フルサト・マルカホールディングス【7128・プライム】機械商社のフルサト工業とマルカが経営 統合シナジー効果で26年12月期売上高2000億円へ


 フルサト・マルカホールディングスは、建設資材製造・販売を主力とし、機械・工具商社のジーネットなどの子会社を持つフルサト工業と、機械・工具商社のマルカが経営統合して2021年に設立された。両社は同じ機械・工具業界にあり、それぞれ成長による生き残りを模索。合併ではなく、共同持株会社設立による経営統合により事業基盤の拡大を図った。新中期経営計画では統合シナジー極大化などの施策を推進し、26年12月期の売上高2000億円、営業利益100億円を目指す。


 

古里龍平社長

PROFILE◉ふるさと・りょうへい

1962年9月15日生まれ、大阪府出身。85年フルサト工業入社。取締役、常務取締役、専務取締役を経て2004年代表取締役社長に就任(現任)、ジーネット代表取締役社長に就任(現任)。07年岐阜商事代表取締役会長に就任。21年セキュリティデザイン代表取締役社長に就任(現任)、フルサト・マルカホールディングス代表取締役社長に就任(現任)。





 

建設資材、セキュリティ他

4つのセグメントで構成


 フルサト・マルカホールディングスの事業は、機械・工具、建設資材、建設機械、セキュリティの4つのセグメントで構成されている。同社として初の通年決算となる2022年12月期の連結業績は、売上高1570億円、営業利益41億円を見込んでいる。

 第1の機械工具セグメントは、売上比率約7割を占める主力事業だ。マルカの産業機械事業、フルサト工業の子会社ジーネットの機械工具事業、岐阜商事の自動車向け工具事業で構成し、国内と海外のモノづくりの市場において、産業機械や機器・工具類を幅広く提供している。

 第2の建設資材セグメントは、鉄骨建築、工場配管、住宅設備機器の市場で必要とされるあらゆる素材を、製造、仕入れ、輸入などにより調達・加工し提供している。自社製品の耐震部材「フルブレース」は全国9カ所の工場で生産され、高いマーケットシェアを誇っている。

 第3の建設機械セグメントは、マルカの建設機械事業であり、建設分野に各種建設機械、荷役機械の販売、レンタル、中古機械の買取販売を展開している。

 第4のセキュリティセグメントは、フルサト工業の子会社セキュリティデザインの事業だ。防犯監視、入退室管理などのシステム導入などセキュリティ環境の構築を実現。モニタリングやネットワーク技術を用いて製造現場における自動生産ラインの構築にも関与している。

「フルサト・マルカグループは、強固な事業基盤、独自の発想、柔軟な思考と姿勢の3つを強みとしています。統合によって取り扱い商材のラインナップが拡充し、多様なユーザーニーズに対応できる事業構造が実現しました。国内外の販売ネットワークも広がり、更なる成長を加速できると考えています」(古里龍平社長)


3月に新中期経営計画発表

クロスセルで販売機会拡大


 同社は新中期経営計画「UNISOL」を22年3月に発表。既存事業の深堀、新規事業領域への展開などを基本戦略とし、26年12月期の連結売上高2000億円、営業利益100億円を計画している。コロナ禍の影響はあるものの、成長軌道への早期回復を目指し、同中計に掲げる戦略を実行することで成長加速を図る。

 重点施策の1つめは「統合シナジーの極大化」だ。顧客基盤のクロスセル活用などを行い、シナジー合計で20億円の営業利益寄与を目指す。

「マルカの海外を含む販売チャネルでジーネットの機工商品の販売を進めます。両社の営業が一緒にお客様を訪問し、機械設備に加えて工具や消耗品をパッケージで提供する仕組みを構築します。機械分野では両社の顧客基盤を相互に活用し、重複していない商材を売るクロスセルにより販売機会の拡大を目指して統合効果を追求していきます」(同氏)

 2つめは「プラットフォーム戦略の深化」だ。同社は「技術力を持つ商社」を目指し、各ビジネス領域において不足しているピース(機能、サービス)を補完することで顧客ニーズ対応力を強化する「プラットフォーム戦略」を展開している。今回の統合によって両社の強みである機械工具事業のプラットフォームが増強された。今後も不足部分を補う方法として、M&Aや業務提携などの手段を積極的に検討していく。


スマートファクトリーに対応

工場のDX化をサポート


 さらに今後、スマートファクトリーへの対応を強化する。HD傘下のセキュリティデザインが持つIoTノウハウを活用し、工場のDX化(デジタルトランスフォーメーション)であるスマートファクトリービジネスを推進していく。

「例えば1つの工場には様々なメーカーの機械があり、それらがIoTでつながっていく時代がやってきます。そうなると機械を単品で販売する商社に顧客は興味を持たなくなるかもしれません。顧客は工場全体のネットワークなどを一緒に考えるパートナーを必要としている。将来的には製造現場のスマートファクトリー化をグループでサポートし、最適な価値をお届けする技術商社としての存在意義を確立させたいと考えています」(同氏)

 一方で、海外ビジネス強化にも取り組む。マルカが持つ北米・アジア23拠点を活用。産業機械と周辺機器・消耗品などをワンストップで提供し、収益拡大と安定化を図る。


傘下の事業会社再編へ

「全体最適」で更なる成長


 古里社長によると、欧米ではデジタル技術を活用した工場のDX化が進んでおり、日本においてもスマートファクトリー化への対応は将来的に大きなビジネスになると見ている。ただ、この分野の知見は一朝一夕には積み上がらないため、同社は投資を行ってリソースを蓄積していく。

 その一つとして、中小ベンチャーに投資している。21年12月にはAIソフトウエア開発会社のアルム(金沢市)と総代理店契約を締結した。今後、アルムが持つ自動化技術・AI開発技術を同社のスマートファクトリー戦略に活用していく。また、社内の人材育成に投資し、現場の社員のITの知見をレベルアップさせていく。

 さらに、今後3~5年の間に、ホールディングス傘下の事業会社を再編し、将来目指すべき姿の実現のための体制整備を行う。

「私達は事業再編を前提に経営統合しました。従ってある一定の期間内にベストな形に再編することを考えています。経営統合を議論し始めてから言い続けているのが『全体最適』という言葉。全体最適とは、自分の出身会社にこだわるのではなく会社全体が同じ方向を向くこと。統合新会社として更なる成長を目指していきたいと考えています」(同氏)

 なお、22年12月期は経営統合記念配当(1株当たり記念配当金50円)を実施する方針であり、連結業績計画を前提とした1株当たり普通配当金は41・5円、記念配当金50円を加えた1株当たり配当金は91・5円(配当性向77・2%)を予想している。

 


持株会社化で互いの強みを融合

持続的成長図る


 今回の経営統合は、フルサト工業、マルカの2社が両社の経営課題を補完し合い、互いの強みを融合することで総合ソリューション力を大幅に強化して持続的成長を図ることを狙いとしている。

 フルサトグループは、フルサト工業、ジーネット、岐阜商事、セキュリティデザインの4社で構成。主力の機械工具関連では国内での販売がメインだが、国内市場の拡大が見込み難い中、より大きな市場規模である海外での販路開拓を課題としていた。

 一方、マルカは60年に及んで海外に強固な基盤を持ち、産業機械の直販や建設機械の販売などに強みを持つが、設備投資関連の大型機械の販売は景気変動に左右されるため、生産稼働に連動する工具や消耗品などの細かいビジネスで売上を安定させることを課題としていた。

「2017年にマルカが本社を移転して両本社が近くなったのを機に、協業の検討から始まり経営統合が最善の結果を生むだろうということになりました。両社とも企業理念の中に〝ユニーク(独特な)〟という言葉が入っていて、会社として大切にしている考え方が似通っていたことも統合を決定づけた要因です。統合後もユニークなソリューションを提案し、お客様に感動を届けていく。その思いを『「その手があったか」を、次々と。』というスローガンで表しました」(古里社長)



 

ECではできない提案型ビジネスを重要視


 製造業向けECサイトが拡大している。多くの物を安価に短納期で購入できることから製造業の現場でも利用が広がっている。この流れに対し、古里社長は、ECを放棄したわけではないが、当面はウェブ上では実現できない「提案型のビジネス」を行う方針であり、電子商取引に大きな経営資源を分配することは今のところ考えていないという。

「ECは利便性が高いのは事実ですが、顧客が必要なものをはっきりと、型番まで含めて分かっていて、その性能を熟知していることが前提。例えばお客様が穴を開けたい、ドリルが欲しいと考えてネット経由で注文すると翌日には届きます。しかし私達が考えるのは、本当にお客様がほしいものはドリルなのか、お客様がほしいのは『穴』であって、穴を開けたいのではないか。穴を開けたいのであれば、プレスであったりレーザーであったりと、いろいろな開け方がありますよと、そういった様々なソリューションを総合的に提案していくのが私達の仕事。日本のモノづくりがより良くなるような提案を行っていきたいと考えています」(古里社長)


 


▲自社製品の耐震部材「フルブレース」



▲生産ラインの自動化を実現する産業用ロボット






▲機械工具セグメントでは産業機械、機器・工具類を幅広く提供


 

2021年12月期 連結業績

売上高

742億9200万円

前期比 ー

営業利益

14億6500万円

同 ー

経常利益

20億3300万円

同 ー

当期純利益

10億3700万円

同 ー


2022年12月期 連結業績予想

売上高

1570億円

前期比 ー

営業利益

41億円

同 ー

経常利益

46億円

同 ー

当期純利益

30億円

同 ー

※21年10月に会社設立、21年12月期は9カ月の変則決算のため、前期比増減は記載なし

※株主手帳6月号発売日時点