ファストフィットネスジャパン【7092・プライム】24時間型ジムを47都道府県に約1000店舗展開 24年3月期には売上高180億、営業利益40億円目指す



 ファストフィットネスジャパンは「ヘルシアプレイスをすべての人々へ」の企業理念のもと、マシントレーニングに特化した24時間型スポーツジム「エニタイムフィットネス」(以下:エニタイム)を日本でフランチャイズ(FC)チェーン展開する企業だ。エニタイムはいつでも手軽にトレーニングできる利便性から20代~40代男性を中心に人気となり、22年3月末には1000店舗を超える見込み。22年3月期の連結売上高は130億円(前期比16・4%増)を予想し、将来的には国内3000店舗の出店を目指している。


 

土屋 敦之社長

Profile◉つちや・あつゆき

1967年生まれ、長野県出身。91年野村不動産入社。2010年ファストフィットネスジャパン取締役、AFJ Project取締役。12年ファストフィットネスジャパン代表取締役副社長、AFJ Project代表取締役副社長。17年ファストフィットネスジャパン代表取締役社長 営業本部長、AFJ Project代表取締役社長 営業本部長。18年ファストフィットネスジャパン代表取締役社長(現任)、AFJ Project代表取締役社長(現任)。

 

現役世代が気軽にトレーニング

世界中の店舗を相互利用可能


 同社は、米国に本社を持つ24時間マシンジム特化型FCクラブチェーン「エニタイムフィットネス(以下:エニタイム)」の日本におけるマスターフランチャイジーを務める企業。日本で初めて24時間フィットネスFCを展開し、シェアは約40%と首位だ。エニタイムは世界中に約5000店舗を展開するが、同社は現在約1000店舗を全国展開中。北米以外の国で展開するエニタイムの中ではナンバーワンの店舗数だ。

 エニタイムは総合型フィットネスクラブのようにプールやスタジオなどを持たず、トレーニングマシンだけを備えたスポーツジムで、24時間年中無休で営業しているのが特徴。会員は入館ゲートに小型の専用キーをかざすだけでいつでも入退場でき、入会手続きをした店舗以外も世界中で相互利用が可能だ。月会費は約6500円~約1万円、中心価格帯は7500円(税込)と総合型スポーツクラブに比べてリーズナブル。スタジオなどがなくマシントレーニングだけなので「三密」も回避しやすい上、衛生管理も徹底している。コロナの影響により平均会員数はコロナ前から15%~20%減少しているが、回復傾向だ。全国の会員数は21年12月末で62・2万人となっており、うち20代~40代の現役世代が9割を占め、さらにその中の8割弱が男性となっている。

 12年3月に5店舗だったエニタイムは、この10年間で店舗数を大きく拡大。現在は47都道府県全てに店舗があり、22年3月末までには合計1000店舗を超える見込みだ。20年12月にはマザーズに新規上場、21年12月には東証一部へ市場変更を果たした。



▲24時間営業フィットネスを国内約1000店舗展開



▲プール、スタジオなどを設けずトレーニングマシンに特化


総合型に比べ格安な出店費用

損益分岐点の低さが加盟店呼ぶ


 エニタイムが急成長してきた理由は、そのビジネスモデルにある。エニタイムの営業形態は、会員だけでなくFC加盟店にとっても大きなメリットがあり、それが店舗数をここまで増やしてきた原動力となっている。

 まず、店舗の平均面積は80~120坪とコンパクト。専用の大きなビルを新築しなくとも、既存のビルのフロアを賃貸することで開業できる。首都圏ではオフィスビルや飲食店ビルに入居して営業する店舗が多く、地方ではコンビニの上階や商業施設内、ロードサイドへの新規出店が多いため物件費を抑えることができ、参入しやすい。また、トレーニングマシンだけに特化した形態で、プールなどの設備がないので、設備費や維持費が抑えられ、水回り専任スタッフも不要となる。

 総合型スポーツクラブを出店するには初期投資が10億円~15億円必要といわれるが、エニタイムの新店舗の場合、初期費用は1店舗につき、FC加盟金や物件取得費も含めて約8000万円~1億円でオープンが可能だ。

 ランニングコストを低く保ったまま運営が可能なことも大きな利点となっている。スタッフは1店舗につき約3名程度と少ないうえに、24時間のうち標準的な店舗で午前10時~午後7時以外(午前11時~午後8時等、店舗によって多少異なる)はスタッフなしの無人営業となっている。セキュリティ管理が厳しく、24時間を通じて専用キーを使用する会員以外の入館はできない上、店内には20台前後の防犯カメラが設置されており、緊急呼び出しボタンを押せば、連携している大手警備会社の警備員がすぐに駆けつけることになっている。

「プール設備を持つ総合型スポーツクラブの損益分岐点は月間会員数5000人と言われていますが、エニタイムの損益分岐点は月間会員数500人。現在、1店舗平均の会員数は約650人。営業利益率の高さが、当社がFC展開のスピードを上げられた非常に大きな理由です」(土屋敦之社長)

 コロナ禍でも20年9月に開店したエニタイム酒田店(山形県)が、人口10万人の市にも関わらず開業時に会員が1000人以上集まったことで注目された。

「総合型スポーツクラブは、その損益分岐点の高さから、政令都市などある程度マーケットが大きくないと出店できない。だから地方都市だと、そのエリアに初めてできるスポーツクラブがエニタイムということも多いのです。この町でもやっとジムに通える、ということでたくさんの方に入会いただけていると思う。現在、エニタイムの店舗のうち、約2割が人口10万人以下の市町村に立地しています。地方に展開できたことでブランド自体が強くなり、成長の原動力になっている面も大きいです」(同氏)


■オーナーにとっても魅力的な事業モデル



FCと直営の2つのエンジン

メガFCが15%を占める


 同社はFCと直営の2つの形態で事業を展開しており、21年12月末の店舗数はFCが813店舗、直営店が162店舗となっている。21年3月期は、FC売上が45億4500万円、直営店舗売上が59億1500万円となった。

 FCには全国約150社の企業が加盟し、店舗展開を行っている。FC加盟金は360万円で、ロイヤリティは1店舗につき、会員数や収益に関係なく月額9万円の固定制。FCに加盟しているオーナーは飲食業、不動産業、携帯キャリアの販売代理店をしている企業、電鉄会社の子会社など多岐にわたっている。加盟企業のうち約15%は、1社で10店舗以上を展開しているメガフランチャイジーだ。 

「FC加盟オーナー各社の出店意欲は旺盛です。コロナ前は新規加盟を一時ストップするほどでした。その頃は年間5~10店舗を出店するFCオーナーが20社ほどいました。コロナになってからも、FC加盟自体を辞めて事業撤退している企業は1社もありません」(同氏) 

 直営では、同社の100%子会社であるAFJ Projectが店舗を運営している。他国のマスターフランチャイジーでは直営体制を取るところが少ないため、同社はアメリカ本社からの要請に基づき、直営店全体を統括するメガFCとしての別会社を作って運営している。

「現在、売上で見るとFC4割、直営6割となっていますが、利益でみると直営よりFCのほうが多くなり、逆転している状況です。しかしながら当社としてはなるべく直営店を増やしていきたい。直営店舗売上とFC売上、2つのエンジンを持っているのが当社の大きな特徴でもあります。だから赤字にならない程度に、直営店の出店を続けていきたい」(同氏)


■収支モデル


装置産業からサービス業へ

2店目から成功の手応え掴む


 社長の土屋氏は、かつて総合型フィットネスクラブを運営する企業で執行役員を務めていた。ちょうど団塊の世代がリタイアする時期に当たり、総合型フィットネスクラブのサービスが中高年にシフトしたことで、現役世代の会員が取れなくなることを懸念していたという。

「当時他の業界を見ていると、百貨店のようになんでもある店の売上は伸びなくなり、代わりに帽子やワイシャツ、靴下など専門店が残っていくという変動が起こっていた。フィットネス業界にもそういったことが起こると思っていました」(同氏)

 その頃は、エニタイムのアメリカ本社がFC事業をグローバル展開し始めた時期だった。本社はFCが盛んな日本をアジア地域の最初のターゲットと考え、マスターフランチャイジーになる企業に交渉を始めていた。土屋氏はその段階で運営に参加し、10年10月にエニタイム1号店を東京都調布市にオープンした。

「総合型フィットネスクラブは元々、建物や設備、マシンなどの施設に投資して人を集めるという“装置産業”として始まっていた。でも僕たちは1号店を作る時から、エニタイムをサービス業としてやっていくのが重要だと思い、夜間の人のいない中でもどうやってサービスを展開するかを考えていました」(同氏)

 24時間マシンジム特化型という、日本になかった業態が成功するかどうか疑問視する声も多かったが、土屋氏は2号店の赤坂アークヒルズ店開店の成功で、すでに手応えをつかんでいたという。赤坂アークヒルズ店は調布店に比べ家賃が約2・5倍だったことから、月会費を引き上げて、調布店5500円のところ8500円とした。しかしその値段にもかかわらず、オープン前にすでにWEB入会者が200人を超え、会員500人への到達も調布店より早かったという。

「その時はすでに全国展開を視野に入れていた。赤坂アークヒルズ店の成功で、場所によって会費を変えられることや、オープン前の販促方法がある程度見えてきたので、これでいけると手応えを感じました。その後、少しずつFCを募集して、5年かけて100店舗まで地道に伸ばしていった」(同氏)

 15年に100店舗に到達した後は、19年に500店舗、21年に900店舗と急速に業容を拡大している。エニタイムの出店方法は、集客が好調な店舗の近くに別の店舗を出すドミナントが基本。店舗運営が効率化できるとともに、会員も複数店舗を利用でき利便性がアップする。また24時間ジム空白地帯においては、高集客を見込める立地に優先して出店していく。全国約1900市町村の中に、24時間ジム未出店エリアは約1200あると同社は考えており、その中から高集客エリアを厳選し出店を行っていく。

「15年頃から当社を模倣した24時間型ジムがいくつか出てきましたが、新店舗を開店し続けている当社に対し、他社はいずれもコロナで大きなブレーキがかかっている。これが装置産業とサービス業との違いだと思っています。その違いがわかっていただけるよう、これからも説明を続けていきたい」(同氏)


■沿革と店舗数の推移


22年3月期は出店数を下方修正

日本のフィットネス参加率を10%に


 22年2月に発表された22年3月期第3四半期の連結業績は、売上高96億1400万円(前年同期比20・4%増)、営業利益23億1100万円(同52・0%増)の増収増益となった。直営でもFCでも、店舗数の増加及び会員数の回復が収益を押し上げた。

 同社は今期180店の新店舗をオープンする目標だったが、着地は約100店舗となる見込みだ。直営店は当初の計画は20店舗を見込んでいたが、損益への影響も勘案して15店舗を出店。しかしFCの出店は、コロナの影響の長期化を受けたことと、それに伴う半導体不足による工期のずれなどが障害となった。

 しかし今期の100店舗の中では、次へつながる取り組みも始まっている。21年11月には埼玉県浦和市のビジネスホテル内に新店舗を出店。これはエニタイムとしては初のビジネスホテル内への出店となった。

 また12月には山口県周南市の総合病院の敷地内に新店舗をオープン、健康診断結果に改善を必要とする人を会員とし、トレーニングメニューの作成などをサポートする。いずれもホテル、病院の利用者だけではなく近隣住民も幅広く利用できる店舗だ。

 2021年5月に公表した24年までの中期計画の目標は、売上高180億円、営業利益40億円を目指す。新規出店を成長ドライバーとして今後も多店舗の出店を継続し、店舗品質の強化と店舗運営効率化の両立による筋肉質な店舗づくりを目指すとしている。また、会員やFC店舗を対象とした新たなサービスも検討中だという。

「20年の上場の時は、エニタイムの店舗を作っていくことが中心だった。しかし、今後は会員やFC網、店舗網を作ってプラスアルファの事業をしていくのが当然の流れになる。海外のマスターフランチャイジーでは他のビジネスを進めているところもあるので、我々もなにかできないかと研究を進めています」(同氏)

 長期的目標として目指すのは、現在約4%とされる日本人のフィットネス参加率を10%に向けて同社が牽引すること、その通過点としての国内3000店舗の出店だ。

「アメリカでは、フィットネス参加率が人口の約20%と高い。日本は健康保険制度などで手厚く守られているが、海外では健康に関してもセルフマネジメントが必要です。日本もこれまでのようにはいかなくなるでしょうし、コロナを経て免疫力を高めるために運動した方がいいという考え方も出てきている。ですから、これからも日本での成長余力は十分にあると思います」(同氏)




▲山口県周南市・徳山病院敷地の店舗(写真上)と、埼玉県・浦和ワシントンホテル内に設置の店舗(写真下)


 


2021年3月期 連結業績

売上高

111億6300万円

前期比 1.5%減

営業利益

22億9300万円

同 19.0%減

経常利益

22億5500万円

同 20.3%減

当期純利益

9億2000万円

同 43.4%減


2022年3月期 連結業績予想

売上高

130億円

前期比 16.4%増

営業利益

26億円

同 13.3%増

経常利益

25億円

同 10.8%増

当期純利益

11億円

同 19.5%増

※株主手帳5月号発売日時点