• 株主手帳編集部

ピアラ【7044・東1】美容&健康に特化したECマーケティング支援 CM、オフライン広告も可視化する通販DX始動


 ピアラは、ヘルスケア&ビューティー及び食品領域に特化し、EC事業者向けマーケティング支援事業を展開。2016年から始めた成果報酬型のKPI保証サービスで急成長し、20年東証1部に上場を果たした。昨今ヘルスケア&ビューティー市場は景品表示法、薬機法の規制が厳しくなり、「大ヒット商品が生まれにくくなっている」と飛鳥貴雄社長は話す。そのような状況を受け、次の新戦略として通販DXサービスの提供を開始した。




飛鳥 貴雄社長

Profile◉あすか・たかお

1975年5月愛知県生まれ。99年早稲田大学法学部卒業後、トリンプ・インターナショナル・ジャパンに入社。営業を経て、最年少で通販カタログ室長と直営店事業部企画室長になり、通販事業の立ち上げなどを行う。2004年有限会社ピアラ(現当社)設立、代表取締役社長就任(現任)。15年の債務超過を機にKPI保証サービスを開始。18年に東証マザーズ上場。




成果報酬型のマーケ支援

800社以上の実績をAI学習


 ヘルスケア&ビューティー市場では、「シミを消したい」「シワをなくしたい」「痩せたい」などの消費者の悩みが購買行動に大きく影響する。同社では、こうした「悩み」に着目したマーケティング支援で企業のヒット商品を生みだしている。

 同社の事業は、「EC支援事業」の単一セグメント。主力のサービスは、独自のAI予測モデル「RESULTシリーズ」を利用したKPI保証サービスだ。KPI保証とは、クライアントの課題や予算に応じて新規顧客単価を設定し、新規顧客が商品を購入した場合に料金が発生する成果報酬型のサービスとなる。

 従来のマーケティング支援は、予め広告予算を決め運用を行うため、成果が出ない場合にも手数料を負担しなければならなかったが、KPI保証では成果に応じた料金が保証されているため企業は導入がしやすいというメリットがある。

 このKPI保証のビジネスモデルを実現するために、同社では、800社以上の実績で蓄積した商品の価格、特性、販売実績などのデータをAIで学習。そこに「シミ」などの悩みをタグ付けし情報を収集・分析する。そして、過去の成功パターンから、ヤフー、フェイスブック、ラインなどから最適な広告媒体と手法を選び予算配分を決定することで、確度の高いマーケティング予測を可能にしている。

「ビューティー&ヘルスケアは、アパレルのようにトレンドがなく、同じ商品が安定的に売れ続けるので、過去のデータの再現性が非常に高いです。お客様は自分に合うものを選ばれているので、僕らはそこをマッチングさせます」(飛鳥貴雄社長)


第1四半期は減収減益

景表法、薬機法の規制が厳重化


 同社の2020年12月期の業績は、売上高145億8500万円、営業利益5億300万円と、過去最高を連続更新している。16年にスタートしたKPI保証サービスが成長を牽引してきた。

 しかし21年12月期第1四半期を見ると、売上高が前年同期比11・1%減の32億円、営業利益が同68・1%減の2200万円にとどまっている。IPO後「初めて伸び悩んでいる」と飛鳥社長は話す。

 減収減益の理由のひとつに、ヘルスケア&ビューティー市場で、景品表示法、薬機法の規制が厳しくなっていることが背景にある。健康食品、化粧品などの広告は、効果効能を明確に表現することが難しく、「3日で10㎏痩せる」などの誇大広告やブラック広告が少なくない。消費者のクレームが増加、規制は年々厳しくなっており、広告の表現の幅が狭まっている。それにより業務停止命令を受ける事例も増えている。昨年度は、同社の主要な取引先の1社が業務停止となり、売上に大きく影響が及んだ。

「昔はヒットすると売上が大きく伸びましたが、今は景表法、薬機法の問題でこれまでヒットしていた商品が崩れ、大ヒット商品も生まれにくくなっています」(同氏)

 またフェイスブックやiOSなどの広告媒体の仕様変更や、コロナの影響でジムやエステの広告が減少したこともマイナス要因となった。


全ての広告効果を可視化

通販DXサービスを開始


 そうした状況を受け、同社が今後の戦略として打ち出したのが通販DXサービスだ。これまではウェブ中心のマーケティング支援を行っていたが、今後は、ブランディング広告、テレビCM、オフライン広告、インフルエンサーなど、これまでデータ化されていなかった情報もAIで一元管理する。広告全体のデータを可視化しマーケティング効率を上げていく戦略だ。

「今までは、ブランディングしても売れたかどうかの分析を通販会社はあまりやらなかった。それを我々は位置情報やQRコードなどを利用して独自ツールで分析ができます」(同氏)

 またヘルスケア&ビューティー及び食品領域に特化した運用型CMサービスも開始している。CMを放送した際の効果を分析し、出稿プランから制作まで一気通貫でサポート。すでに実施したCMでもウェブ注文が6倍増加したなどの効果が出ている。

「我々はECに特化して月間200万回のPDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを行う体制があるため、あらゆるマーケティングを最適化できます。ウェブだけでなくオフライン、CM、インフルエンサーと1社でやり尽くしている会社はあまりないと思いますね」(同氏)


ECをエンタメ事業に横展開

高粗利率のビジネスモデルへ


 現在は、粗利率の高いビジネスモデルへ業態変更するため、新規事業を増やしている。現在着手している中で、高粗利率の事業は、お客様育成、グローバル、エンタメDXの3つ。すでに事業化しているエンタメDXでは、通販のビジネスモデルを横展開し、ファンクラブの会員向け有料サービスなどでマネタイズをしていく。

「今11組のアーティストを手がけていて、流通総額は年間20億円程になっています。これから粗利ベースで規模を拡大していきたい」(同氏)

 中長期的には、売上1000億円、営業利益100億円、年収1000万円企業を目指す。また営業利益率10%が目標だ。