• 株主手帳編集部

マックスバリュ東海【8198・東2】東海・中部7県に展開する食品スーパー地域密着経営目指し積極的な店舗投資

◀ 東海・中部圏でドミナント戦略年9月、イオン系列の2社が経営統合し、店舗数約220店、営業収益2700億円規模の食品スーパー、新生「マックスバリュ東海」が誕生した。同社は地域密着型の経営をさらに推進するため、3年間で100店舗以上の新規出店・改装を計画している。また、統合によるシナジー効果も徐々に発揮されはじめている。今後の戦略を神尾啓治社長に聞いた。

神尾 啓治社長

Profile◉かみおけいじ

1957年7月11日生まれ、1980年、八百半デパート(現マックスバリュ東海)に入社。2004年5月、同社取締役に就任、2008年5月に常務取締役、2011年3月に営業担当兼商品統括本部長などを経て、2013年5月、代表取締役社長に就任。2019年9月、マックスバリュ中部と経営統合、代表取締役社長兼社長執行役員に就任(現任)。



統合で営業収益2700億円超

東海道にドミナント戦略展開


 2019年9月、静岡を中心に神奈川、山梨に出店する「マックスバリュ東海」と、三重、愛知、岐阜、滋賀に食品スーパーを展開していた「マックスバリュ中部」が経営統合した。存続会社となったマックスバリュ東海は「地域との共生を、最も真剣に考える企業」という理念のもと、東西に幅広いエリアに店舗を展開していくことになる。本社も静岡県東部の長泉町から、統合後の中間点である浜松市に移転した。

 同社は今年の4月に、2022年度までの中期経営計画を発表し4つの重点施策を掲た。その最初に挙げられているのが積極的な成長投資だ。成長の基本を店舗投資と捉え、新店・改装投資に約260億円を見込む。3カ年での新店出店は約40店、改装は約65店を予定している。

 同社が重点エリアとしているのは愛知県三河と静岡県中西部だ。「このエリアは旧マックスバリュ東海と旧マックスバリュ中部の商圏の境目にあたり、同社店舗の少ない空白地域となっていました。この課題を解決するため、当社はこのエリアに多数の店舗を出店することによるドミナント形成を計画し、新店40店のうち約6割をこのエリアに集中していく予定です」(神尾啓治社長)という。

 ドミナント形成に当たっては、1つのエリア内に複数タイプの店舗を展開する方法をとる。客が毎日買い物をする地域密着型として店舗面積約400〜600坪程度の店を置き、

その隙間に約150〜200坪の小型店を配置。都心部あるいは行政区の中心部には、地域密着型店舗の商品より上質・高付加価値の商品を提案する、600坪以上の広さを持つ旗艦店を置くというものだ。

「旧両社は県単位ではつながっていたものの、物流面では分断されていた。今後はこの東海道に切れ目のないドミナントを形成して、商品、物流、人事交流などで本格的な統合効果を

出していきたい。浜松に本社を移転したのも、この重点エリアの中に本拠地を置き、地域や地元企業に対して発信していくためです」(同氏)

東海・中部圏でドミナント戦略











シナジー効果を最大限に発揮

パート従業員活用と多能工への移行


 昨年の統合から約1年が過ぎ、その効果が徐々に表れている。統合が期半ばの9月のため単純に比較できないが、2020年2月期の営業収益は2715億1700万円(前期比

19.9%増)となり、売上高営業利益率は19年2月期に比べ0.5%上昇した。

「まずは仕入れ拡大によるボリュームディスカウントで、商品の調達コストが下がっている。これによって毎年10億円の削減効果が出ると見ています。肉や魚の加工をするプロセス

センターを活用し、原料から完成品まで作ることで流通コストを下げる取り組みも進んでいる。長期的には、旧両社で長年積み上げてきた資産があるので、これを早期に統合して新

たに進化させていきたい」(同氏)

 

 神尾社長が貴重な資産と語るのが、各店のパート従業員で構成される「コミュニティ委員会」だ。同社は社員約2400人に対しパート従業員は1万人を超えており、大きな戦力となっている。パート従業員は地域の生活をよく知っていることから、コミュニティ委員会では学校給食のメニューを店舗に掲示するなど、顧客目線での多数の取り組みを行っている。

「年に2回のコミュニティ委員会の発表会では、予選を通った約20店舗のパートさんが自店の取り組みを発表する。これを各店の店長とパートさんの代表が聞いていて、良いものはすぐ自店に持ち帰って水平展開する。そういった仕組みを作っています」(同氏)

 同社の売上の約12%を占めるという地元産食品「じもの」の販売についても、パート従業員が大きな役割を持つ。旧マックスバリュ東海では、地元産食品を集めた商談会を年に1度開催し、バイヤーとして各店のパート従業員が参加。選んだ商品については、パート従業員に責任を持って育成してもらうよう、売場での権限を委譲している。こうすることで人気商品となったケースも多く、今後も活動を広げていく予定だ。 

「コミュニティ委員会を中心に、多能工の働き方にも取り組んでいる。スーパーは部門利益を競ってきた歴史があり、これまでは縦割り組織だった。しかし当社はひとりで何役もやれるようにして、生産性をあげていく。これはお客様にも非常に評判がいいのと、店内一体でチームの働き方をするので休暇も取りやすい。ワークライフバランスを進める上で、当社の有利な点だと考えています」(同氏)

 同社では今後、統合によるシナジー効果を発揮することで、まずは地域密着型スーパーとして事業の拡大を目指していく。




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