ファブリカコミュニケーションズ【4193・JQ】中古車販売支援サービスシェア1割の大手法人向けSMSとの両輪で業績二桁増続く

 2021年4月上場のファブリカコミュニケーションズは、「車」を軸にインターネットサービスの開発を進めてきた企業だ。祖業は車の板金塗装だが、そこから得たノウハウを基に様々な中古車向けシステムなどを開発。主力の中古車販売業務支援クラウドサービス「symphony」は、国内シェア約1割を握る。また子会社では全業界向けにSMSサービスを提供するなど、柔軟なシステム開発に定評がある。


 

谷口政人社長

Profile◉たにぐち・まさひと

1969年11月生まれ。92年、個人事業ガレージバツ創業(共同経営)。94年、中部車検センター(同社)設立、代表取締役社長就任(現任)。2018年、メディア4u代表取締役副社長就任(現任)。


 

独自のSaaSモデルで

中古車販売業務を支援


 ファブリカコミュニケーションズの2021年3月期の売上高は48億2600万円(前期比23・7%増)、営業利益は6億5900万円(同90%増)。売上高、営業利益、純利益で過去最高を更新した。セグメントは、①SMSソリューショングループ、②U─CARソリューショングループ、③インターネットサービスグループ、④オートサービスグループの4つだ。売上の半分を占める②~④は、いずれも中古車にまつわる事業となっている。

 同社の創業は1992年。祖業の自動車板金塗装業を軸に、数年のうちに車検整備や中古車販売などへと業容を拡大した。一方で、需給バランスの不均衡や不透明な価格といった板金塗装業界ならではの課題も実感。それらを「インターネットで解決できないか」と考えた谷口政人社長は、2002年に板金塗装のオークションシステムを立ち上げる。その後04年には、現在の主力サービスである中古車販売業務支援クラウドサービス「symphony(シンフォニー)」の前身となるシステムをリリースした。


車両情報の自動取得で時短に

各情報サイトへの掲載も一元化


「symphony」は、自社開発した中古車販売管理システムと、広告出稿プラットフォームを融合させた、自動車アフターマーケットの総合プラットフォームだ。

「『symphony』の中で一番中核となるのは販売管理システムですね。それから仕入れ、在庫管理、顧客管理、広告出稿システムなどをワンストップで提供しています。今は国内シェアの約1割にあたる3000社程が導入していて、月額利用料は平均で3万円程です」(谷口政人社長)

「symphony」の特長は主に2点ある。1点目は、車両情報の入力時間を短縮できる点だ。仕入れた中古車の在庫情報登録ではメーカー名や車名のほか、グレード、年式、車検満了日など、150項目以上に及ぶデータの入力が必要だ。そこで、車のナンバーか車台番号の入力のみで車両情報を自動取得できる仕組みを確立、1台あたりの入力時間を30秒程にし、作業時間を95%短縮したという。

 もう1点は、一度の車両登録で複数の中古車情報サイトにワンクリックで広告掲載可能な点だ。販売価格の変更や広告画像の差し替え、販売後の広告掲載の取り下げなども、連動して行うことができる。

 セグメントでみると、「symphony」は②のU―CARソリューショングループに入る。利用者が増えれば収入が積み上がるサブスク型のため、利益率が高いのが特徴。21年3月期のセグメント利益率は27・7%と、高水準を維持している。

 一方で③インターネットサービスグループでは、他セグメントへのウェブ集客支援や自動車ウェブマガジン「CarMe(カーミー)」の運営など、様々な自社メディアやサービスを展開する他、新規事業の開発も行う。そして、④オートサービスグループでは、損害保険会社や保険代理店向けに事故で損害を受けた自動車に対するサービスや、指定工場での自動車整備事業などを手掛ける。

「④の工場は、『symphony』を活用するユーザー目線で実際のエンドユーザーと触れ合えるいわば実験場です。ここで得た気付きを『symphony』に落とし込み、常に使い勝手を高めています」(同氏)


コロナ禍でも影響の少ない

法人向けSMS事業が伸長


 ここまで中古車関連事業を見てきたが、同社の売上の過半を占める主力セグメントは別にある。①の、SMSソリューショングループだ。同事業では、企業のシステムやPCから顧客にSMS(ショートメッセージサービス)を送るためのプラットフォームを提供する。SMSの主な活用事例としては、アプリ利用中の本人認証や、顧客への連絡、督促などがある。

 同事業を担うのは、子会社のメディア4u社だ。元々谷口社長が05年に設立したが、一旦グループを離れ、ファブリカ社に資金力がついてきた18年に傘下に戻った。

「メディア4u社は法人向けの動画配信サービス会社として立ち上げ、色々な会社さんに使っていただきました。しかし、06年にYouTubeが出てきたことと、リーマンショックがとどめとなり、リストラクチャーをしました。一旦は離れたような形になりましたが、(大きくなって戻ったため)メディア4u社は今思うと本当に親孝行ですね(笑)」(同氏)

 今後は、①と②の両セグメントで業績を伸ばす計画だ。施策のひとつである営業拠点の拡大については、この10月にU─CARソリューション事業の営業拠点として広島支店を開設。22年1月には静岡・熊本支店も加え、今期中に12拠点体制へ移行する予定だ。

「コロナもそうですし、法律が変わる時、仕組みが変わっていく、世の中が大きく変わっていく時は、チャンスと考えています。(中古車販売業務支援ソフトは)パッケージソフトや汎用的なソフトを使っていたり、税理士に任せてしまっていたりと、地方に行けば行くほどほとんど導入されていないという現実があります。そういったところのIT化、DX化を推進していきたいと思います」(同氏)



▲簡単に在庫管理や広告掲載ができる「symphony」


2021年3月期 連結業績

売上高

48億2600万円

前期比 23.7%増

営業利益

6億5900万円

同 90.0%増

経常利益

6億5800万円

同 93.0%増

当期純利益

4億5500万円

同 302.7%増


2022年3月期 連結業績予想

売上高

56億7000万円

営業利益

8億5000万円

経常利益

8億6300万円

当期純利益

5億7300万円

※株主手帳12月号発売日時点