ファーマライズホールディングス【2796・プライム】調剤薬局やドラッグストアなど350店舗展開 地域医療を強化し25年5月期営業利益25億円へ


 ファーマライズホールディングスは、調剤薬局を中心に約350店舗を展開している。同社は医薬分業の波に乗って店舗数を拡大。近年はドラッグストアなど非調剤店舗の運営も手掛けている。2023年5月期から始まる新中期経営計画では、高齢者をターゲットとした地域医療への貢献強化などに取り組み、最終年度の25年5月期に売上高584億円、営業利益25億円を目指す。

 

秋山昌之社長

プロフィール◉あきやま・まさゆき

1967年2月16日生まれ、静岡県出身。北陸大薬学部卒。95年協和静岡(現ファーマライズホールディングス)入社。97年取締役に就任。2010年専務取締役に就任。18年代表取締役社長(COO)に就任(現任)。







 

主力の調剤薬局事業は

売上比率約8割占める


 ファーマライズホールディングスは、1984年に創業した東京物産を前身とし、87年に東京湯島にて調剤薬局の営業を開始した。自社出店で店舗数を増やすとともに、地域に根差した中堅の調剤薬局を積極的にM&Aし、全国に店舗網を拡大した。

 2021年5月期の連結業績は、売上高523億2400万円、営業利益12億4600万円。

 同社のセグメントは大きく4つあり、主力は売上約8割を占める調剤薬局事業だ。医療機関が発行する処方せんに基づき、患者に医薬品の調剤を行う調剤薬局を全国に約350店舗展開している。

 2つめの物販事業は売上比率約2割を占める。ドラッグストア「薬のヒグチ」を28店舗、コンビニエンスストアのファミリーマートを併設したドラッグストア19店舗などを運営している(21年5月末現在)。

 また、紙カルテなどを保管・管理する医学資料保管・管理事業、北海道札幌の医療モールを運営する医療モール経営事業を展開。構成比率はそれぞれ約1%だが、利益率が10%超と高く、堅調に推移している。


M&Aで大切なのは

事業の方向性の一致


 平成初期に医薬分業体制が始まって以来、調剤薬局の件数は右肩上がりで増加している。現在、国内には約6万件の薬局があり、飽和状態の場所が多い。一方、薬局を会社規模で見ると、大部分が小規模事業者であるため、大手企業は既存の調剤薬局をM&Aすることでシェア拡大を図っている。

 秋山社長によると、同社は調剤薬局のM&Aでは売り手側のオーナーとよく話をし、薬局を作っていく方向性が一致していることを最も大切にしているという。

「当社は地域医療への貢献を目標としており、事業の方向性として『在宅医療』に賛同してくださる会社にグループ入りしていただくと、その後が順調に行くので方向性の一致を大切にしています。今、国も地域医療を推進しており、当社グループの強みになっています」(秋山昌之社長)


在宅医療と施設調剤に注力

コロナ禍でも売上に貢献


 前中期経営計画では、最終年度の22年5月期の目標値として掲げた営業利益15億円を達成する見通しとなった。

 同中計の施策のうち、最も利益貢献したのがグループ会社の統合だ。M&Aにより10社に増えた事業会社を、ファーマライズ社の1社に統合し効率化を図った。元々、事業の方向性が同じであったため、半年という短期間でスムーズに統合することができたという。

 主力の調剤薬局事業においては地域医療に注力。薬剤師が処方薬を患者の自宅に届ける「在宅医療」、地域の高齢者施設で調剤業務を行う「施設調剤」に注力した結果、コロナ禍においても売上を伸ばした。

「コロナ禍で医療機関の受診が控えられ、全体の処方せん発行枚数が大きく減りましたが、地域医療の処方せん枚数は右肩上がりに増えており、コロナの影響をほとんど受けなかったことが分かりました」(同氏)

 また、地域で薬や健康などの相談に応じる「かかりつけ薬局・薬剤師」を推進。これまでにかかりつけ薬剤師同意書を約10万枚受け入れている。


生活習慣病を予防する

「継続支援プログラム」強化


 同社は23年5月期から新中期経営計画に取り組んでいる。日本の人口の3分の1が65歳以上の高齢者になる2030年に向け、持続的な成長基盤を築くための施策に注力。最終年度の25年5月期における売上高584億円、営業利益25億円を目指す。

 主な施策は、前中計を引き継ぎ、調剤薬局事業を核とした事業展開による収益獲得を図る。その1つとして、生活習慣病の予防を継続的に支援する「継続支援プログラム」を強化する。

「地域の方々に薬局に来ていただいて生活習慣改善に一緒に取り組むという当社独自のプログラムです。現在、女性に多い骨粗しょう症をテーマに、6カ月1サイクルで骨密度測定と薬剤師との面談をセットで行っています。今後、糖尿病など他の疾患にも広げていきたいと考えています」(同氏)

 また、新規出店による収益獲得を強化。新規開業医の近くへの出店などにより毎年10店舗の純増やM&Aを計画している。

 2つめの施策として経営基盤のさらなる強化を図る。新たに傘下入りした3つの事業会社の統合を検討。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)を強化し、自社開発の電子版お薬手帳「ポケットファーマシー」、オンライン服薬指導を受けられるアプリ「ポケットミーティング」による新たな顧客体験を提供していく。

「近年は売上高を維持しながら、経営の効率化などにより営業利益は右肩上がりで増加しています。新中計ではこれまでの取り組みを一層強化して収益改善を図ります。当社は他の調剤薬局大手とは一線を画し、以前から地域医療に注力してきました。今後も地域の健康をサポートし、選ばれる『かかりつけ薬局』を目指していきたいと考えています」(同氏)



▲調剤薬局事業では地域医療に注力



▲ドラッグストア「薬のヒグチ」を展開



▲ファミリーマート併設店舗を運営


 

2021年5月期 連結業績

売上高

523億2400万円

前期比 2.5%増

営業利益

12億4600万円

同 20.4%増

経常利益

12億8800万円

同 25.9%増

当期純利益

4億2600万円

同 26.2%減


2022年5月期 連結業績予想

売上高

532億3800万円

前期比 1.7%増

営業利益

15億300万円

同 20.7%増

経常利益

14億4400万円

同 12.1%増

当期純利益

4億3800万円

同 2.8%増

※株主手帳7月号発売日時点