• 株主手帳編集部

モバイルファクトリー【3912・東1】鉄道駅集める位置情報ゲームでトップシェア デジタル資産取引のNFTマーケットに参入


 モバイルファクトリー(3912)は、スマートフォン向けに位置情報連動型ゲームを開発・配信。同社の全国鉄道駅を対象にした位置ゲーム「駅奪取」や「駅メモ!」は、ライド系鉄道位置ゲームの分野で国内トップシェアを占めている。現在は2018年に参入したブロックチェーン事業に注力しており、今夏NFT(非代替性トークン)マーケットプレイス「ユニマ」をリリースする予定だ。


宮嶌 裕二社長

Profile◉みやじま・ゆうじ

1971年生まれ。95年ソフトバンク入社。99年サイバーエージェント入社。インターネット広告の新規開拓営業をしながら、新規事業「メールイン」を立ち上げる。2001年 有限会社モバイルファクトリー設立。03年有限会社から株式会社に組織変更し、代表取締役就任(現任)。18年ビットファクトリー設立。



全国約9300の駅を収集


 同社の2020年12月期の業績は、売上高28億5500万円、営業利益8億6300万円。サービス別売上比率は、位置情報連動型ゲームを含むソーシャルアプリサービスが売上の約8割、着メロなどのコンテンツサービスが残り2割弱を占める。

 位置情報連動型ゲームとは、スマートフォンのGPS機能を利用したゲームのこと。同社が配信するのは、全国約9300の鉄道駅を対象にした位置ゲームだ。中でも主力の「ステーションメモリーズ!」(略称:駅メモ!)は、パートナーである個性的な美少女キャラクター「でんこ」を育成しながら、通学・通勤や旅先などで駅を収集したり、プレーヤー同士でバトルを繰り広げる陣取りゲーム。20~40代を中心に幅広い層に支持されている。

 基本利用は無料だが、キャラクター収集や育成のためのガチャ(1回500円)、駅収集の際に使うライセンス(1回500円)やレーダー(6個セット310円)などアイテム毎の課金制の収益モデルとなっている。


鉄道位置ゲームトップ


 同社は09年にモバイルゲーム事業に参入。2年間ゲーム事業の赤字を経て、11年にまだ黎明期だった位置ゲームに注力した。同年「駅奪取」をリリース。14年にリリースした「駅メモ!」がヒットし、15年上場を果たした。位置ゲーム業界に目を向けると、社会現象になったポケモンGOやドラクエウォークを含む多くのゲームは歩く系だが、「駅奪取」や「駅メモ!」はライド系鉄道位置ゲームとして国内トップシェアを占める。

「駅メモ!」の特徴は2つ。ひとつは、全国の駅が対象のため、ユーザーの移動のきっかけになること。同社では、自治体や電鉄会社などと協業し全国各地でリアルとゲームを連動させたイベントを開催している。19年には全国で11のイベントを開催。総参加人数は約36万人、経済効果は約15億円(同社試算)に上る。

 もうひとつの特徴は、ユーザーの継続率の高さだ。移動の記録をライフログとしてアプリに残せるため、ユーザーの生活の一部になりやすく離脱率が圧倒的に少ないという。前期はコロナ禍で移動が制限されたため、上場以来初めての減収減益となったが、それでも継続してプレイするユーザーが多い。

「コロナ禍であっても比較的堅調なのは、ユーザーの皆さんのおかげです。あまり移動ができなくてもゲームを継続し課金してくれています」(宮嶌裕二社長)


ブロックチェーン事業に参入


 現在注力しているのが、18年に参入したブロックチェーン事業だ。宮嶌社長は、2カ月間の育休中に参入を決意したと話す。

「中長期的な会社の未来を考えた時、次世代に続くより多くの人が利用するサービスを作りたいと考えました。今はアップルとグーグルがインターネットを支配していますが、ブロックチェーンにより今後10年で業界構造も大きく変化する。参入したら必ず成長できると思いました」(同氏)

 ブロックチェーンとは、デジタルデータを複数のコンピュータで分散し互いに相互管理し合う仕組みのこと。一般的にデジタルデータは複製や改ざんが容易で海賊版や不正コピーが出回りやすいが、ブロックチェーン上では相互にデータ検証をしているため複製や改ざんが困難になる。この特性を生かし発行・流通されるデジタルデータのひとつがNFT(非代替性トークン)だ。

 NFTは、コンテンツやデジタルアイテムを保有することが可能となり、価値を有するデジタル資産として取引可能になるため、アート、ゲーム、不動産など様々な分野での活用が期待されている。21年に入りNFT市場では、デジタルアートが約75億円、米ツイッター社創業者の初ツイートが約3億円で落札、NBA選手のデジタルカードが高額取引されるなど、取引流通額は急成長している。

「自分だけのデジタルデータを所有できるようになります。動画、書籍、音楽などあらゆるデータの取引が可能で、2次流通の可能性もある。エンタメに触れるユーザーにとって価値や楽しみ方が変わります」(同氏)


■駅メモ!と駅奪取のイメージ

位置情報(GPS機能)を使った、全国に所在する鉄道駅のスタンプラリー・陣取りゲーム



NFT事業を育成


 同社が21年中のリリースを目指すのが、個人クリエイター向けにデジタルアイテムのNFT生成と販売をワンストップで提供するNFTマーケットプレイス「ユニマ」だ。同年4月23日に、事前登録を開始した。

 ユニマで出品が決定しているのが、自社開発の駅トークンとでんこのトレーディングカードだ。20年にリリースした「駅メモ! Our Rails」と連動する駅トークン(NFT)をユニマ上で購入すると、ゲーム内に登場する駅をオーナーとして保有できたり、駅を盛り上げるフェア機能で対価を得られるようになる。その他アートや書籍の独占販売も予定している。

 今後の中長期の目標として掲げるのは、ユニマを位置ゲームに並ぶ収益の柱に成長させ、「トークン=モバイルファクトリー」となるようなポジションだ。

「シェアを取るまでは拡大優先で投資をしていきます。5年後には黒字化させたい。EBITDA30億円が目標です」(同氏)


■ユニマのイメージ