• 株主手帳編集部

ベストワンドットコム【6577・マザ】クルーズ専門のオンライン旅行会社国内旅行、電力小売事業を育成し多角化推進

 ベストワンドットコム(6577)は、クルーズ旅行・船旅専門のオンライン旅行会社だ。同社はクルーズ市場の拡大を背景に業績を拡大してきたが、2020年の新型コロナウイルス感染症の影響により前期(20年7月期)は大幅な減収となった。今期の業績は未定だが、日本やアジアでクルーズ再開の動きが出ており早期の業績回復を見込んでいる。また、新たな事業の柱の育成に注力し事業の多角化を図っていく。


澤田 秀太社長

Profile◉さわだ・ひでたか

1981年11月2日生まれ。2005年、日興コーディアル証券株式会社(現SMBC日興証券株式会社)入社。06年、澤田ホールディングス株式会社取締役に就任。12年、ベストワンドットコム代表取締役社長に就任(現任)。20年、エイチ・アイ・エス取締役に就任(現任)。



新型コロナで大幅減少だったが

運航再開した日本船の予約が好調


2019年の日本人クルーズ人口は35.7万人となり、3年連続で30万人を超え、過去最多を更新した。クルーズに特化したサイト「ベストワンクルーズ」を運営するベストワンドットコムは、近年のクルーズ市場の成長を背景に2005年の創業以来、業績を伸ばしてきた。視界は良好だったが、20年に大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセスで新型コロナウイルスの集団感染が発生。世界的なクルーズ運航中止の影響を受け、前期(20年7月期)の業績は売上高前期比48.9%減の11億1100万円、営業損益6000万円となった。

 20年前半には世界中のクルーズ船が運航を見合わせていたが、最近になって明るい兆しが見え始めている。その一つは日本国内発着のクルーズ船の再開だ。20年11月には日本船の飛鳥Ⅱ、にっぽん丸、ぱしふぃっくびいなすが運航を再開。同社も船会社と連携して予約の獲得を行っている。

「当社のクルーズ事業の売上の約5割が、日本国内発着の日本船と外国船クルーズです。コロナの影響でしばらくストップしていましたが、国交省のサポートもあり運航再開の動きが始まっています。当社はこれまでは外国船に力を入れていましたが、飛鳥Ⅱなど日本船の運航再開決定を受けて日本船の集客を強化しました。結果、前年比3倍の予約を獲得しています。今後はこの日本船の予約を3〜5倍に拡大させます。現在のシェアは0.5%ほどなので、これを機に2〜3%に伸ばす計画です」(澤田秀太社長)

 澤田社長は運航再開した飛鳥Ⅱに乗船したという。乗船人数を半分ほどに絞っていること、PCR検査や検温、除菌など安全対策が徹底していることを自ら確認。今後の運航で安全性が示され集客が上向くことを期待しているという。

 また、売上比率約5割を占める海外発着のクルーズは、アジア発着船から運航再開が決まっている。リピーターを中心に需要は旺盛であり、営業に努めて早期の売上回復を予定している。


「ベストワンクルーズ」のサイト

取り扱いコース数は3万以上


 同社のコンセプトは「クルーズをもっと身近にもっと手軽に」。クルーズが初めての若年層をメインターゲットとし、リーズナブルな価格帯から高級船のクルーズまで幅広いメニューをそろえる。メインサイトの「ベストワンクルーズ」は日本最大級のクルーズ予約プラットフォームであり、取り扱いコース数は3万以上を誇る。

 同社の強みは世界の船会社とのシステム連携にある。現在、国内3社を含む世界約70社と取引があり、このうち同社の主力である短い日数のカジュアルクルーズを扱う欧米の船会社

10数社とAPIのシステム連携をしている。それにより、同社のサイトに自動的にコースや空室状況が反映され、世界中のクルーズを予約できるWeb完結型のプラットフォームを構築している。

「クルーズの商品の特性上、普通の旅行とは異なるコンテンツの見せ方が求められます。クルーズとシステム設計の両方に熟知したエンジニアが必要であり、当社はシステム開発を内製化してお客様満足度の高いサイトを提供しています」(同氏)


オンライン完結型の

新規事業開始へ


 今後は本業のクルーズ事業を回復させるとともに、規模拡大に向け新しい事業の柱の育成に注力していく。軸となるのはオンラインで手続きを完了できる〝オンライン完結型〞のサイトの横展開だ。

 その1つとして20年7月から国内旅行事業に参入。JTB、エイチ・アイ・エス(HIS)等の大手旅行会社と提携し販売開始した。国内ツアー、ダイナミックパッケージ、ホテル等を取り扱い、予約を多数獲得しているという。

「国内旅行には競合他社が多数ありますが、マーケットが非常に大きい。一方で日本の旅行業界はシステム化が遅れている。当社のデジタル技術を活用してシンプルに勝負していけばシェアを伸ばせると考えています」(同氏)

 2つめの柱は電力小売事業。18年6月よりHIS傘下のHTBエナジーが供給する電力を「ベストワン格安でんき」のブランド名でサービス提供を開始。20 年7月よりオンライン完結型のWebサイトをリリースした。ストック型ビジネスで安定的な収益が見込まれ、広告戦略等によりブランド力向上を目指す。

 さらに今期中に、もう1〜2つの新規事業をスタートする計画。その一環として、旅行や人材関連のITベンチャー数社に投資しており、同社との相乗効果を図っていく。

「元々、クルーズ市場はそれほど大きくないので新しい成長分野での事業を始めたいと考えていました。クルーズは国内トップを目指して引き続き成長させつつ、クルーズ一本足からの脱却を目指します。オンラインで完結でき、お客様のためになる未来を創造できるようなサービス、商品を扱っていきたいと思っています」(同氏)


■ベストワンドットコムのメインサイト「ベストワンクルーズ」


▲「ベストワン格安でんき」のトップサイト