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三洋貿易【3176】グローバル市場でシェアが見込めるニッチな分野で着実に増益

 三洋貿易(3176)は、タイヤに使うゴム素材や自動車用内装材部材など、ニッチな市場で成長を続ける中堅商社だ。現在、2012年の上場以降、世界各地14拠点で展開し、M&Aにも積極的に取り組んでいる。2010年9月期から9期連続で最高益を更新。産業資材や機械・環境関連が堅調で今期も10期連続の最高益が見込まれている



新谷 正伸 社長

PROFILE

しんたに・まさのぶ 1958年6月、東京都生まれ。8 2年早稲田大学理工学部卒業、同年4月同社入社。2012年執行役員兼Sanyo Corporationof America社長、13年取締役兼執行役員等を経て、18年12月、代表取締役兼社長執行役員に就任(現任)




タイヤ部材や自動車シート関連が好調


 同社は、1947年、旧三井物産神戸支店社員有志により設立。タイヤやホース、各種ゴム部品など自動車部材や塗料や医薬品原料などの化成品、自動車シート周りの部品や飼料用ペレットミル(造粒機)などの機械資材を扱う専門型商社として、北米・欧州・中国・東南アジアで輸出入を行っている。

 2018年9月期の連結の売上高は前期比15・8%増の784億5000万円、営業利益は同6・6%増5の2億6300万円、経常利益は同5・8%増の55億7500万円。またセグメント比率は、売上で化成品39%、機械資材32%、海外現地法人22%、国内子会6%。営業利益では、機械資材45%、化成30%、海外現地法人13%、国内子会社10%となっている。

 2010年9月期から9期連続して最高益を更新し、6月に今期の業績を上方修正。前期比14・8%増の経常利益62億円の10期連続最高益が見込まれる。

「それぞれの事業で成長していますが、とくに自動車内装材でいろいろな新規商材があり、伸長しました。また海外でも、タイなどは成長が続いています」(新谷正伸社長)



〝一商品、一仕入先〞 で実績と信頼を構築


 合成ゴムを日本で初めて輸入した同社は、国内タイヤメーカー、工業用ゴム製品の主要メーカーを取引先としてほぼ網羅している。一方で、仕入れ先は『一商品、一仕入先』をビジネスモデルとしている。

「例えば、シリコーンゴムはダウ・東レさんの商品のみを扱っています。30年、40年と長期に扱う、密な関係の中で、深い信頼関係を構築しています」(同氏)

 取引歴が50年を超える企業も数多くあるという。

 また自動車関連では、メーカーの新車の試作段階から参加し、技術力の伴う商品提案なども行っている。


ペレットミル

 契約受注後は立上げから量産管理、旧型補給品まで一貫して対応する。

「販売から2〜3年前となる開発段階から関わり、販売時はもちろん、モデルが終了して約7〜8年間続く保守備品の供給までも対応できるのが強みです。ニッチな分野で商品の付加価値を上げる技術支援をさせていただいています」(同氏)


ペレットからバイオマス発電事業に参入


 同社はアメリカのペレットミルメーカーCPM 社の6年を超える日本総代理店として、国内飼料市場で8割以上のシェアを持つ。そのノウハウを活かし、バイオマス発電事業に参入した。ドイツの木質ペレットを使った熱電併給装置メーカー、ブルクハルト社の日本の総代理店となり、製品を販売。2015年には、群馬県上野村に1号機を納入し、今年5月には、ペレットミルと熱電併給装置のセットで納入した北海道下川町で発電が開始した。国産間伐材を、同社の取扱うCPM 社ペレットミルでペレット化。ブルクハルト社の熱電併給装置でバイオマス発電を行っている。


「ブルクハルト社の製品は電気と熱を同時に供給し、エネルギー変換効率が高いのが特徴です。30台以上の実績が出来ましたので、国産材のペレット化+バイオマス発電という成功例を日本全国に拡大していきたいです」(同氏)



ガス化ユニット




成長のための海外展開、M&A戦略を促進


 2018年11月発表の新長期経営計画『VISION2023』では、2023年の連結経常利益75億円、ROE15%、海外拠点の売上成長率年10%の数値目標を掲げている。

 海外は現在、アメリカ、メキシコ、中国、香港、タイ、ベトナム、シンガポール、インドネシア、インド、ドイツの14拠点で展開。取引先は日系自動車メーカーがほとんどだが、吸水性ポリマーや高機能性フィルムなどはアメリカ企業向けが好調だ。

「海外比率は売上の3割程度ですが、今後のマーケットの成長率を考えれば、成長が続くASEAN市場などに商品を投入し、グローバル展開を加速させていきたいと思います」(同氏)

 また同社は、2014年以降で8社という積極的なM&Aを実施している。「M&Aは現在の事業と相乗効果が見られる、海外のグローバル展開を促進させる、今後に成長性が描ける分野という、条件に見合う案件を、取り込んでいこうと考えています」(同氏)

 なお、株主還元は、2019年9月期は前期比で10円増配し年間74円の予定。今後も安定的な増益を図り、一株当たり配当額の増額を実施したいという。