• 株主手帳編集部

メドピア【6095・東1医師】薬剤師と患者をITで繋ぐヘルステック企業 3本柱のプラットフォーム事業で売上高150億円目指す

メドピア(6 0 9 5)は、現在12万人の医師会員がいる医師専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」を主軸に、医療やヘルスケア業界向けのサービスを提供して

いる。医療機関や製薬会社のDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進む中、

2020年9月期の連結業績は売上高・利益ともに過去最高を更新。今後は3本柱の事業を確立し、3年後に売上高150億円を目指す。

岩見 陽 社長

Profile◉いわみ・よう 

1974年3月生まれ。99年、信州大学医学部卒業、東京女子医科大学病院循環器内科学に入局。研究テーマは血管再生医学。医師として勤務する傍ら、2004年12月、メディカル・オブリージュ(現メドピア)を設立。05年、代表取締役社長就任(現任)。07年8月、医師専用コミュニティサイト「NextDoctors(現MedPeer)」を開設。現在も週一回の診療を継続し、医療現場に立つ。

メドピアグループで専門家の

プラットフォームを展開


 メドピアは、「Supporting Doctors, Helping Patients.(医師を支援すること。そして患者を救うこと。)」をミッションに掲げ事業を展開している。同社の事業ポートフォリオは3つ。1つ目は、医師同士が薬剤や臨床経験などの情報交換ができる医師専用コミュニティサイト「MedPeer」と薬剤師専用コミュニティサイト「ヤクメド」を展開する「集合知プラットフォーム事業」。2つ目は、健保組合や法人をクライアントにした、医師によるオンライン健康相談の産業保健支援サービス「fir

st call」と管理栄養士が食事指導を行う「DietPlus」、歩数計アプリなどのBtoCサービスの3つを展開する「予防医療プラットフォーム事業」。3つ目は、薬局・クリニック向けアプリを提供する「プライマリケアプラットフォーム事業」だ。


 2020年9月期の連結業績は、売上高53億円、営業利益11億円。「MedPeer」のプラットフォームを活用した製薬会社向けマーケテティング支援が収益の7割を占める。強みは、医師、薬剤師、管理栄養士など複数の専門家のプラットフォームを展開し、且つプラットフォームを活用したサービスの横展開や新たなプラットフォームの創出ができることだ。

「プラットフォームを手掛けることで新たなプラットフォームが生めると思っています。医師のプラットフォームがあるからこそ、first callで産業医の斡旋や産業医面の支援ができたり、歩数計アプリでいつでも医師に相談ができます」(石見陽社長)

 同社は、積極的な事業提携やM&Aによって事業の多角化を図っている。現在グループ企業は5社。16年に子会社化したフィッツプラス、スギ薬局との合弁会社Mediplat。昨年子会社化したコルボ、新規設立したメドピアキャリアエージェント、AI・アルゴリズム開発を手掛けるPKSHA Technologyとの合弁会社メドクロスだ。




コロナが追い風

大幅な増収増益


 同社の過去5年間の売上高は、16年の9億円から、15億円、21億円、30億円、53億円毎年増加。利益面でも18年に黒字転換して以降大きく増加している。21年9月期の連結業績は、売上高74億円(前期比40・3%増)、経常利益16億円(同42・4%増)を見

込む。

 直近の業績が好調の要因の一つは、マーケティング支援事業でのアップセルと顧客数の増加だ。「単に広告配信のプラットフォームだけではなく、コンテンツ制作など上流の工程も含めて提案の機会を頂いているのと、薬のクチコミページや医師のWEB講演会など配信サービスの種類も増えてきているので、1社あたりの取引高が1・4倍に増えています。顧客数も中堅の製薬企業や今までお取引のなかった医療機器メーカーのニーズが顕在化して1・2倍に増えています」(同氏)

 もう一つの要因は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴って、医療機関や製薬会社のDXが本格化し急速に進んでいることだ。

「コロナ禍で困難な状況ですが、ヘルステック業界では追い風になっていると思います。医

薬情報担当者の方々が病院を訪問できなくなり、オンラインとの融合を本格的にやらなければいけない中でかなり引き合いをいただいています。医師によるオンライン健康相談の産業保健支援サービスのfirst callも、経済産業省の委託事業に採択され、リモートワークで企業のニーズが増え、契約件数は前年の2倍程に増えています」(同氏)



事業を三本柱に拡充

売上高150億円へ


 今後の中期目標について石見社長は、3年後に150億円の売上規模を目指すという。戦略としては、引き続き中核事業であるMedPeerで安定した成長を続けながら、「予防医療プラットフォーム」を2つ目の基盤事業へと積み上げる。さらに「プライマリケアプラットフォームを3つ目の事業の柱となるように積極的な投資をしている。

 石見社長が「手応えを掴んでいる」と話すのが、かかりつけ薬局を支援するアプリ「kakari」。薬局側は月額9800円(税別、初期費用別)で顧客管理ツールが構築でき、患者側は処方箋を薬局に事前送信することで待ち時間を減らしたりオンライン服薬指導が受けられる薬局と患者を繋ぐサービス。現在加盟薬局数は1330店舗(20年9月末時点)。またジェネリック医薬品メーカー日医工との共同運用で、かかりつけクリニック支援サービス「kakari for Clinic」も昨年9月にリリースした。

「専門家である医師や薬剤師と患者さんがアプリを通して繋がる時代になりました。医師と患者さんの関係性自体は今後も変わりませんが、病院や薬局に来た時だけ患者さんと関わる『点でのケア』から、前後でもオンライン上で繋がる『線でのケア』へ進んでいくと思います。それを支援するのがkakariでありkakari for Clinic です」(同氏)

 医師・薬剤師・開業医などのプラットフォーム企業として、今後の成長余地は十二分にありそうだ。