マーキュリアホールディングス【7347・プライム】国内外の「事業」や「資産」に投資しファンドを運用 事業承継2号、台湾太陽光など新規案件に着手


 マーキュリアホールディングスはファンド運用事業を営むマーキュリアインベストメントグループの持株会社だ。子会社であるマーキュリアインベストメントは、2005年の設立以降、オルタナティブ投資をメインに国内外の「事業」や「資産」に投資を行うファンドを運用している。事業内容と今後の展開について豊島俊弘代表取締役に話を聞いた。


 

豊島 俊弘代表取締役

Profile◉とよしま・としひろ1962年9月生まれ。東京大学法学部卒、マサチューセッツ工科大学不動産修士課程都市計画修士課程修了。85年日本政策投資銀行(DBJ)入社。グロース・クロスボーダー投資グループ長や、世界銀行上級民間セクター専門官等を歴任。2005年以降は、DBJで成長投資を担当すると同時に、創設メンバーとしてマーキュリアインベストメントに参画。08年同社代表取締役に就任。21年マーキュリアホールディングス代表取締役に就任(現任)。

 

長期間・低流動性の

マルチストラテジー戦略


 同グループが手掛けているオルタナティブ投資とは、上場株式や債券など伝統的な資産以外への投資の総称だ。通常、年金基金や大手機関投資家、投資ファンドなど限られた投資家のみが参加している分野で、株式や債券と異なり流動性は低いものの、一般的には伝統的資産よりも高い利回りが期待できることから分散投資先として国内でも拡大している。投資対象は、インフラ、未上場株式、不動産など多岐に渡り、伝統的資産に比べ運用期間が長く低流動性が特徴だ。

 グループの投資戦略は、①成長投資戦略、②バリュー投資戦略、③バイアウト・事業承継投資戦略、④不動産投資戦略、⑤キャッシュ・フロー投資戦略などがある。様々な投資戦略を策定し、ファンドを組成、運用することで、マルチストラテジーのファンド運用会社として基盤を確立している。

「私達はオルタナティブ投資の中でも、プライベートエクイティ(*1)というアセットの分野で、伝統資産よりも高い利益を期待できるものに投資をします。当社のファンドは機関投資家向けですが、当社自身も投資をしていますので株主様は間接的にオルタナティブ投資に参加していただけます」(豊島俊弘社長)

 

安定的リターン創出する

「投資品質」を重要視


 グループでは大きく分けて「事業投資」と「資産投資」の分野で複数のファンドを運用している。「事業投資」は、未上場企業へ投資し企業価値を向上させたうえで次のオーナーに譲渡することが多いが、投資先を上場させてエグジット(*2)する場合もある。2005年に組成したグロース・ファンド1号では、ライフネット生命保険など日本・中国を中心とする成長企業に投資を行い、主要案件をIPO、M&A、売却などでエグジットした。その後16年には、国内の中堅中小企業の事業承継に着目したバイアウト1号ファンドを213億円で組成した。9件の投資を実行、うち4件を譲渡済みだ。

 一方、「資産投資」は不動産、航空機、太陽光発電設備などの資産を取得し、安定的なキャッシュ・フロー収益と売却益を得る戦略。中でも最も大きい案件が、香港子会社による北京ビジネス中心地にある複合施設China Central Placeのオフィスビル2棟を保有する約600億円規模の香港上場リート「Spring REIT」の運営だ。

「オルタナティブ投資は流動性が低く、短期間で売買をすることはできませんから、私達が投資をしている会社の事業や不動産、太陽光発電設備などをきちんと管理する。そこで生み出すキャッシュ・フロー、売却益、インカムゲインをしっかり投資家の方に配ることが重要です。これを私たちは投資品質と言っています」(同氏)


5年平均当期純利益が

21年12月期過去最高に

 

 収益構造は、ファンド運用において投資家から得られる管理報酬と、投資対象を譲渡し一定のリターンを投資家に還元した後に得る成功報酬がある。加えて、運用するファンドへの自己投資からの持分割合に応じた配当・売却益等の自己投資収益がある。2021年12月期の営業総利益は36・4億円。内訳は管理報酬18・9億円、成功報酬7・3億円、自己投資収益が10・1億円。

「運用するファンドには基本的には5~10%程度の自己投資を入れています。ファンド期間が長いですから、資金を集めるだけでなく自分たちも投資しリスクをとります」(同氏)

 ファンド期間は中長期にわたり、バイアウトでは10年以上のものもある。そのためファンド組成から成功報酬が発生するまで5~10年の期間を要する。上場前の05年~15年に組成したファンドの成功報酬は、17年~21年12月期に合計65億円を計上している。バイアウト1号の成功報酬は今後発生する見込みだ。

 同社の業績を見る場合、管理報酬は安定したストック収入として推移する一方、成功報酬には大きな波がある。そこで同社では5年平均当期純利益を主要な経営指標として使用している。直近5年では順調に右肩上がりで成長し、21年12月期には11・9億円と過去最高を達成した。


バイアウト2号を新たに組成

最終的には500億円規模に

 

 新規事業企画では、3月末にバイアウト2号ファンドを264億円で初回クロージングを完了した。最終的には1号ファンドの倍の総額400~500億円規模のファンドを目指す。その他、海外の再生エネルギーへの投資事業第一弾として、パートナー企業と共に台湾の太陽光開発事業へ参画する。さらに新たな人材を迎え入れインバウンド不動産戦略も展開していく。

「1号の倍の規模で2号ができるということは、良いマネージメントができてファンド投資家の方にもリターン実績について納得頂けているということだと思います。日本は経営者の高齢化が課題ですが、当社の事業承継をメイン戦略としたバイアウトから投資を行うことで投資先の企業価値を高め、次世代へ引き継ぐことが大切です」(同氏)


(*1)プライベートエクイティ(PE)とは、未公開・非上場企業に対して投資を行うこと。新興企業に資本を提供して成長を促し株式上場によってリターンを狙う手法や、業績不振企業の業績を立て直しM&Aなどによってリターンを狙う手法などがある。

(*2) エグジット(EXIT)とは、ベンチャービジネスや企業再生などで、ファンド、投資会社が第三者に株式を売却したり、IPOをすることによって利益を得ること



 

2021年12月期 連結業績

売上高

41億7000万円

前期比 32.6%減

営業利益

17億6300万円

同 128.4%増

経常利益

18億1700万円

同 139.7%増

当期純利益

13億400万円

同 148.4%増


2022年12月期 連結業績予想

売上高

40億円

前期比 4.1%減

営業利益

19億円

同 7.7%増

経常利益

19億円

同 4.6%増

当期純利益

13億円

同 0.3%減

※株主手帳6月号発売日時点