• 株主手帳編集部

リビングプラットフォーム【7091・マザ】ミッションは「持続可能な社会保障制度の構築」 介護の売上比率8割、自社開発と事業承継で成長

「持続可能な社会保障制度を構築する」をミッションに、全国で介護、障がい者支援、保育の三事業を展開しているのがリビングプラットフォーム(7091)だ。2011年、金子社長が北海道札幌市に移り住み、借りたマンションの一室にて創業。介護施設の自社開発と事業承継による店舗拡大の両輪で急成長し、20年7月に東証マザーズに上場した。今後は成長のスピードをより一層加速し、介護業界の主要プレイヤーを目指して飛躍を図る。

金子 洋文 代表取締役

profile(かねこ ひろふみ)

1977年11月22日生まれ、東京出身。慶応義塾大学総合政策学部卒業後、2000年アンダーセンコンサルティング(現・アクセンチュア)を経て、01年三菱商事のヘルスケア戦略子会社ライフタイムパートナーズに入社。11年8月までフィナンシャル・サービス部担当部長として部門を統括し、医療・介護分野に対する自己勘定投資、資金調達のアレンジャー、M&A のアドバイザー、キャッシュフローの改善を重視した経営支援などを行った。11年9月に独立しリビングプラットフォームを設立。

ヘルスケア業界の

経験生かし起業


 リビングプラットフォームのビジネスモデルは、金子氏の大学時代の卒業論文がベースにある。慶大総合政策学部にてマクロ計量経済学を専攻し、卒論でマクロモデル数百本を用いた財政モデルを構築。その過程で日本の財政の持続可能性に疑問を持ち、その原因としての少子高齢化と、それに伴う社会保障費の拡大をコントロールする政策を提言した。

 「少子高齢化によって労働人口が減るのを防ぐには、出産育児離職をなくすための保育や介護離職しないための介護施設、障がい者の方の社会参加が必要です。ただし公的資金にのみ頼るのではなく効率的にやっていくのが社会にとってプラスになる。例えば株式会社が介護に参入することによって、補助金の支出が抑制できます。私はヘルスケアの業界に約10年いて投融資の経験を積みましたが、投資家としてはできることに限界があったので、自分の知識や人脈を生かして持続可能な社会保障制度の構築に貢献したいと思い起業しました」(金子洋文代表取締役)



介護事業の売上比率8割

効率的な運営を定型化


 2021年3月期の売上高は91億3200万円。売上比率8割の介護事業においては、効率的な運営ができ職員採用も有利な施設介護に注力し、有料老人ホームやグループホームなどを展開している。

 同社の強みは大きく4つが挙げられる。1つは、効率的な施設運営のノウハウをフォーマット化していること。施設の立地、エリア、建物の導線、シフト組みなどを定型化しており、立地については駅近、出店エリアは北海道、東北、関東、関西など中長期的に需要が見込めるエリアに限定している。食事についても給食サービスを子会社に委託し、メニューやデリバリーを統一して効率化を図っている。

2つめは、事業承継を得意としていること。介護施設については自社開発と事業承継の両輪で展開しており、自社開発の施設は「ライブラリ」、事業承継した施設は「シルバーハイツ」「アルプスの杜」の名称で運営している。21年5月時点で53の介護施設を展開、このうちの約半数を買収によって取得した。

「事業承継は既に14回ほど手掛けています。こちらから買収を持ち掛ける場合と相談を受けるのと両方ありますが、どちらかというと先方からの相談が多いです。今の事業の経営に行き詰ったり、新しい事業に失敗したり、後継者がいないなど様々です。私共の改善能力はとても高く、当社のフォーマットを適用することで経営改善が可能です」(同氏)



コスト管理を徹底

利用者や職員に還元


 3つめは、障がい者支援事業の展開だ。同社は国の障害者総合支援法に基づき、生活の場であるグループホームと就労訓練の場である就労継続支援B型のサービスを提供している。就労支援によって国の給付金が得られることに加え、就労訓練を受けた人の中から同社のグループ会社で働く人を採用できるなどのメリットがある。

4つめは、コストコントロールの徹底。「モノにお金をかけずに人にかける」を実践し、節約した分をできる限り人に振り向けるというポリシーを徹底している。

「例えば、当社の建物は和モダンを訴求した『ZEN(然)シリーズ』で統一しています。その開発に当たり、内装の壁紙を東京品川のサンゲツさんのショールームに行って自分たちで選ぶなど、徹底して建設コストを下げました。コストが低いとはいえ、スタイリッシュなデザインであり、黒に格子の外観がスターバックスさんと結果的に同じになったので驚いています」(同氏)

コストカットした分は利用者に還元する方針であり、同社の有料老人ホームの月額利用料は、地域によっては家賃や光熱費、食事込みで約11万円と市場平均と比べて圧倒的な安さを実現している。

 また、現場の職員の待遇改善にも注力。3カ月に1回、同業他社の給与調査を行い、地域の平均給与を上回るように賃金を見直している。残業なしや有休消化を推奨し、社内研修制度を充実させるなどの施策を行って優秀な人材確保に努めている。



20年後の目標売上高1兆円

成長のスピード加速へ


 金子社長によると、20年後の目標は売上高1兆円だ。今後も自社開発と事業承継の両方に注力し、できるだけ早く売上高1000億円を超えたいと考えている。そのためには、現在の方向性を継続しつつ、M&Aによって成長のスピードを加速させたい考え。今年の秋以降に事業承継の案件が増えると見ており、M&Aのノウハウを活用して売上拡大を図る。

「前期はコロナの影響で上半期に利益がマイナスになるなどかなり影響を受けましたが、後半で持ち返しました。今期の業績は現時点では未定ですが、それなりに伸びると考えています。売上のトップラインは毎年20~30%上げていこうと思っていて、今期もそのようなペースで行きたいと考えています」(同氏)


▲和モダンを訴求した「ZEN(然)シリーズ」