ビジネスエンジニアリング【4828・プライム】自社開発の統合基幹業務システムに強み 製造業特化でSIerの独自路線を進む


 IT化が遅れていると言われて久しい製造業。国内GDPの約2割を占める同業界にもDX化の波が押し寄せている。これを追い風に業績を伸ばし続けているのが、ビジネスエンジニアリングだ。顧客を製造業に特化させ、統合基幹業務システムを主に扱う。目下、6期連続で過去最高益を更新予定。2026年度までの新中期経営計画ではさらなるシェアと業容の拡大を目指している。


 

羽田 雅一社長

プロフィール◉はねだ・まさかず

1965年1月生まれ。87年、東洋エンジニアリング入社。99年、ビジネスエンジニアリング入社。2010年、同社取締役就任。15年、同社常務取締役就任。20年、同社代表取締役社長就任(現任)。






 

2つの主力事業を展開

6期連続最高益更新見込み


 統合基幹業務システムを意味するERP(Enterprise Resource Planning)。企業の経営資源を有効活用するため、生産管理や財務会計、人事など基幹業務を統合することで情報を一元化し、効率化を図るシステムのことだ。

 ビジネスエンジニアリングはERPの開発、導入支援を行い、売上高の約8割を製造業向けが占める。顧客は石油化学や自動車メーカー、食品、製薬まで幅広く抱えており、その5割以上が売上高3000億円以上の大手企業。同1兆円越えの企業が約2割もある。大手SIerが林立する中で存在感を示している。

 同社の主力事業は、ソリューション事業とプロダクト事業の2つ。

 ソリューション事業はERPの世界大手・独SAP社を始めとする他社製のパッケージを扱う。システム構築の前段階であるコンサルティングから導入支援、その後の運用保守までワンストップでサービスを行う。2021年3月期の部門売上高は、全体の5割以上を占める122億1900万円、部門営業利益は20億2700万円となっている。

 もうひとつはプロダクト事業だ。独自に開発した製造業特化ERP「mcframe」のライセンス販売とシステム開発を行っている。21年3月期部門売上高は52億4900万円だが部門営業利益は14億3300万円と、自社開発ならではの高い利益率を誇る。

 製造業にフォーカスし、生産・販売・在庫管理や原価管理などの機能を中心に、国内外の拠点情報を一元で管理するなど業界の「かゆいところに手が届く」機能を強化している。

「自動車に例えるならSAPは最高級車のようなもの。購入するすべての人が高級車を望むわけではないというイメージ。我々の顧客は管理レベルが高いとされる製造業が中心で、特に中堅製造業向けに見合うものがなかった中で、開発したのが『mcframe』です」(羽田雅一社長)

「日本の製造業は現場の特徴にあったシステムのためにスクラッチ開発で使い続ける企業が多い。そういったことから、サプライチェーンのIT化はまだ遅れている。大手以外の国内製造業で販売生産管理パッケージを使っている割合は4割ほどしかない。我々はそのニーズにうまく入り込んでいます」(同氏)

 IT化の流れが進むといった市場環境も同社の追い風となり、21年3月期業績は売上高が178億5500万円、営業利益が20億3200万円で過去最高業績を更新。22年3月期業績は営業利益24億円を予想。SI企業として優秀と言われる営業利益7%を超えて、同10%強を維持したまま、過去最高益を6期連続の更新見込み。配当も7期連続増配の年間84円を予定。製造業に特化したSIで大きな成長を続ける同社は現在に至るまで独自の進化を遂げている。


プラント大手の一部門が起源

製品を磨き続け独自の地位確立


 同社は、石油化学プラント大手である東洋エンジニアリングが、1987年に新設した産業システム事業本部からスタート。企業向けシステム開発の生産性向上のため、ゼロから作るスクラッチ開発という手法を見直し、基礎となるデータベースや共通機能を実現するプログラムは部品化して再利用する、フレームワーク構造というコンセプトを打ち出した中で生まれた。ソリューション事業の素地は91年。ERP最大手の一つ、独SAP社と日本初のパートナー契約を結んだことがきっかけとなった。SIerとして製造業向けに導入支援を行う一方、製造業界では各現場の特性に合わせたシステムの方が競争力の増大につながるとしてSAPを導入しない企業も多くある。そのニーズを満たすべく、開発したのが「mcframe」。部門としてスタートしてからおよそ10年に及ぶスクラッチ開発の知見と、SAPパートナーとしての実績により開発された同製品も含め、日本の製造業において、より緻密さが必要な生産・販売管理に特化し、約30年間システムを提供している。

 製造業に特化したERPという強みは、自社開発の「mcframe」を提供し続けた結果、生まれた。開発当初、ほかの大手SI企業でも、製造業向けERPを扱っていたが、大手企業では取引先の数の多さもあり、金融向けなど、より汎用性を重視したものにシフトしていった。一方で、同社は、製造業向けから移行することはしなかった。

「ITソリューションとして金融は大きな一分野ではあるが、どこで強みが生きるかを考えた時、製造業特化が得策だと判断しました」(同氏)

 しかし、得意分野に特化しただけで製品への関心が上がるわけではない。シェアを広げるうえで重要だったのは、直接、ユーザから意見をもらえるコミュニティの存在だ。

「2005年頃、『mcframe』のユーザ同士で意見交換の場が欲しいということから有志で始まった『mcframeユーザ会(MCUG)』というのがあります。50社未満から始まり、現在230社(22年3月)の会員企業が意見交換を行っている。各社が機能を使いこなせているかや、こういう機能を入れてくれといったことを要望する場です。半ば強引ではありましたが、ユーザの生の声ですので貴重な意見として反映していました。要望を聞き、パッケージを磨き上げるサイクル、いわゆるカスタマーサクセスを15年ほど前からし続けたことが今の源泉となっています」(同氏)

 幾度となく製品をアップデートし続けることで、他のSI企業から製造業向けなら同社の製品だと認知されるようになり、現在は「mcframe」のライセンス売上のみで30億円を計上できるまでに成長した。


シェア拡大を軸に業績伸ばす

安定配志向で6期連続増益増配中


 同社は21年8月に新たな中期経営計画「経営Vision 2026」を策定。27年3月期の達成目標として売上高220億円、営業利益32億円、純利益21億円を掲げる。

 事業のシェア拡大を基本線にSaaS型の製品への移行も見据え、現状2割ほどの「mcframe」の海外比率をさらに上げる。また、ERP導入で蓄積されたデータの活用にも目を向ける方針だ。今後も製造業特化の方針は変えず、さらなる進化を続けていく。

 配当は安定配を志向しており、上場来、減配していない。配当性向は原則30%から変更しないと羽田社長は言う。その言葉通り6期連続の増益で目下、6期連続増配中だ。

「日本の製造業が世界で戦ううえで、デジタル化は必須であり、そのお手伝いを続けるという軸はブレずにやっていきたい。手を広げず続けたことが今の循環に繋がっているので成長性と安定性には自信を持っています」(同氏)


▲ERPは企業の基幹業務を統合するシステム


2021年3月期 連結業績

売上高

178億5500万円

前期比 0.7%増

営業利益

20億3200万円

同 29.2%増

経常利益

20億2500万円

同 28.3%増

当期純利益

13億7800万円

同 61.6%増


2022年3月期 業績予想

売上高

175億円

前期比 1.2%減

営業利益

24億円

同 26.1%増

経常利益

24億円

同 26.6%増

当期純利益

16億3000万円

同 26.5%増


※株主手帳6月号発売日時点