• 株主手帳編集部

リバーホールディングス 【5690・東2】 創業117年の金属中心の資源リサイクル 企業還元率100%を目指し動静脈産業の連携を強化

 リバーホールディングスは、金属を中心にリサイクル・廃棄物処理を手掛ける資源リサイクル企業だ。同社は1904年浅草で屑物一般の売買で創業。2000年以降はM&Aを推進し、現在はグループで関東一円に拠点を展開する。昨年東証2部上場を果たした同社の事業内容と今後の展開を松岡直人社長に聞いた。

松岡直人社長

松岡直人社長Profile◉まつおか・なおと 

1949年生まれ。72年三菱商事入社。99年上野鉄鋼代表取締役社長。2001年メタルリサイクル取締役。04年メタルワン建材(現エムエム建材)代表取締役社長。09年メタルワン代表取締役社長兼CEO。15年リバーホールディングス代表取締役社長。16年HIDAKA SUZUTOK(Thailand)

CO.,LTD.Director。17年サニーメタル取締役。17年フェニックスメタル取締役。18年リバーホールディングス代表取締役社長執行役員(現任)。



還元率80%の資源リサイクル業


 静脈産業とは、自動車や家電などの製造業を動脈産業というのに対して、それらの製品が市場で消費され廃棄されたものを回収し、再資源化や処理を行う産業のことを呼ぶ。

 リバーホールディングスは、資源リサイクル企業として静脈産業の一翼を担っている。同社は、金属リサイクル、自動車リサイクル、家電リサイクル、産業廃棄物処理、その他の5つの事業を展開。主に工場や建物の解体現場で出る鉄・非鉄の端材や、廃自動車、廃家電製品などを引き取り、破砕・選別し、有価物となる鉄・非鉄金属を電炉・高炉・精錬メーカーに販売している。昨年度同社が受け入れた資源量75万トンのうち60万トンを再資源化しており、リサイクル還元率は80%に及ぶ。

 長年金属リサイクルを生業としていた同社だが、2000年代からM&Aを強化し現在は連結子会社8社、持分適用関連会社2社のグループ経営を行っている。背景には、2000年に循環型社会形成推進基本法が制定以後、家電リサイクル法、建設リサイクル法、自動車リサイクル法などが順次施行され、廃棄・リサイクル業界が大きな転換点を迎えたことがある。

「法律に対応するためにも、母体の鈴徳(現:リバー社)が自動車リサイクルに強いメタルリサイクルを買収、家電関係は中田屋を買収してきました。法律の変わり目が一つ我々の変わり目でした」(松岡直人社長)


関東地盤で全国首位級の取扱量


 同社の売上区分は、金属などの有価物を電炉メーカーなどに販売する「一般売上」と、産業廃棄物処理や家電リサイクルなどで、仕入元から廃棄物を受入れる際に受け取る「処理売上」の2つ。前期(2020年6月期)の売上高283億円の内訳は、一般売上が251億円の約80%、処理売上が47億円の約15%を占める。

 同社の強みは、市況変動リスクの影響をあまり受けないことだ。一般的に鉄スクラップは、輸出などで在庫を抱えていると販売価格の動向に大きく左右されるが、同社の場合、ほとんど地場の電炉メーカーへ送るため在庫保持期間が3〜4日と短い。また、関東で30基稼働する大型シュレッダーのうち関東トップの6基を保有。大型シュレッダーは、自動車や家電など複合素材を単一素材への処理を可能にする。さらに、こうした設備設置は自治体の許認可制で許可取得には4、5年はかかるため参入障壁も高いという。

「私共は、最大の排出圏である関東を地盤に、関東一円に20以上の拠点を持っています。家電リサイクルや廃自動車処理においては全国で10%程度の取扱量を誇ります。全国でもトップクラスだと思います」(同氏)










▲国内最大級の大型シュレッダー(3500馬力)



動静脈連携を強化

還元率100%を目指す


 今後の成長戦略の要になるのが、リサイクル技術の向上によるあらゆる廃棄物の再資源化だ。「今80%の還元率を最終的に100%を目指しています。廃棄する20%を少なくするためにはリサイクル技術を向上するしかありません」と松岡社長は話す。

 その取り組みの1つが、ダスト(残渣物)の削減。年間約30億円のダスト処理費がかかっているが、これを削減するため樹脂選別回収ラインの新設を予定している。もう一つは、複合素材の再資源化。ミックスメタルの回収ラインなどを増設し、選別しきれていなかった複合素材を単一素材に選別する技術力を高めている。今後3年間で60億円の投資を計

画している。

 取組みは既に功を奏し、2月には業績の上方修正を発表した。新型コロナの影響で鉄スクラップの発生量が回復しない中、営業利益19 億7300万円(前回予想比206%)、経常利益22億8100万円(同194%)、当期純利益16億4300万円(同214%)と大幅な増加を見込む。加工・選別を徹底することで有価物の回収量が増加、ダストの減容で利益向上に繋がっている。

「人口が減少する中、廃棄物の発生も減少するが、徹底した再資源化によって利益を確保していきます」(同氏)

 また、静脈産業・動脈産業との連携強化を図る。SDGsや2050年カーボンニュートラルに向けた取り組みで、社会全体で環境への意識が高まっている。メーカーは、再生材の使用に注力しており、高品質の再生材を戻してほしいという静脈側へのニーズが高まっているという。

「純度の高い再生材を戻すためには、動脈側と連携するしかありません。既に動脈側と一部連携して開発などを進めています。一方で、循環型社会の動静脈連携を回していくためには、我々静脈側は動脈側に比べまだまだ規模感が小さい。上場を機にM&Aも含めて規模、領域、エリアを増やしていきたいです」(同氏)

 今期の配当は、当初前期の上場記念配の10円が取れた普通配25円を計画していたが、業績の上方修正に合わせ10円増配の35円を予定している。


▲売り上げ区分の図。有価物を電炉メーカーなどに販売する「一般売上」と、産廃処理・家電リサイクルで仕入元から産廃物を受け入れの際に受け取る処理売上がある


▲東京オリンピック・パラリンピック競技大会の「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」で金属を納入