• 株主手帳編集部

ミマキエンジニアリング【6638・東1】昨年12月に新中期経営計画を策定 2025年の営業利益率10%目指す

 産業用インクジェットプリンタで、グローバルでもトップクラスのシェアを誇るのが長野県東御市に本社を置くミマキエンジニアリング(6638)だ。約3500もの特許出願を世界で行う高い技術力を持ち、ニッチ市場に狙いを絞って、独自の営業戦略で成長を続けてきた。世界中をコロナ禍が襲う中、新たに策定した中期経営計画では、同社として初めてコスト構造改革にも乗り出した。

池田 和明社長

Profile◉いけだ・かずあき

1976年11月生まれ、長野県出身。2003年米GTインターナショナルスクールを卒業。04年、グラフィッククリエーション入社。06年、ミマキエンジニアリングに入社。13年、取締役営業本部長、15年常務取締役などを経て、2016年4月に代表取締役社長に就任(現任)。





ニッチでワールドワイドな

技術開発企業


 ミマキエンジニアリングは、産業用インクジェットプリンタの製造・開発を行っている。

世界トップクラスのシェアを誇り、ビルなどの屋外の大型広告・看板向けのサイングラフィックス(SG)、工業製品・ギフトやノベルティなどの小物に印刷ができるインダストリアルプロダクツ(IP)、衣料品・着物やカーテンなどの布地に印刷ができるテキスタイル&アパレル(TA)の3つの販売市場で展開する。

 同社の強みの一つは、インクにある。水と空気以外は何にでも印刷できることを究極の開発目標として掲げており、金属、ガラス、木材、プラスチック、布地、樹脂など様々な印刷対象に合わせたインクを独自開発。また、特殊なインクを安定的に塗布できる高いヘッドコントロール技術を擁しており、特許出願も世界で約3500件行っている。売上は広告・看板が約4割、工業製品が約3割、布地関連が約1割を占める。海外販売子会社を13社もち、全体の売上の約7割が海外市場というグローバル企業でもある。世界約150の国と地域に向けて製品を販売している。


小さい市場を数多く集め

圧倒的シェアを取っていく


 同社の製品ライフサイクルは、1製品につき4〜5年程度。新製品を今年はSG、来年はIP、再来年はTAと3つの販売市場に1年ごとに順番に投入していくことで、全体で売上が大幅ダウンする谷を無くす工夫を行っている。また、開発の方針も他社とは異なる。

「私たちは、開発した1製品で100億を売り上げるのではなく、10億円を売り上げる製品を10機種作り100億円にするという開発販売戦略をとっています。ベースとなる機器を1台作り、そこから業界や用途に合わせて部品やインクなどをカスタマイズしていくので、顧客に合わせた小回りの効く製品づくりが特徴と言えます。年10億売れる製品を、ぶどうの房のように集めていくイメージですね」(池田和明社長)

 小さな市場で細やかなニーズに対応することで、圧倒的なシェアを多種多様な業界で有していくという方針なのだ。

 販売においても、世界各地で「ミニ展」というユニークな戦略を展開する。同社の製品販売は販売代理店を通して行われる。エリアごとに販売代理店を通じて4〜5名の顧客を集めてもらい、同社が単独でプライベートな展示会を実施。多数の企業が出展する大規模展示会と違って、クローズドな環境で顧客と親密なコミュニケーションを取ることで、エリアごとに異なるニーズの積極的な吸い上げと、関係基盤の構築を可能にしている。


市場分類


サイングラフィックス(SG)

ウィンドウサイン







屋外サイン







UCJV300








インダストリアルプロダクツ(IP)

スマホケースとミニカー






3DUJ-2207











テキスタイル&アパレル(TA)

ホームファニシング








着物
















TX3000Pー1800Mk2











コスト構造改革に着手し

営業利益率重視へ


 同社は昨年12月に新中長期成長戦略「Mimaki V10」を策定。2025年を最終年度とし、従来の売上高重視から営業利益率10%を目指すシフトチェンジを行なった。今までは、製品力の高さから売上が順調に拡大し、売上のトップラインが伸びるごとに部門別に割合を決めて予算を割り振っていた。しかし、コロナ禍に入り世界的にも顧客の設備投資抑制やプリント需要の減退が発生。現在需要は回復傾向にあるものの、市場の変化に対応するため固定費を圧縮するなどコスト構造の見直しにも足を踏み入れた。

 営業利益率10%への製品施策は大きく分けて3つあり、1つ目が商品開発計画である。1製品あたり2.5億〜4億円で開発していたものを、印刷の基本部分を共有化して利用することで、横展開で多種多様な商品へ対応させる。1製品1億円以下の開発費で何機種もラインアップを増やしていく。2つ目が、生産効率の向上だ。日本で開発した基本部分を中国、イタリアへ送り、現地の顧客ニーズを踏まえた製品として組み立ててアジアやヨーロッパに向けて販売するなど、日本と海外の工場製品のウエイトや生産体制を最適化することで生産効率向上を図る。3つ目は、新商品戦略。販売している製品の25%を新商品としていく。現在の新商品の比率は15〜20%。新規市場への製品プライオリティを上げ、後継機種は定期的な製品投入を確立することで効率的な開発をし、売上拡大と在庫削減を図る。


ローカルでバーチャルな

営業戦略にも注力


 また、営業体制も合わせて変革を行う。リアルなミニ展開催が感染症対策やロケーションの問題で難しい場合は、「バーチャルミニ展」を開催。あらゆる国と地域を対象とした販売網の拡大を図っていく。

「誰でも参加できるバーチャル展示会ではなく、地域の小さな販売代理店が呼んで来てくれた限られた顧客に向けて開催されるため、顧客には特別感がありバーチャルでも距離が縮まりやすく、受注の成果も出始めています。販売代理店としても当社の拠点が近くにある場合が多く、何かあれば当社の営業が駆けつけてくれる安心感があり顧客を紹介しやすいのもメリットと言えます」(同氏)

 今後の成長を牽引していくものとしてIP(工業製品や小物)、TA(布地)、3Dプリント事業に注力。印刷版を使わないデジタルプリントにより多品種・少量生産・低コスト・短納期を可能にする。デジタル化による生産の効率化と合理化は業界や国を限定するものではなく、産業界全体の解決策になると考え、新たな市場を積極的に開拓することでさらなる発展を目指す。