に比べて圧倒的に安価だ。加えて、5000名近くの社員の4分の3にあたる約3700名がいるのはミャンマーで、ハニーズ単体として本社に勤務するのは約160名と、非常にコンパクトな体制をとっている。また、メーカーや商社をなるべく介さず、自社で仕様書の作成からパターン、生産管理まで行う。

 今後の課題は、売上におけるEC比率の底上げだ。

「今後はECをどんどん伸ばしていこうと思っています。前期は全売上の7%程度でしたが、今後はできれば10%、将来的には15%くらいには引き上げたいと考えており、2年後には50億円を目指したいと思っております」(同氏)




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